「あしたのジョー」は日本では1970年4月から1971年9月まで、全79話がフジテレビ系で放映された
その後TVシリーズを再構成した劇場版が、1980年3月8日に公開された
高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや作画の人気コミックをアニメ化
巨匠演出家・出崎統の初監督作品でもある
東京のドヤ街にふらりと1人の少年・矢吹丈が現れる
アル中の元ボクサー・丹下段平は丈に天性のボクシングセンスを見出し、彼を一流のボクサーにしようと口説き始めるが…………
不朽の名作「あしたのジョー」の初のアニメ化作品
果たして海外ではどういう評価をされているのか?
「あしたのジョー」
東京の下町のドヤ街に、ある日ふらりと1人の少年・矢吹丈が現れる
丈はヤクザに絡まれていた少女・サチを助ける
あっという間にヤクザたちを叩きのめした丈に、アル中で元ボクサーの丹下段平は天性のボクシングセンスを見出す
段平は丈に自分と組んで一緒にボクシングをやろうと口説く
しかし、丈は全く乗り気ではなかった
ついには丈は悪質な詐欺行為を行い、警察に逮捕された
丈は特等少年院に送られた
そこでも丈は次々に問題を起こした
やがて丈はその少年院で、宿命のライバルとなる力石徹と出会い…………
原作は高森朝雄とちばてつやの人気コミック
矢吹丈を演じるのはあおい輝彦
丹下段平は藤岡重慶
力石徹は仲村秀生(劇場版は細川俊之)
白木葉子は西沢和子(劇場版は檀ふみ)
監督は出崎統
アニメーション制作は虫プロダクション
海外の評価
アメリカでは「Tomorrow’s Joe」のタイトルで知られている
現時点でのIMDbのスコアはTVシリーズは8.3/10、劇場版は7.4/10
メディアの評価
GitHub(劇場版のレビュー)
「あしたのジョー」は日本の古典的作品で、漫画が連載開始されたのはシルベスター・スタローンの名作「ロッキー」より8年も前です
「ロッキー」がこの作品からインスピレーションを得たのかは分かりません
いずれにせよこの漫画は日本の人気作品で79話のアニメ、47話の続編、複数の実写映画が作られました
しかし、長さと古さもあって、アメリカで正式にリリースされることはなく、英語圏ではいまだにあまり知られていません
唯一の例外が「あしたのジョー」の劇場版で、2008年に英語の吹き替え版がリリースされました(ただし、入手が難しく、吹き替えは笑ってしまうほど酷いです)
ありがたいことに「あしたのジョー 劇場版」は、他のアニメの総集編映画よりも、独立した作品としてかなりよく出来ています
79話を1本の映画としてまとめるとなると、ストーリーが不完全または急ぎ足になると思うでしょう
ところがこの映画は、十分に時間をかけているように感じられます
どうやら元のシリーズは悪名高いほど、スローな展開だったようです
とにかくストーリーは驚くほどしっかりしており、そのスケールは20世紀半ばの壮大なハリウッド映画を思い出させます
こうしたタイプの映画は現代の観客に受け入れられないかも知れませんが、時代を超越した魅力があることは否定できません
「あしたのジョー」にも同じような魅力があり、日本の古典的名作という称号に値すると思います
ジョーは好感の持てる不良少年で、自分の強さに自信過剰です
一方、ライバルの力石は意地悪でも邪悪でもなく、魅力的な宿敵です
ジョーと同じ階級にするために無理やり断食して体重を落とす姿は、まるで物語の真のヒーローのようにも見えました
1970年代のテレビアニメの総集編なので、アニメの見栄えは良くありませんが、この時代のものとしては優れています
「あしたのジョー」は間違いなくクラシックの名作であり、少し時代遅れな感はありますが、自信を持ってお勧めできるほど十分良い出来です
3.14/5.00
J-Film Pow-Wow(劇場版のレビュー)
33時間以上に及ぶTVシリーズを2時間半に短縮しているので、ストーリーのペースとアニメーションの質に一貫性がありません
しかし、ジョーと力石の最後の決戦は素晴らしく、画面から飛び出すような表現力豊かな線と色彩で見事に描かれています
Silver Emulsion(劇場版のレビュー)
「あしたのジョー」はよく「ロッキー」と比較されます
実際、一部の欧米のファンはこの映画を「ロッキー・ジョー」と呼んでいます
しかし、ロッキーファンには残念ですが、ロッキーよりジョーの方が先に作られました
大きなストーリーを縮小することは悲惨な結果を招く可能性がありますが、この映画はそうはなっていません
キャラクターは十分に肉付けされ、重要な情報が省略されていると感じたことは一度もありませんでした
70年代の作品なので、アニメーションは現代の作品には明らかに及びません
けれど、ざらざらした感じがいかにも手作りで、ジョーの型破りな性格によく合っています
ジョーは基本的には心優しいですが、攻撃的で気楽で戦いを楽しんでいます
最後のジョーと力石の戦いは、2人の瘦せっぽちの男が戦う奇妙なものです
しかし、激しい意志の闘いで、パンチで血が飛び散り、見た目は奇麗ではないかも知れませんが、その内容はよく出来ていました
ロッキーファンなら間違いなくこの作品を楽しめるでしょうし、アニメファンならこれは史上もっとも重要なアニメシリーズの1つなので、ぜひ見てみるべきです
視聴者のレビュー
「傲慢で嫌なキャラクターを主人公にするのは多くの場合は上手くいきませんが、ジョーは例外的に上手くいっている1人です。あしたのジョーは主人公が勝利だけを経験する物語ではありません。ジョーは屈辱的な敗北を味わい、スランプに陥ることもあります。視聴者はイライラするでしょうが、その苦い経験はその後の勝利をさらに素晴らしいものにします。あしたのジョーはロッキーと同じくらい、あるいはそれ以上に素晴らしい絶対的な名作です。時代遅れのアートスタイルを乗り越えることが出来れば、本当の宝石を見つけることが出来ます」
「アニメーションは古いですが、魅力があります。ストーリーは優れていて、多くのエピソードが心を打ちます。強くお勧めします」
「あしたのジョーははじめの一歩のようなボクシングアニメですが、大きな違いがあります。一歩はキャプテン翼のように、ボクシングを健全なスポーツとして描いています。しかし、あしたのジョーは死やパンチドランカーなど、ボクシングの悲惨な面も描き、そのバランスが素晴らしい。どちらも面白いですが、最高のスポーツアニメはあしたのジョーだと思います」
「これは日本版ロッキーではありません。ロッキーがアメリカ版あしたのジョーなのです。残念ながらアメリカでは、最近までこの傑作を見ることが出来ませんでした。本物の男ならあしたのジョーを見るべきです」
「キャラクターがとてもリアルに感じられ、彼らに何か悪いことが起こると、他のどのアニメよりも悲しい気持ちになりました」
「スタローンがロッキーを書く時に、この作品にインスピレーションを受けたのだとしても、私は驚かない」
「私はこの作品のアニメーションとデザインが好きです。本作はストーリーよりも雰囲気を重視しており、ヤクザたちがたむろしているドヤ街は深作欣二作品を彷彿とさせます。監督は出崎統で、のちに『エースをねらえ』や『ベルサイユのばら』を手がける偉大な演出家です。いずれシリーズを全巻購入したいと思っています」
「あしたのジョーはまさに名作だ。もし私が1970年にいたら、友達全員に見るように勧めるだろう。しかし、今はもう1970年ではない。この作品は絶賛されているが、レビュアーは敬意と客観的な評価を別に考えるべきだ」
「大人向けの作品ですが、素晴らしいアニメです。技術的には現代の作品より劣っていますが、これは間違いなく古典的名作であり、私のお気に入りの1つです」
「アニメーションは本当に酷いですが、当時としては優れていると言えます。この作品にはフィクションの中で最高のキャラクター・矢吹丈が登場します。この物語はボクシングと出会ったことでジョーがどう成長していくか、それにより周りの人々がどう変わっていくのかが描かれています。優れたフィクション作品を見たいという人なら誰でも、このアニメを見るか原作を読むべきです」
「このシリーズの脚本の素晴らしさには驚かされます。明らかに時代を先取りしています。また結末は今まで見た中でもっとも感動的でした。原作者はジョーをまさに私たちが男と呼ぶものの体現者にしました。間違いなく最高のフィクション作品です」
「時々、見ていて本当に憂鬱になりますが、このシリーズは楽しい作品を目指したものではなく、その点で優れています。率直に言って『あしたのジョー』がなかったら、今日のマンガとアニメは同じではなかったかも知れません。それだけの名作です。40年近く経った今でも、スポーツアニメに興味がある人なら、これは必見です」
「このシリーズの最大の強みはキャラクターにある。ボクシング以上にこの物語は、人間の成長を描いているからだ。ジョーは非行少年から始まり、ボクシングで頂点を目指す人物に成長する。西も最初は不良だったがやがて社会に適合し、ダンペイは酒をやめボクシングコーチとしてのキャリアを立て直す。またアニメには魅力的なライバル関係の歴史があるが、力石はおそらくアニメ史における最初の偉大なライバルだ。初めは少し見るのに忍耐が必要だが、刑務所に入ってジョーが真剣にボクシングに打ち込み始めると、すぐに物語に夢中になるだろう」
「あしたのジョーは私の今までで一番好きな作品です。あなたがアニメの見栄えではなく、ストーリーを重視するタイプなら、時間を無駄にしたと後悔することはないでしょう」
「このシリーズは酷いです。その理由はペースが異様に遅いことです。原作の11巻半ばまでを79話で描いているので、1巻当たり約7話の計算です。原作になかったシーンが大量に水増しされ、見ていて苦痛でした。アニメよりも原作の方をお勧めします」
「あしたのジョーはキャラクターの成長を描いた感動的な作品です。ジョーは最初は手の付けられない不良でしたが、ボクシングと出会ったことで本当に偉大な存在になります。またオープニングは素晴らしく、番組の悲痛な雰囲気にぴったりでした」
「素晴しいライバル関係の作品を探しているなら、あしたのジョーをお勧めします」
「あしたのジョーははじめの一歩やドラゴンボール、ブリーチなど多くの作品に影響を与えました。しかし、主人公のジョーは他の全てを圧倒するカリスマ性を持っています。ほとんどのアメリカ人に知られていないのが残念です」
「これはボクシングというより、キャラクターの物語です。誰もが自分の決断で物語を動かし、全てが自然に進んでいきます。ジョーがプロの試合に初めて出場するまでに30話以上を費やしたスタッフに、敬意を表します」
「あしたのジョーは突然世界一のボクサーになろうと決意した少年を描いた典型的なスポーツ作品ではありません。これはある意味でジョーの旅路を描いた作品です。彼の人生においての浮き沈み、後悔と野望、そして『明日』がどこにあるのかを見つけるための苦闘の物語です。人生は楽に幸せになれるようには作られていないので、見ていて楽しいばかりではありませんが、ジョーが戦う価値のある何かを見つけ、全力を尽くしてそれに向かう姿を見ることが出来ます。私にとってこの作品は、単なるアニメ以上のものでした」
「あしたのジョー」をAmazonビデオで視聴
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コメント
50歳のBBAだけど、明日のジョーは生まれる前のアニメなので世代じゃない
漫画もアニメも見たことがない でも主題歌や有名なセリフやシーンは自分でも知ってる
今の若い人にはもっと遠い作品になるんだろう
それでも未だに話題に出て語られるって凄いことだなと思う 偉大な作品だと思う