Netflixオリジナルのフランス映画
エリート部隊を追放されたアントワーヌは、かつての仲間たちが次々と殺されていることを知り…………
重厚でダークなノワールサスペンス
非常にハードな作品だが、凄まじい見ごたえ
複雑な事件に大勢の登場人物
スリリングで陰鬱なストーリー展開
ここまで「フィルム・ノワール」を感じさせる作品、久々に見た
監督は「あるいは裏切りという名の犬」のオリビエ・マルシャル
時代に逆行したような渋すぎる作風が凄い
役者陣は誰もが好演
息詰まる銃撃戦など見せ場も多い
そして衝撃のラスト
今のハリウッドじゃ、こんなの無理かも知れない
本当に気が滅入る内容で人を選ぶが、見ごたえは十分
骨のある映画を見たい人にはお勧め
予告編
作品情報
作品名「バスティオン36」(原題Bastion 36)
監督:オリビエ・マルシャル
キャスト:ビクトール・ベルモンド、テウフィク・ジャラ、イバン・アタル、ジュリエット・ドル
上映時間:124分
制作国:フランス(2025年)
ざっくりあらすじ
アントワーヌは問題を起こして、エリート部隊BRIを追放される。半年後、アントワーヌはかつての仲間たちが次々と殺されていることを知る。1人で事件の真相を突き止めようとするアントワーヌだが…………
感想(ここからネタバレ)
めちゃくちゃ渋かった…………
「バスティオン36」
アントワーヌ・セルダは腕利きの警官で、エリート組織「BRI」に所属していた
しかし、アントワーヌには地下格闘技に入り浸るという、誰にも言えない秘密があった
ある夜、試合に勝ったアントワーヌは、その対戦相手に帰り道で襲われた
アントワーヌは返り討ちにしたが、そのことが警察で問題となった
結局、BRIを追われ、アントワーヌは別の警察署に左遷された
半年が過ぎた
アントワーヌはBRIの同僚で恋人だったアナや仲間たちと、連絡を一切絶っていた
とても合わせる顔がなかったからだ
しかし、かつてのBRIの仲間2人が、立て続けに殺される事件が発生
さらにはチームの1人であるリシャールは行方不明だという
アントワーヌは上層部の命令を無視して、1人で事件の真相を突き止めようとするが…………
作品解説
監督は「あるいは裏切りという名の犬」「そして友よ、静かに死ね」のオリビエ・マルシャル
ちなみにオリビエ・マルシャルは元警官で、本作も警察の描写にかなりのリアリティが感じられる
アントワーヌ・セルダ
腕利きの警官で、エリート部隊BRIのメンバー
しかし、地下格闘技に関わっていることを知られ、部隊から外され左遷された
かつての仲間たちが次々と殺されていることを知り、単独で捜査に乗り出すが…………
演じるのは「愛しのベイビー」などのビクトール・ベルモンド
格闘シーンの迫力は凄まじかった
ちなみにビクトールの祖父は、あのジャン=ポール・ベルモンド
言われてみれば、少し面影がある?
アナ
BRIの元同僚で、かつての恋人
今は違う部署で働いている
一切連絡を絶ったアントワーヌに、怒りを感じているが…………
演じるのはジュリエット・ドル
フレンチ・ノワール
「ロストブレット -窮地のカーチェイス-」「AKA」「恐怖の報酬(2024)」「セーヌ川の水面の下に」
Netflixではフランス映画が数多く配信されている
その多くはエンタメ色の強い良作だ
しかし、かつてのフランス映画は、どこか暗い印象の作品が多かった
「太陽がいっぱい」「冒険者たち」「サムライ」
そこで描かれるのは友情、裏切り、死
結末も悲劇的なものばかり
その流れを変えたのは、リュック・ベッソンあたりだったように思う
この「バスティオン36」は久々にフレンチ・ノワールを、強く感じさせる作品だった
事件
次々とかつての仲間たちが殺されていく
事件の真相を突き止めようとするアントワーヌ
それを阻止しようとする警察上層部
一体、BRIの仲間たちに何があったのか?
非常に興味深い導入部
だが、事態は混迷を極めていく
複雑で入り組んだ事件、多すぎる登場人物、様々な組織の思惑
正直、1回見ただけでは、分からないところが多かった
内容も暗く、陰鬱な場面が続き、ペースも早くないので、人によっては退屈に感じるだろう
しかし、この突き放したような世界がたまらない
まさにハードボイルド!!
また冒頭の市街地でのカーチェイスや、息詰まる銃撃戦など、見せ場も多く用意されている
アクション映画としても一級の仕上がりだ
真相
事件の真相を追求するアントワーヌ
そして、明らかになる驚くべき真実
全ては警察上層部が関わっていたのだ
アントワーヌは上司から口止めされる
この事実が発覚すれば、警察の権威は失墜して、治安は悪化するというのだ
真実を公表するか、このまま黙って事件を解決した英雄として振舞うか
だが、アントワーヌは前者を選ぶ
味方は誰もいない
それでも死んだ友人たちのために、真相を明るみにすべきだ
そして、衝撃のラスト
何やねん、それ!?
あまりに突然で悲惨な結末に呆然
後味が悪すぎる
だが、この苦い味わいこそ、かつてのフランス映画
夢も希望もない容赦のなさが、逆に清々しかった
まとめ
フランスにノワールが復活
渋すぎる大人の映画
久々にハンマーで頭を殴られたような気分を味わった
楽しい映画ではないし、人を選ぶが、かなりお勧めの作品だ
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/squad_36
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