Netflixオリジナル映画「端くれ賭博人のバラード」が配信された

「西部戦線異状なし」「教皇選挙」のエドワード・ベルガー監督作品
ギャンブラーのドイルは、マカオで酒と賭博に明け暮れていた
しかし、借金は膨らみ、有り金も底を尽いた
そんな時、ダオミンという謎めいた女性が目の前に現れ…………
様々な謎を残した「端くれ賭博人のバラード」
あのラストシーンの意味は何だったのか?
海外サイトなどを参考に解説してみた
なお映画のネタバレ全開なのでご注意を!!
「端くれ賭博人のバラード」
ギャンブラーのドイルはマカオで賭博に明け暮れ、贅沢三昧の暮らしをしていた
だが、実はドイルの持ち金は底を尽きかけていて、ホテルの宿泊費すら払えない状態だった
このままではホテル側に、警察に突き出されてしまう
ドイルは一発逆転を狙って、有り金全部をカジノのバカラに注ぎ込んだ
相手は大金持ちのグランマだ
しかし、結果は惨憺たる有り様で、ドイルは一文無しになった
そんなドイルの前に現れたのは、謎めいた女性ダオミンだった
彼女はギャンブラー相手の高利貸しだった
ドイルは彼女に借金を申し込むが、冷たく断られた
いよいよドイルは窮地に追い詰められた
そんな時、ホテルから誰かが飛び降りた
ドイルが駆けつけると、大勢の野次馬の中に、蒼白な顔のダオミンがいた
飛び降りたのはダオミンが金を貸した相手だった
借金が返せず、男は絶望して飛び降りたのだ
ショックを受けるダオミンに、ドイルは一晩付き添ったが…………
ドイル
ドイルの本名はブレンダン・ライリーで、かつて英国で弁護士をしていた
しかし、資産管理をしていた裕福な老婦人から、100万ポンド近くを盗み、マカオに逃亡した
今ではその金も使い果たし、ホテルの巨額の代金を3日以内に返済しなければならない
さらにはシンシアという私立探偵が、ドイルが老婦人から盗んだ金を24時間以内に返金するよう要求してきた
さもなければ英国に強制送還される

そんな時、ドイルはダオミンという高利貸しの女性と出会う
当初はドイルはダオミンから全く信用されなかった
しかし、金を貸した男がホテルから身投げして、彼女は打ちのめされた
ドイルはそんなダオミンと、餓鬼節(住民が死者への供物を燃やす祭)の夜を共に過ごした
朝、目覚めるとダオミンの姿はなかった
ドイルの手のひらには謎の番号が書かれていた
ダオミン
金に困ったドイルはイギリス人のエイドリアン・リペットに金を返すように要求するが、彼こそがシンシアにドイルを売った張本人だった
ドイルは香港へ逃げて、高級レストランで豪華な料理を腹いっぱい食べて、心臓発作で倒れた
そこへダオミンが現れる
ドイルが目覚めると、そこはダオミンのボートハウスだった
カジノの喧騒から離れ、ドイルはそこで一時の安らぎを得た

ドイルとダオミンは互いの秘密を打ち明ける
自分は老婆から大金を盗んだ泥棒で嘘つきでペテン師だ
たった一度でいいから恥を忘れたい
そうドイルは告白した
こんなこと誰にも話したことはなかった
ダオミンは親から金を盗み、それを苦にして父親が死んだことを打ち明けた
その後、必死に働いて母親に金を渡したが、突き返された
このままでは私たちは、どれだけ食べても飲んでも決して満たされない餓鬼になる
でも、あなたはまだ間に合うとダオミンは言った
「奇跡でも起きなければ俺は変われない」とドイルは吐き捨てるように言った
最後の勝負
翌朝、ダオミンはまたしても姿を消していた
ドイルは手の番号で鍵を開け、そこでダオミンが隠していた大金を見つける
それは彼女が母親に送金しようとしていた金だった
ドイルはそれを盗んで、マカオへと戻った
「一度でいいから、恥から解放されたいんだ」とドイルを演じたコリン・ファレルは語った。「最終的にはそれが彼の望みだと思うが、やり方が間違っている。恥の上に恥を重ねているんだ」
戻ったカジノでドイルは連勝を続けた
ドイルは大金を手に入れ、ホテルへの借金も完済した
そんな時、ドイルはカジノのオーナーに呼び出された
ドイルは不正をしているというのだ
オーナーが言うには、ドイルの背後に霊がカメラに映っていたという
納得いかないドイルは最後の大金を賭けた勝負を申し込む
負ければ幽霊などいないと証明できる
しかし、勝てば永遠にマカオを去ることになる

ドイルの最後のバカラの勝負相手は、モンテカルロの王子に成りすましたリペットだった
その大金を賭けた勝負は、ドイルが勝利した
ドイルはシンシアに金を返し、初めてダオミンと出会ったレインボー・カジノへ向かう
そこにはグランマがいた
彼女はドイルに、目のくらむような大金を賭けた勝負を申し出る
それは抗えないほどの誘惑だった
しかし、ドイルはそれを断った
このお金はダオミンのものだ
返さなければならない
そんなドイルにグランマは、ダオミンは餓鬼節の夜に入水自殺したと告げた
ラストシーンの説明
ダオミンは何日も前に死んでいた
では、ドイルと一緒にいたダオミンは幽霊だったのか?
「映画をどう捉えるかは人それぞれです」とエドワード・ベルガー監督は言った。「でも、私の中では彼女は映画の途中で死にました」
確かにドイルは霊に憑りつかれていたのだ
「彼女は贖罪のために、ドイルの人生を導いていたのです」とベルガー監督は続けた

この映画は豪華で煌びやかなスイートルームで始まり、寺院という精神的な場所で終わる
ドイルはそこで勝ち金を全て燃やすのだ
それはダオミン(死者)への捧げ物だった
この行為はドイルが依存症、餓鬼になる運命から解放されたことを意味する
ダオミンはドイルを依存症から救い、ドイルは死者であるダオミンの魂を救った
ドイルは新たな人間として生まれ変わったのだ
この映画の結末には、もう一つの解釈ができる
全ては心臓発作で倒れたドイルが見た、死ぬ間際の幻想だったという説だ
詐欺師仲間のリペットはドイルに、こんな話をした
あの世で目覚めたギャンブラーの話だ
そこは豪華絢爛なカジノで、ギャンブラーは勝負に勝ち続ける
ついギャンブラーは隣のプレイヤーに言った
「まさか俺が天国へ行けるとはね。地獄へ落ちると思ってた」
「ここが地獄だ」
勝負に勝ち続けるドイルは、ずっと地獄にいるのかも知れない
どう解釈するかは、観客それぞれの自由だろう
ダンスの意味
映画のエンドロールで、ドイルとシンシアがダンスを踊るシーンが挿入される
このシーンは当初は映画本編で使われる予定だった
しかし、ベルガー監督は最後に入れる方がしっくりくると感じた
「これは観客への甘い贈り物であると共に、生まれ変わった2人の新たな人生を象徴するシーンです」
そう監督は語った
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