Netflixオリジナル映画「すべての終わり/How It Ends」感想 日常が突然終わる!!見る価値のある秀作

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SFパニック映画であり、サバイバルであり、ロードムービー
とても見ごたえのある作品である
個人的にはとても面白かった


予告編

Netflixオリジナル映画『すべての終わり』予告編

作品情報
作品名「すべての終わり/How It Ends」(原題How It Ends)
監督:デヴィッド・M・ローゼンタール
キャスト:テオ・ジェームズ、フォレスト・ウィテカー、カット・グレアム、ニコール・アリ・パーカー
上映時間:113分
製作費:$20,000,000(imdb推定)
製作国:カナダ/アメリカ(2018年)

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ざっくりあらすじ

弁護士のウィルは恋人のサムとの間に子供が出来て、幸せな日々を送っていた。だが、頭痛の種は気難しいサムの父親トムに結婚の許可をもらわなくてはならないこと。意を決してシカゴに住むサムの両親を訪ねるが、些細なことで口論となってしまう。サムの妊娠のことも言えずに、ホテルに帰ったウィル。翌朝、サムからの電話で目を覚ます。昨夜の言い訳をしていると、電話の向こうで大きな音がして、通話が切れてしまった。返信しても通じず、空港に向かうと全ての便がキャンセルされていた。ニュースによると西海岸で何かが起きたらしい。再びサムの両親を訪ねると、トムは車で大陸を横断してシアトルのサムのところまで行くという。それに同乗することになったウィル。何が起きているかも分からないまま、二人の長い旅が始まった。

感想(ここからネタバレ)

ノーマークだったが面白い
小品が多いNetflixオリジナル映画だが、この作品はスケールも大きくて良かった
普通に劇場公開されても、おかしくないクォリティだと思う

終わりの始まり

いわゆる終末ものである
この作品の出だしは静かに始まる
恋人のサムが妊娠し、いよいよ結婚を考えるウィル
仕事でシカゴに寄った時に、彼女の両親を訪れ、結婚を許可してもらおうと意気込む
ところが気難しい彼女の父親トムはとげとげしく、肝心な話をする前に口論になってしまう
サムの電話でホテルで目が覚め、昨夜のことを言い訳する
当事者たちには重要なことだが、何でもないささやかな日常の積み重ね

そして、何の前振りもなく異変が訪れる!!

「クローバーフィールド HAKAISHA」

「すべての終わり」を見ていて思い出したのは、この作品である

この作品も序盤は日常を淡々と描き出す
そして突然、日常が非日常に変わる
両者に通じるのは、あくまで主人公たちの目線に沿って事件を描いていること
決して俯瞰的な描き方をしない
「すべての終わり」は「クローバーフィールド」のようにPOV方式で撮られているわけではないが、両者の目指すところは同じだろう
劇中のキャラクターの体験を観客に共有させる
観客は映画を見ている間、世界に何が起こっているのかを必死に考える羽目となる

人間ドラマ

この「すべての終わり」がユニークなのは、世界の大異変が作品の主題ではないということ
あくまでメインは人間ドラマなのである
通信が途切れ、西海岸にいるサムの消息は分からなくなる
ウィルは昨夜喧嘩したばかりの彼女の父親と、車でシアトルまで向かう羽目となる
気まずい二人組のロードムービーの始まりである

バディ映画は多いが、義理の父親(になる予定の人)との組み合わせというのは珍しい
思いつくのはベン・スティラーとロバート・デ・ニーロの「ミート・ザ・ペアレンツ」ぐらいだろうか

かなり遠慮したい組み合わせというのは間違いないだろう(笑)

キャスト

テオ・ジェームズ
弁護士で暴力とは無縁に生きてきたウィルを演じる
恋人のところに駆けつけようという一途な姿は感動的
秩序が崩壊し、暴力が支配した世界で生き残ろうとする

出演作品

「ダイバージェント」
シリーズを通じて主要キャラのフォーを演じる

フォレスト・ウィテカー
サムの父親で元海兵隊のトムを演じる
言わずと知れた名優である
この作品でも彼の演技は本当に素晴らしい
その存在感だけで画面が引き締まる

出演作品

「ラストキング・オブ・スコットランド」
代表作は多いが、アカデミー主演男優賞を獲ったこれで

監督

デヴィッド・M・ローゼンタール

代表作品

「パーフェクト・ガイ」

ウィルとトム

原因不明な未曽有の災害によって、瞬く間に法と秩序が崩壊したアメリカ
人々は自らを守るために、銃を手に取るようになった
暴力と無縁に生きてきたため、ウィルは拳銃を手にしても撃ち方さえ分からずじまい

そんな世界になった時に素晴らしく頼りになったのがフォレスト・ウィテカー演じるトム
元海兵隊としての技術と経験で、どんな窮地に陥っても素早い行動と判断を下す
気難しくてとっつきにくい男だと思っていたトム
だが、娘を救おうという意志の強さと、頼れる存在感にウィルは彼を見直すことになる

そして、ウィルもまた様々な困難を乗り越え、終盤では身を守るのに必要とあれば躊躇なく銃を向けるようになる
安全装置の外し方すら分からなかった序盤の彼とは別人のようだ
顔つきも気取った弁護士だった頃とは似ても似つかない

ウィルとトムはサムを助けるという共通の目的のために、いつしかお互いを助け合うようになる
次第に心を通わせ合う二人
バディ映画の醍醐味である

崩壊したアメリカ

原因不明の大惨事で通信も使えなくなり、混とんとしたアメリカ
この作品では秩序が崩壊していくさまを、リアルに描きだす
略奪や暴力、過剰防衛、破壊された都市
アメリカの終末の姿と田舎の美しい風景
映像的にもとても魅力的な作品である

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賛否あるラスト

素晴らしい演技、秀逸な脚本、美しい映像、的確な演出
映画を見終わって、満足感に満たされた
さぞ世間でも好評だろう
そう思って海外の映画サイトを見たのだが………………

けっこう不評!!

imdbもロッテントマトもいまいちな点数だ
怪訝に思ってレビューを見ると、共通しているのがラストが酷いという意見
大異変の原因が最後まで明らかにならなかったことに、皆が怒っているのだ
投げやりエンドと書かれているものもあった

確かに映画を見ている最中、大異変の原因を僕も色々と考えた

隕石が衝突したのか
大地震が起きたのか
謎のウィルスが蔓延して、皆がゾンビになったのか
宇宙人が攻めてきたのか

これだけ悩ませておいて原因は分からずじまいでは、怒る人の気持ちも分かる
分かるのだが、僕はこのラストに不満はなかった
むしろ、物凄く納得がいった

映画の終盤で出てきた男が、この大異変の原因について持論をまくしたてる
その男にウィルは言う
「原因なんて何でもいい。重要なのは生き抜くことだ」

そう、大異変の原因なんて何でもいいのである
それはヒッチコックが言うところのマクガフィンなのだから

マクガフィンとは映画を転がすための仕掛けである
ヒッチコックの作品であるスーツケースを世界中のスパイが狙う話があった
そのスーツケースの中身は何だったのか!?
けっきょく映画の中では明かされない
あるスタッフがヒッチコックにケースの中身について尋ねた
ヒッチコックはこう答えたという
「何だっていいだろ。これはただのマクガフィンなんだから」

大異変の正体が何だろうが、「すべての終わり」という映画の主題とは全く関係ない
その正体を明確にすることによって、むしろ主題をぼやけさせてしまう恐れすらある
それはただのマクガフィンであり、それ以上の意味などないのだから

まとめ

とても上質な作品である
ただ世界で起こった大異変が何なのか、最後に明かされると期待して見ると、がっかりする結果になるだろう
世の中、正体不明で理不尽なことなどいくらでもある
重要なのはそれにどう立ち向かうか
How It Ends
終わり方を自分で決めることが大切なのだ


How It Ends (2018) on IMDb


rotten tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/how_it_ends
allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=364930

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