Netflixオリジナルドラマ
1930年代から活躍してきたスーパーヒーローたちは、世代交代を迎えようとしていたが…………
スーパーヒーロー誕生秘話と世代交代が描かれる壮大なストーリー
見ごたえはあるが、万人向けではない
スーパーヒーローはどうやって誕生したのか?
そして偉大すぎる親を持った子供たちの苦悩
現在と1930年代のドラマが、並行して描かれる
誰からも尊敬されてきたスーパーヒーローたち
その価値観は崩れ去ろうとしていた
過激になっていく凶悪なヴィランたち
もう昔からのやり方は通用しないのか?
スーパーヒーローの世代間の対立を描いた点は新鮮
ただし現在と過去を交互に描くので、テンポは悪かった
アクションシーンも少なめ
気が滅入るシーンが多く、カタルシスはあまりない
だが終盤の展開は衝撃的だった
かなり通好みの作品
ヒーローものが好きな人なら、見る価値があるだろう
予告編
作品情報
作品名「ジュピターズ・レガシー」(原題Jupiter’s Legacy)
企画:スティーヴン・S・デナイト
原作:マーク・ミラー、フランク・クワイトリー
キャスト:ジョシュ・デュアメル、ベン・ダニエルズ、レスリー・ビブ、アンドリュー・ホートン、エレナ・カンプーリス
全8話
製作国:アメリカ(2021年)
ざっくりあらすじ
1030年代に最初のスーパーヒーローたち6人が創設したジャスティス・ユニオン。現在、ヒーローは世代交代を迎えようとしていたが…………
感想(ここからネタバレ)
スーパーヒーローたちの苦悩が描かれる
ユニオン
スーパーヒーローたちで組織されたジャスティス・ユニオン
そのユニオンを長年に渡って率いてきたシェルドンことユートピアン
彼は絶大な力を持つヒーローの象徴だった
シェルドンの息子ブランドンは、偉大な父に近づこうと、ヒーローとして懸命に努力してきた
しかし、精神的にも肉体的にも、まだまだ未熟だった
ブランドンの妹クロエはヒーローとしての才能に恵まれながらも、父親に反抗し家を飛び出して遊び歩いている
シェルドンは子供たちのことで、頭を悩ませていた
スーパーヴィランであるブラックスターが、刑務所から脱獄した
シェルドンたちユニオンのメンバーは、すぐに駆け付けた
だが、ブラックスターは強大だった
若きヒーローたちが次々と犠牲になった
そして父親のシェルドンまで窮地に陥った時、ブランドンは絶叫してブラックスターの脳を粉砕した
悪人でも殺さない
ユニオンの掟「コード」をブランドンは破ったのだ…………
1929年、シェルドンは製鉄所の社長の息子として、兄のウォルターと共に会社を手伝っていた
結婚も決まり、仕事も順調
幸せの絶頂だったシェルドン
しかし、世界恐慌で株が大暴落し会社の経営は傾いた
父親はシェルドンの目の前で飛び降り自殺した
ショックを受けるシェルドン
その日から頭の中で声がするようになって…………
作品解説
原作は「ウォンテッド」、「キック・アス」などで有名なマーク・ミラーの人気コミック
マーク・ミラーが設立したコミック出版社のミラーワールドを、Netflixは2017年に買収している
ショーランナーは「パシフィック・リム: アップライジング」のスティーヴン・S・デナイトだったが、創作の方向性の違いによりシリーズの途中で降板し、サン・ギュ・キムが引き継いだ
シェルドン(ユートピアン)
神秘の島でスーパーパワーを手に入れた最初の6人の1人
それ以来、90年に渡って平和を守ってきた
スーパーヒーローたちのリーダー的存在
演じるのは「トランスフォーマー」シリーズのジョシュ・デュアメル
飛行、怪力、頑丈な身体、遠くの音まで捉える聴覚、目からビームを発射することもできる
その能力は凄まじく、悪人から恐れられている
愛国心が強く、真っ直ぐな性格
スーパーヒーローは全ての人々の模範にならなければならないと考えている
そのため子供たちに厳しく接するが…………
ブランドン(パラゴン)
シェルドンの息子
スーパーパワーを受け継いでいる
従順で真面目な性格
偉大すぎる父親を持ち、重圧を感じている
演じるのはアンドリュー・ホートン
現在編
複雑になった世界で、スーパーヒーローはどうあるべきか?
シェルドンやブランドンの苦悩が描かれる
序盤で世界観の説明があまりないので戸惑った
スーパーヒーローも大勢いて、覚えきれないほどだ
第1話のブラックスターとの戦い
いきなりスーパーヒーローが3人も死亡
感情移入する暇もなかった
もう少し丁寧に描いて欲しかったところだ
基本的に現在編はストーリーが暗い
シェルドンの娘クロエなどドラッグ漬けで、言動も荒んでいて見ていてイライラした
雰囲気を明るくするキャラクターを、1人は用意して欲しかったところだ
物語のテンポも悪かった
過去篇と交互に描いていることも影響し、なかなかストーリーが進まない
いつまでも第1話の事件を引きずっている印象
この辺りは残念
だが、クライマックスは衝撃の展開もあり、かなり盛り上がった
何だかんだで続きが気になる
過去篇
スーパーヒーロー誕生秘話を描いた過去篇
1930年代、まだ禁酒法が施行されている時代
シェルドンたちはどうやってスーパーパワーを手に入れ、ユニオンを結成したのか
美術や衣装が素晴らしい
まるで映画「アンタッチャブル」の世界
キャラクターも良かった
特にシェルドンの親友で軽口ばかり叩く御曹司のジョージが魅力的だった
未知の声を聞いたシェルドンが仲間を集め、神秘の力の謎に迫っていく
ストーリーも面白かった
総じて現在編より過去篇の方が完成度が高かった
コード
政治には干渉しない
悪人でも殺さない
ジャスティス・ユニオンに定められた「コード」
スーパーヒーローが絶対に守るべき掟
だが、正義が複雑で不透明になった現在
もう銀行強盗を捕まえていればいい時代ではなくなった
友人であるスーパーヒーロー3人が無残に殺された
父のシェルドンと母のグレースも危ない
ブランドンは衝動的にブラックスターを殺してしまう
コードをブランドンは破ったのだ
そのことを厳しく咎めるシェルドン
しかし、世間の大半はブランドンを支持した
コードはもう時代に合わないのか?
スーパーマンもバットマンも人を殺さない
それはただの理想論なのか?
非常に興味深い問いかけだった
家族
「ワンダーウーマンとスーパーマンの子供として成長するのはどのようなものか」
原作者のマーク・ミラーはそれが本作のテーマの一つだという
スーパーヒーローの象徴というべき存在の父シェルドン
母のグレースもまたスーパーヒーローの1人
息子のブランドンは両親の名を汚さぬように、懸命に頑張ってきた
しかし、偉大すぎる父と比べられるのは、とんでもない重圧となる
妹のクロエは、その重圧から逃げ出した
男と遊び、ドラッグに溺れる自堕落な日々
世界でもっとも有名なスーパーヒーローのシェルドンも、子供のことで頭を悩ませる1人の父親
その姿が新鮮だった
今後、親子の関係がどうなっていくのか
そこも注目だ
裏切り
ユニオンを創設した6人のスーパーヒーロー
その1人、スカイフォックスがユニオンを裏切った
スカイフォックスは大規模なテロ活動を行い、シェルドンたちと戦った後、どこかへ姿を消した
いまだに消息は分かっていない
そのスカイフォックスの正体は、かつてシェルドンの親友だったジョージだと、中盤で視聴者に明かされる
ユニオンの創設メンバーの1人
ジョージはコードに納得できず、シェルドンと対立したのだ
平和のために創設されたジャスティス・ユニオン
だが、そのメンバーも一枚岩ではなかった
そして、シーズンの最後で、もう1人の裏切者が判明する
黒幕はすぐ身近にいたのだ
この展開は衝撃だった
まとめ
かなり意欲的なスーパーヒーローもの
だが、色々と惜しい点が多い
インパクトもAmazonドラマ「ザ・ボーイズ」に劣る
とはいえ過去篇の出来栄えは素晴らしかった
ストーリーも盛り上がってきたので、今後の巻き返しに期待!!
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/tv/jupiters_legacy/s01
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/377011
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