Netflixオリジナル映画「ドント・ムーブ」が配信された
サム・ライミ製作のサバイバル・スリラー
森の中で殺人鬼に遭遇し、筋弛緩剤を打たれたアイリス
身体が動かなくなる前に、逃げ延びることが出来るのか?
殺人鬼リチャードとの決着
そして最後のアイリスのセリフは何を意味するのか?
海外サイトなどを参考にして解説してみた
なお映画のネタバレ全開なのでご注意を!!
「ドント・ムーブ」
アイリスは事故で息子のマテオを亡くした
それ以来、彼女の心は悲嘆に暮れていた
ある朝、アイリスは車で州立公園に向かった
息子は少し目を離した隙に、そこの崖から落ちて死んだのだ
アイリスは崖のふちに立った
息子のところへ行くつもりだった
すると後ろから声をかけられた
そこには見知らぬ男が立っていた
男はリチャードと名乗り、自殺をやめるように言った
自分も恋人のクロエを亡くしたので、気持ちは分かる
その言葉に心を動かされ、アイリスは飛び降りるのをやめた
駐車していた車に戻った時だった
いきなりアイリスはリチャードにスタンガンを押し当てられた
目を覚ますと、車の後部座席にいた
腕と足は縛られている
アイリスはリチャードに注射器を見せられ、筋弛緩剤を打ったので、20分で身体が動かなくなると告げられて…………
リチャード
映画の冒頭、リチャードは崖から飛び降りようとするアイリスに、自分の身の上を語った
大学院を卒業する一週間前、車で壁に正面衝突した
その事故で恋人のクロエを失った
アイリスはその話に同情し、自殺を取りやめた
恋人を亡くした深い悲しみと喪失感
しかし、実際はリチャードが抱いたのは、そんな感情ではなかった
リチャードは生まれてからずっと疎外感を抱いて生きてきた
けれど、事故に遭ってクロエが息を引き取る瞬間、心が通じ合った気がした
リチャードは神の存在を感じたのだ
そして神は自分だった
「ありがとう」
リチャードはクロエに最後、そう言葉を告げた
それから時が経ち、リチャードは妻と娘と幸せに暮らしている
だが、リチャードはクロエが死ぬ瞬間に感じたあの恍惚感が忘れられなかった
それをもう一度味わうために、森の小屋で女性を何人も殺してきた
クロエの死によってリチャードは、自分の中にもう1人の自分がいることに気付いたのだ
そして、その自分は殺人を欲していた
アイリス
息子のマテオを失って、アイリスは生きる気力を失っていた
森の中で殺人鬼と遭遇するまでは…………
筋弛緩剤を打たれたアイリスは、身体が動かなくなる前にリチャードから逃げ出す
そして、動けなくなったところを、森の中で1人で暮らすウィリアムに発見される
ウィリアムは自分の小屋にアイリスを運び、警察に連絡しようとしたところに、リチャードが訪ねてきた
妻を探しているのだという
小屋の中に入ったリチャードは、ソファの下に横たわっているアイリスに気付かなかった
口論になってリチャードはウィリアムを殺し、小屋に火をつけて出て行った
このままでは炎で自分は死ぬ
その時、アイリスの生存本能は生き延びることを選んだ
助かる方法はただ一つ
アイリスはブラインドの紐を引っ張って、リチャードに自分がここにいることを知らせた
リチャードは小屋の中に戻ってきて、アイリスを連れ出した
このままでは自分はリチャードに殺されるだろう
それでも火事で焼け死ぬよりは、わずかに生き残るチャンスが残されている
アイリスはそのかすかな希望に賭けた
ラストシーンの説明
明日の朝には家族が到着する
リチャードは森の小屋で楽しむのを諦め、アイリスを湖へと連れて行った
アイリスをボートに乗せ、リチャードは彼女を殺して沈めるために、ボートを漕ぎだした
しかし、アイリスの身体の麻痺はかなり回復していた
彼女はリチャードのベルトに、狩猟用のナイフと拳銃が刺さっているのを見逃さなかった
アイリスは嗚咽を洩らし始めた
「一つだけ頼みがあるの。ポケットに入っているマテオのボートを取って」
それは朝、家から持ってきたおもちゃのボートだった
リチャードは一瞬逡巡したが、身体をかがめてアイリスのポケットに手を伸ばした
アイリスはナイフを奪い、リチャードの首に突き刺した
血を流し、湖に落ちるリチャード
アイリスは目の前に落ちた拳銃を拾い、ボートに這い上がろうとするリチャードに撃ち込んだ
銃弾はリチャードだけでなくボートにも穴をあけ、アイリスは必死に岸まで辿り着かなければならなかった
周りを見回すと、驚いたことに必死に岸に這い上がるリチャードの姿が見えた
だが、胸からは血を流し、瀕死の状態だ
アイリスはリチャードを見下ろした
「ありがとう」
そう言ってアイリスは、その場を去っていった
何故アイリスは最後にリチャードに感謝の言葉を告げたのか?
目的はどうあれ、リチャードが自分を自殺から救ってくれたのは事実だった
そして、リチャードのせいで直面した様々な試練を乗り越えることで、アイリスは自分の本当の気持ちに気付いた
まだ生きていたい
アイリスは生きる気力を取り戻した
ある意味で、アイリスはリチャードに感謝していた
また「ありがとう」という言葉は、リチャードが死ぬ間際のアイリスに残した言葉でもある
そこにはアイリスなりの皮肉も込められていた
本作のテーマは、生きる気力を失っていたアイリスが死の淵に立たされ、再び生きる意志を見出すというものである
「これはサスペンス映画ではありますが、キャラクター映画でもあり、アイリスは失っていたもの、つまり生きる希望を見出していきます」
プロデューサーのサム・ライミはそう語った
喉を刺され胸を撃たれて、瀕死のリチャード
人里離れた森の中であることを考えると、リチャードは間違いなく死ぬだろう
薬で身動きが出来なくなったアイリス
しかし、リチャードとの出来事を通じて、アイリスは悲しみを乗り越え、肉体的にも精神的にも真に解放された
動けなかった彼女はもういない
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