Netflix「正義のレジスタンス」感想 ナチスVS銀行家!!銃を使わない戦い

ナチスを打倒し国を取り戻すため、レジスタンスに資金を融資していた銀行家の驚きの実話である
非情にスリリングで見ごたえのある傑作となっている
Netflixが見出さなければ、見る機会などなかっただろう
もしくは見れたとしても、ずいぶんと先になっていたはずである
素直に感謝だ


予告編

作品情報
作品名「正義のレジスタンス」(原題Bankier van het Verzet )
監督;ヨラム・ルーセン
キャスト:バリー・アトスマ、ジャコブ・デルウィフ、フォクリン・アウウェルケルク、ピエール・ボクマ、レイモント・ティリ
上映時間:123分
製作国:オランダ(2018年)



ざっくりあらすじ

1942年、オランダはドイツの占領下にあった。オランダ銀行の新しい頭取トニンゲンもナチスのメンバーだった。銀行員のウォーリー・ファン・ホールはそんな現状に不満と怒りを抱いていた。ある日、ウォーリーは同僚が出勤してこないことに気づく。彼の家を訪ねると、一家は自ら命を絶っていた。彼らはユダヤ人で、ナチスの迫害を恐れたのだ。やりきれない思いにかられるウォーリー。そこに一人の男が接触してくる。その男はレジスタンスでウォーリーに協力を求めてきた………………

感想(ここからネタバレ)

オランダ映画である
2018年3月8日に本国で公開され30万人を動員した
来年の第91回アカデミー賞の外国語映画賞に選出
Netflixはオランダとベルギー以外の世界配信権を獲得した
すでに高い評価を得ている作品である

ドイツ占領下のオランダ

1942年、オランダはドイツの占領下にあった
オランダ銀行の新しい頭取トニンゲンもナチスの息のかかった者だった
そんな現状に銀行員のウォーリー・ファン・ホールは息苦しさを感じていた
だが、自分にはどうすることも出来ない

ある日、同僚のマイヤーが午後になっても出勤してこないことに気づく
ウォーリーは彼の家を訪ねる
するとそこには首を吊っているマイヤーの姿が
彼の妻と娘も毒を飲んで息絶えていた
彼らはユダヤ人でナチスの迫害を恐れ、自ら命を絶ったのだ
やりきれない思いにかられるウォーリー
すると、そこに見知らぬ男が近づいてくる
「そろそろ立ち上がったらどうですか?」

その男、ファンデンベルクは元海軍将校で今はレジスタンスをやっている男だった
銀行家のウォーリーにレジスタンスに融資をして欲しいと頼む
これ以上、犠牲者が増える前に
ファンデンベルクの話を聞いて、ウォーリーの心は決まった
だが、自分には大切な妻子がいる
彼らも危険に巻き込むことになる
ウォーリーは妻のティリーに相談する
「君はどう思う?」
「もちろん反対よ。でも、やるべきよ」

銀行で安定した地位にいるウォーリー
このままナチスに従順にしていれば生活は保障される
しかし、危険を承知でウォーリーは立ち上がった

キャラクター

ウォーリー・ファン・ホール
腕利きの銀行家
元船員で海と自由を愛する
レジスタンスを支援するために危険を冒すこととなる
演じるのはバリー・アトスマ

ヘイス・ファン・ホール
ウォーリーの兄
同じ銀行で働いている
最初はウォーリーへの協力を拒むが、弟を放っておけず渋々協力することとなる
演じるのはジャコブ・デルウィフ

ティリー・ファン・ホール
ウォーリーの妻で、良き理解者
夫の身を案じながらも、レジスタンス活動をする彼を支える気丈な女性
演じるのはフォクリン・アウウェルケルク

ロスト・ファン・トニンゲン
オランダ銀行の新しい頭取
ナチスに協力している
レジスタンスに融資している者の存在に気づき炙り出そうとする
演じるのはピエール・ボクマ

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地下銀行

ウォーリーはレジスタンスに融資する金を銀行家から集めようとする
そして、その金は戦後、政府から返される
だが、レジスタンスに誰がいくら融資したなどという記録が残るのは、非常に危険だ
そのために船員基金というシステムをウォーリーは思いつく
全てを株の取引ということにしたのだ
これでたとえナチスに記録が渡っても、その意味を見抜かれることはない
現状を憂いている銀行家は多く、予想以上の多額の融資が地下銀行に集まった
全ては順調に思えた
しかし、地下銀行の存在に気づく者がナチスに現れる

シンドラーのリスト

この「正義のレジスタンス」を見て、「シンドラーのリスト」を思い起こす人も多いだろう
どちらも表向きはナチスに従順なふりをして、陰で抵抗した者たちである

「シンドラーのリスト」
スティーヴン・スピルバーグ監督作
目を覆いたくなる虐殺を真正面から描いた
冷血なナチスの高官を演じたレイフ・ファイアンズが素晴らしい
人間の醜悪さと高潔さを描いた名作

シンドラーのリスト(字幕版)

スーツ姿で戦う男たち

銃を持たずに、自分たちの頭脳だけを頼りに、ナチスと戦ったスーツ姿の男たち
文句なしに格好いい
ここでは共通する2作品を紹介する

「大統領の陰謀」
ウォーターゲート事件の真相を暴きニクソン大統領を辞職に追い込んだワシントン・ポスト紙の記者たちを描いた社会派サスペンス
ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンのコンビが最高すぎる
派手な見せ場はないが、真実を追求する記者たちが格好いい

大統領の陰謀 (字幕版)


「シンゴジラ」
謎の巨大生物による日本の未曽有の危機に立ち向かう若き官僚たちを描いた傑作
怪獣映画なのに会議などのシーンがやたら多いが、好きな人にはたまらない

シン・ゴジラ

対照的な兄弟

これはある兄弟の物語でもある
自由を愛する情熱的な弟ウォーリー・ファン・ホール
慎重で気が乗らないまま弟に協力していくヘイス・ファン・ホール
二人はまるで陰と陽の関係だ
持ち前の行動力でグイグイと計画を進めていくウォーリー
持ち前の慎重さで時に弟にブレーキをかけるヘイス
それが時折ウォーリーの危機を救うことになる
実に理想的で魅力的な兄弟だ

銀行強盗

この作品でもっとも盛り上がるのは鉄道ストのミッションである
ナチスに打撃を与えるために鉄道ストが計画される
鉄道が動かなければ武器も兵隊も運べない
もしかしたら、これがナチスにとどめを刺す最後の一撃になるかも知れない
しかし、この計画には大きな障害があった。
ストライキの間の鉄道職員の生活費である
オランダ鉄道は全職員の給料を払えと言ってきた
職員は全員で3万3千人である
そんなお金、用意できるわけがない
「銀行強盗でもするしかないな」
ヘイスの言った冗談を聞いて、ウォーリーの顔色が変わる
ウォーリーの考えた計画はこうだ
銀行に眠る国債を偽造したものにすり替える
平たく言えば銀行強盗だ
こうしてオランダの歴史上で最大の銀行詐欺のミッションがスタートする

債券の用紙
内部の協力者
偽造が可能な技術者

問題は山積みだ
それらを一つ一つクリアしていくウォーリー
国債を本物と偽物にすり替えるシーンは、この作品でもっともスリリングな名場面である
予期せぬ障害の連続に息が止まりそうになった

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狭まる包囲網

国債のすり替えは成功し、地下銀行には巨額の資金が手に入った
銀行員が銀行強盗に成功したのである
勝利の咆哮をあげ歓喜するウォーリー
だが、ナチスの包囲の手は見えないところで、じわじわと狭まっていた
地下活動ではウォーリーはファン・タイルという偽名を使っていた
そして、ナチスも地下銀行を仕切る男の存在を知る
あらゆる非情な手段を使って、ナチスはファン・タイルを捕えようとする

捕まったレジスタンスのメンバーが、家族を人質に取られて口を割った
そのことを知らないウォーリーは会合場所に行き、待ち構えていたナチスに捕らえられる
ウォーリーは拘束され、拷問を受けた
兄のヘイスも妻のティリーも救う手段がない
レジスタンスは即決裁判で処刑される
ウォーリーを含むレジスタンス7名が、1945年2月12日に河原で銃殺された

ウォーリーの生きざま

元船乗りで海と自由を愛し、家族を愛したウォーリー・ファン・ホール
なぜ保障された地位を捨て、危険な仕事に身を投じたのか
平和な現代に生きる我々には想像もつかない
ウォーリーの功績は偉大だったが、銀行詐欺などの件を問題視し、政府は隠ぺいした
これはナチスと戦った男の知られざる物語である

物語のその後

地下銀行への融資金は全て国が返却した
総額は現在の価値で5億ユーロ(約650億円)にものぼったという
残金で新たな基金を設立
ウォーリーの妻ティリーはその役員となった
彼女は生涯再婚せず、子供たちを育て上げた

ウォーリーの兄ヘイスは銀行を辞め政界に進出
のちにアムステルダムの市長になった

ウォーリーの記念碑は2010年にオランダ銀行前に建てられた

まとめ

撮影、脚本、演出、役者の演技、音楽、編集
全てがハイレベル
オランダ映画の力量を思い知らされる作品である
ナチスと戦った一人の銀行家がいた
そんな知られざる歴史としても興味深い
オランダ映画というとあまりなじみがないが、見るのに値する1本である
一人の男の生きざまが、きっと心に焼きつくだろう

Bankier van het Verzet (2018) on IMDb




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