Netflixオリジナル映画
マラソンスイマーであるダイアナ・ナイアドの実話を映画化
引退して60歳になったダイアナは、フロリダ海峡を泳いで横断するというかつての夢に、再び挑戦するが…………
アネット・ベニングとジョディ・フォスターというレジェンド女優2人が共演
無謀な挑戦に挑む心揺さぶられる感動作
「フリーソロ」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞に輝いたエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ＆ジミー・チン監督コンビによる初の長編劇映画
非常にテンポがよく軽快で、見事な作品に仕上がっている
実在の水泳選手を演じるアネット・ベニングが凄い
本物のアスリートにしか見えない
その親友を演じるジョディ・フォスターも好演
2人の掛け合いが自然で、見ていて飽きなかった
フロリダ海峡約180キロを泳いで横断するという無謀な挑戦
次々と起こるトラブル
最後は成功してくれと祈るような気分だった
そんなダイアナを支えるボニーやチームの姿も感動的
劇中でかかる懐かしの名曲の数々も心地よかった
スポーツ映画としても最高のクォリティ
見ると元気をもらえる一作だ
予告編
作品情報
作品名「ナイアド 〜その決意は海を越える〜」（原題NYAD）
監督：エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ、ジミー・チン
キャスト：アネット・ベニング、ジョディ・フォスター、リス・エヴァンス、アナ・ハリエット・ピットマン、ルーク・コスグローヴ、エリカ・チョー、ジーナ・イー、カーリー・ローゼンバーグ、エリック・Ｔ・ミラー
上映時間：120分
制作国：アメリカ（2023年）
ざっくりあらすじ
ダイアナ・ナイアドがマラソンスイマーを引退して30年が経った。60歳になったダイアナは、キューバからフロリダまでを泳いで横断するというかつての夢に、再び挑戦するが…………
感想（ここからネタバレ）
マラソンスイミングという競技を初めて知った…………
「ナイアド 〜その決意は海を越える〜」
ダイアナ・ナイアドはマラソンスイマーとして有名な選手だった
彼女は28歳の時、キューバからフロリダまでの約180キロを泳いで横断することに挑戦したが、失敗して引退した
それから30年以上が経った
ダイアナはスポーツ番組のジャーナリストとして、平穏な日々を送っていた
その日、親友のボニー・ストールが彼女の60歳の誕生日を祝ってくれた
しかし、ダイアナの心はどこか満たされなかった
「水泳界のエベレスト」と呼ばれるフロリダ海峡の横断
一度は無理だと諦めたが、ダイアナの心には悔いが残っていた
もう一度、フロリダ海峡の横断に挑戦する
そう告げると、ボニーは唖然とした
約180キロを60時間かけて、不眠不休で泳ぐ過酷な挑戦だ
マラソンスイマーを引退して30年
そんな60歳の彼女が成功するわけがない
だが、ダイアナは本気だった
ボニーは仕方なく、ダイアナのコーチを引き受けた
しかし、問題は山積みだった
実現するには優秀なクルーが必要だ
さらには50万ドルもの大金を調達しなければならない
そして、60時間泳ぐ体力と精神力
ダイアナとボニーはその無謀な挑戦に取り組んでいったが…………
作品解説
監督は「フリーソロ」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したエリザベス・チャイ・バサルヘリィ＆ジミー・チン
長編劇映画を手掛けるのはこれが初となる
ちなみに2人は夫婦である
原作はダイアナ・ナイアドの自伝「対岸へ。 オーシャンスイム史上最大の挑戦」
ダイアナ・ナイアド
元マラソンスイマー
26歳の時、女性として初のマンハッタン島一周を達成した
同性愛者
スポーツ番組のジャーナリストとして順風満帆な日々を送っていたが、60歳になったのを機にかつての夢が再燃し…………
演じるのは「キッズ・オールライト」「アメリカン・ビューティー」などでアカデミー賞に4度ノミネートされている名優アネット・ベニング
本作もアカデミー賞ものの名演
水泳の素人だったアネットは、この映画のために元オリンピック水泳選手をコーチに雇い、1年間トレーニングした
撮影が始まると、毎日4、5時間は泳いだという（ちなみにその時、64歳）
アネットは実際のダイアナ・ナイアドともかなりの時間を過ごした
そのことは演技をする上で、非常に役に立ったそうだ
ボニー・ストール
ダイアナの親友
彼女のコーチを引き受ける
ダイアナの夢の実現のため、献身的に彼女を支える
時々、彼女の我がままに振り回されるが…………
演じるのは「羊たちの沈黙」「告白のゆくえ」でアカデミー主演女優賞を2度受賞しているジョディ・フォスター
息がぴったりだが、アネット・ベニングとの共演はこれが初めて
アネットが泳ぐシーンは、ボートの上から本気で心配していたそうだ
どうりで迫真の演技なわけである
ちなみにジョディ・フォスターは、数年前から私生活でダイアナやボニーとは知り合いだった
そのためボニー役をすぐに引き受けたとのことだ
ジョン・バートレット
チームの航海士
潮の流れを読むのに長けている
時にダイアナと衝突するが…………
演じるのは「キングスマン ファースト・エージェント」のリス・エヴァンス
渋い演技を披露している
マラソンスイミング
マラソンスイミングとは長距離水泳の一種
海・湖・川といった自然の水域において長い距離を泳ぐ
天候
潮の流れ
危険な海の生物
低温症
プールと違い、外洋では様々な危険がある
特にダイアナが挑戦したフロリダ海峡は「水泳界のエベレスト」と呼ばれている
マラソンスイマーの人口は約16万人
その中で48時間以上泳げるのは、12人程度といわれている
フロリダ海峡を横断するには、60時間近く泳がなければならないのだ
その間、一睡もせずに、およそ25万回水かきをしなくてはならない
どれほど過酷か、容易に想像できる
演出
ダイアナが30年ぶりにプールで泳ぐシーン
バックではサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」が流れる
この序盤のシーンが最高
ここから一気に物語にのめり込んだ
エリザベス・チャイ・バサルヘリィとジミー・チンの夫婦監督は、ドキュメンタリー監督だけあって、過剰にならない抑えた演出が好印象
役者の自然な演技も上手く引き出していた
ダイアナをただのヒーローとして描かず、エゴも持った複雑な人物として描写しているのが秀逸
当時の実際の映像を挿入する演出も、臨場感があった
長編劇映画は初めてとのことだが、確かな力量を感じさせた
挑戦
フロリダ海峡の横断
全く予備知識がなかったので、1回で成功するものだと思っていた
それが失敗に次ぐ失敗
海でもっとも恐ろしかったのがサメではなく、クラゲだったのも意外だった
熱意と努力、才能、入念な準備
しかし、それだけではどうにもならない自然の過酷さ
常人なら絶対に諦めているだろう
5回も挑戦したダイアナの精神力には圧倒された
この映画は成功して終わることは、最初から分かっていた（解説にフロリダ海峡を泳いで渡る偉業を成し遂げたと、思い切り書かれていた）
ところが分かっているのに、フロリダの陸が見えた時「このまま、最後まで無事に行ってくれ」と祈るような気分になった
それだけに最後は感動もひとしお
「これは個人競技ではなく、チームプレイでした」
そんなダイアナの言葉も胸を打った
スポーツ映画としても非常に満足度の高い作品になっている
まとめ
素晴らしい良作
アネット・ベニングとジョディ・フォスターの掛け合いを見ているだけで飽きない
演出も非常に手堅かった
極限への挑戦
見ると元気をもらえる作品だ
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/nyad
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/391273
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