Netflix「幻土」感想 男はどこへ消えたのか? 

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第71回ロカルノ国際映画祭グランプリ作品
消えた2人の男
それを追う刑事
正直とっつきにくい
かなり難解な作品だ
現実と夢
どこまでが実際に起きたことなのか
見終わった今でも、よく分からない
物語の整合性や謎解きを求める人には向かない作品かも知れない
かなりアート寄りの映画である
シンガポールの現実
その裏側がストレートに描かれる
ネオ・ノワールといわれる雰囲気や音楽が素晴らしい
好きな人にはたまらない作品だろう


予告編

作品情報
作品名「幻土」
監督:ヨー・シュウホァ
キャスト:ピーター・ユー、リウ・シャオ、イーグオ・ユエ
上映時間:95分
製作国:シンガポール、フランス、オランダ(2018年)

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ざっくりあらすじ

シンガポールの埋め立て地。2人の移民労働者が失踪した。刑事は男たちの行方を追うが………………

感想(ここからネタバレ)

見る前は「霊幻道士」みたいな作品を予想していた
幻士ではなく幻土(げんど)だったのね

失踪

シンガポールの埋め立て地の建設現場
中国から来ているワン
バングラデシュから来ているアシッド
会社の車と共に2人の作業員が消えた
ロク刑事は相棒と共に、2人の行方を追っていた

現場監督
作業員
誰も2人のことを気にかけている者はいない
ロクはワンが住んでいるアパートに行ってみた
もう何日も帰っていないという
ベッドには睡眠薬が残っていた
不眠症だったようだ
窓の外を見ると向かいにネットカフェがあった
刑事たちは話を聞きにそこを訪れた
愛想の悪い女店員
若者たちが黙々とゲームに熱中していた
ワンはここに来ていたのだろうか?

ここから時がさかのぼる
中国から働きに来ているワン
彼は作業中に機械に腕を巻き込まれてしまった
全治1ヵ月
その間はトラックでバングラデシュの労働者の送迎を行うことになった
眠れない日々が続く
ワンはネットカフェに入り浸った
そんなある日、ワンはバングラデシュから来ているアシッドという男と仲良くなるのだが………………

登場人物

ロク
定年間近の刑事
ワンとアシッドの行方を追っている
不眠症に悩まされている

ワン
中国から来ている労働者
事故で腕を怪我し、トラックの運転手をしている
眠れない日々を過ごしているが………………

ロカルノ国際映画祭

本作は第71回ロカルノ国際映画祭で最高賞に当たる金豹賞を受賞している
スイスのロカルノで、「カンヌ」「ヴェネチア」ほどではないが、世界に名だたる映画祭
これまではジム・ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」など、どちらかというとアート寄りの作品が多く受賞している
日本では1961年に市川崑監督の「野火」、1970年に実相寺昭雄監督の「無常」がグランプリを受賞
2009年にはアニメーション演出家の高畑勲富野由悠季が名誉豹賞を受賞している

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スタッフ

監督はこれが長編2作目となるシンガポールのヨー・シュウホァ
撮影は「窯焚-KAMATAKI-」で知られる日本人の浦田秀穂が担当
美術監督はイギリス人でプロデューサーはスペイン人
浦田への監督の注文は「今まで見たことのないシンガポールの夜を撮ってくれ」
カット割りも決めず、全て現場で作っていったという

シンガポール

東京23区と同程度の面積しか持たないシンガポール
国土を埋め立てで拡大してきた
“幻土”という言葉はシンガポールを表している
マレーシアやカンボジア、インドネシア、ベトナム
近隣の国から砂を持ってきて、海を埋め立て土地を作る
シンガポールはそうやって25%も国土を拡大していった
また人口の4分の1は移民だという
この国の全体像を描くには、彼らを描くことが不可欠だと監督は考えた
実際に移民の人々から話を聞くと、多くの人が現実味のないの中にいるようだと答えたという
それがこの作品の夢で物語をつなげるというアイディアに結び付いた

異質

行方不明になった男を刑事が追う
過去において何度も繰り返されてきた定番のプロットである
ところがまだ前半なのに奇妙な展開になる
ロク刑事がモノローグで語る

「俺は夢の中でワンだった」

そこから急に時間が巻き戻り、失踪する前のワンの物語になる

作業現場で腕を怪我した中国人のワン
トラックでバングラデシュ人を送迎する仕事を任される
眠れずにネットカフェで夜を過ごす日々
バングラデシュ人のアシッドと仲良くなる

ハッキリ言って前半は退屈である
ほとんど特別なことは起きない
面白くなるのは中盤
ルシッドが謎の失踪を遂げるところからである

ルシッドは国に帰ったという現場監督のジェーソン
ワンは納得がいかない
現場事務所に忍びこんで金庫を探ると、アシッドのパスポートが見つかった
やはり国になど帰っていなかったのだ
そして、ついに埋め立て地に埋められたアシッドの死体を、ワンは発見する
その時、ワンの行動を見張っていたらしい車が猛スピードで突っ込んでくる
ワンは命からがら逃げ、ネットカフェに隠れた

アシッドは何故殺されたのか?
ワンはこの後、どうなるのか?

物語はシンガポールの闇を描いた社会派のエンターテイメントの様相を呈してくる
だが、ここからまた奇妙な展開を見せる

ワンのモノローグ

「2人の刑事が俺の行方を捜す。1人はここでゲームオーバーだ」

ここから物語はワンを探すロク刑事の主観に戻る
しかし、相棒は逃げた男を追って階段から落ちた
ワンは未来のことを語ったのだ

夢には整合性などない
そして、この物語も同じだ

ワンの行方を捜すロク刑事
そして、刑事はアシッドを見つけ出す
アシッドは生きていたのだ

ここでもうこちらは混乱
ではワンが見つけたアシッドの死体は何だったのか?
どこから夢でどこから現実なのか?
そもそもワンという人物は存在するのか?
観客は自分が夢の中にいるような感覚に陥る
つねに姿を変えていくシンガポールのように

ラスト

ロク刑事はとうとうワンを見つけ出す
しかし、そこは現実の中か?
それとも夢で見た光景なのか?

えっ、これで終わり?

何らかの答えが提示されるのを期待していたこちらは、茫然とした気分で映画を見終える
キツネにつままれた気分
頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだ
だが、それこそ監督が描きたかったシンガポールの現実
この作品は社会派とかノワールとかそういった枠組みを軽々と越えていった

まとめ

誰にでも薦められる作品ではない
いまだに何だったのかよく理解できない
けれど、その不思議な感覚こそが、監督の術中にはまっている証拠だろう
映画の常識が通じない
それは予想だにしない衝撃だった
ノワールの雰囲気や音楽など素晴らしいものがある
そして、シンガポールの現実
興味のある人はこの衝撃を味わってみるといい


A Land Imagined (2018) on IMDb


Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/a_land_imagined
allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=366039

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