Netflix「ちひろさん」ネタバレ感想 世界の見方が少し変わる一作

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安田弘之の同名コミックを実写映画化
元・風俗嬢のちひろさんは、海辺の小さな町のお弁当屋さんで働いていたが…………

有村架純が素晴らしい演技を披露
ちひろさんの不思議な魅力に惹きつけられる人間ドラマの良作

いつも心のままに飄々と生きるちひろさん
そんな彼女はホームレスにも悩みを抱えた女子高生にも、分け隔てなく接する
派手な事件は起きないが、魅力的なドラマ
有村架純は非常に難しい役を好演
ちひろさんの一挙一動から目が離せなかった
そんなちひろさんに惹かれていく孤独を抱えた人々
たわいない交流がどこか心地いい
また次第に垣間見えてくるちひろさんが抱える闇が、物語に不穏な影を投げかける
今泉監督の演出は繊細で丁寧
弱者への優しい視線が印象的だった
人と人とは分かり合えない
ちひろさんの言葉で、不思議と楽な気持ちになった
孤独、寂しさ、そして優しさ
見ていて胸に刺さる作品
多くの気づきを得られる一作だ

予告編

『ちひろさん』本予告編 – Netflix

作品情報
作品名「ちひろさん」
監督:今泉力哉
キャスト:有村架純、豊嶋花、嶋田鉄太、van、若葉竜也、佐久間由衣、長澤樹、市川実和子、鈴木慶一、根岸季衣、平田満、リリー・フランキー、風吹ジュン
上映時間:131分
製作国:日本(2023年)

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ざっくりあらすじ

海辺の小さな町のお弁当屋さんで働くちひろさん。元・風俗嬢であることを隠しもせず、自由気ままに生きる彼女は、様々な事情を抱えて生きる人々を惹きつけて…………

感想(ここからネタバレ)

原作は未読…………

海辺の町で

ちひろさんは元・風俗嬢
今は海辺の小さな町のお弁当屋さんで働いている
風俗嬢だったことを隠そうともせず、飄々としているちひろさん
少し口は悪いが明るく、お客さんからは人気だった

女子高生のオカジは、そんなちひろさんのことが気になっていた
ホームレスでも子供でも動物でも、分け隔てなく接するちひろさん
厳格な家庭で育ち、学校でも人間関係に悩むオカジは、そんなちひろさんは魅力的だった
オカジはこっそりちひろさんの写真を撮って、それをよく眺めていた

自由に気ままに日々を生きているちひろさん
そんなちひろに吸い寄せられるように、孤独を抱える人々が集まってきた

シングルマザーの元で、母親の愛情に飢えている小学生・マコト
引きこもりの女子高生・べっちん
父親との確執で、父子関係に苦しむ青年・谷口

そうしてオカジもちひろさんと親しくなり、安らぎを覚えるようになった

ある日、ちひろさんに一本の電話がかかってきた
弟の圭介からで、お母さんが亡くなったというのだ
幼い頃から家族と上手くいっていなかったちひろさん
それ以来、ずっと孤独を抱えて生きてきた
母親の死を聞いても、ちひろは涙すら出なかった
そんな時、ちひろさんは風俗店の元店長・内海と再会して…………

作品解説

原作は安田弘之のコミック「ちひろさん」

監督は「愛がなんだ」「街の上で」の今泉力哉

音楽はバンド・くるりの岸田繁

ちひろさん

元・風俗嬢
現在はお弁当屋で働いている
いつも自然体で、少し口が悪い
マイペースで、誰とでも分け隔てなく接する
明るさの中に、どこか陰のある女性

演じるのは「映画 ビリギャル」「ナラタージュ」「フォルトゥナの瞳」などの有村架純
「花束みたいな恋をした」では、第45回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を獲得
本作では明るくて優しくて厳しいちひろさんという難しい役を演じ、新境地を開いている

オカジ

高校2年生
厳格な家庭で、息苦しさを感じている
学校で友達はいるが、本音で話せない
自分に正直で自由なちひろさんに憧れを抱いている
そのために、こっそりとちひろさんを付け回すが…………

ちひろさんの影響で、少しずつ自分に正直になるオカジ
演じるのは「真夏の方程式」「都会のトム&ソーヤ」などの豊嶋花

マコト

生意気な小学生
母親がシングルマザーで、愛情に飢えている
ちひろさんにいたずらを仕掛けて、痛い目に遭う
そのことがきっかけで、ちひろさんに懐くが…………

演じるのは「LOVE LIFE」などの嶋田鉄太
オカジとの絡みが面白かった

主人公の魅力

本作はまさにちひろさんありきの作品

周囲の目を全く気にせず、いつもマイペース
自然体で、自分に正直に行動
ホームレスでも子供でも、分け隔てなく接する
明るいがどこか陰があり、寂しさを抱えている

魅力的な主人公で、ちひろさんの一挙一動から目が離せなかった
世の中のほとんどの人が本音を隠して、自分を偽って生きている
その方が生きやすいからだ
そんな中で空気を読まず、自分の思うがままに生きるちひろさん
彼女のその姿は知らずに人を惹きつける

この場合、ちひろさんならどうするか?

そんなことを考えさせられる主人公だ

交流

家庭や学校で本音を言えず、人間関係に悩む女子高生・オカジ
母親がシングルマザーで、愛情に飢えている小学生・マコト

問題を抱えた2人は、ちひろさんを慕うようになる
ちひろさんは2人の悩みを解決するわけではない
一緒にご飯を食べたり、ふざけあったり、ただ寄り添って時間を過ごすだけだ
だが、それだけで2人は大切なことを学んでいく

ちひろさんと交流する人の中で、もっとも印象深かったのは多恵さん
お弁当屋「のこのこ弁当」でちひろさんの前に働いていた女性
目が悪くて、今では入院している

そんな多恵さんに、ちひろさんは弁当屋で働いていることを隠し、病院に通って相手をしている
最初はその意図が分からなかった
しかし、終盤で2人の出会いが語られる

母親が死んでも、涙一つこぼさなかったちひろさん
そんなちひろが多恵さんを抱きしめて涙するシーンは印象的
多恵さんを演じる風吹ジュンが素敵だった

孤独

孤独を愛するちひろさん
親しい人がいても、それなしには生きていけない
どこか「男はつらいよ」の寅さんや「ムーミン」のスナフキンを思い出させた

「私たちはみんな人間という箱に入った宇宙人。やってきた星がバラバラなんだから、分かり合えないのが当然」

ちひろさんのこの言葉が、妙に腑に落ちた
この作品では孤独や寂しさを、ネガティブなものとして捉えない
たとえ家族でも分かり合えない人もいる
だって、違う星の人間なのだから

でも、きっと世界のどこかには、同じ星の人がいる
そう考えると希望が湧いてくる
この映画を見て、世界の見方が少し変わった気がした
それもちひろさんの影響なのだろう

まとめ

生きづらい世の中で、自分に正直に生きるちひろさん
有村架純は素晴らしい演技
押しつけがましくなく、気づきを与えてくれる作品
見たら誰もが元気をもらえるだろう

Netflixで「ちひろさん」が2023年2月23日に全世界で配信された 安田弘之の同名コミックを実写映画化 海辺の小さな町のお...

Call Me Chihiro (2023) on IMDb

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/call_me_chihiro
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/384250

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