Netflix「バヨネタ -不屈のカムバック-」感想 あるボクサーの魂の彷徨

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かつて試合で対戦相手を殺してしまい引退したボクサーが、娘のために再びリングに上がる………………
ボクシング映画好きだし、けっこう面白そうだ
こういう復活劇は大好物
熱いドラマが期待できそう

………………と思ったら全然そんな話じゃなかった!!

ハッキリ言って、この邦題は詐欺である
本編を見ずに適当にタイトルをつけたとしか思えない
手に汗を握る試合
心に傷を負った男の再起
この作品にそんなカタルシスは全くない
ある意味、ボクシング映画ですらないのかも知れない
何しろ試合シーンが10分もないのだ
娯楽作品というより純文学に近い
見たら気が滅入ること間違いなし
だが、それさえ分かっていれば、美しいフィンランドの風景の中で、孤独な男の魂の彷徨を描いた作品として、かなりの良作
間違っても「ロッキー」のような作品を期待してはいけない


予告編

作品情報
作品名「バヨネタ -不屈のカムバック-」(原題Bayoneta)
監督:キッサ・テラサス
キャスト:ルイス・ジェラルド・メンデス、ラウラ・ビルン、ブロンティス・ホドロフスキー
上映時間:101分
製作国:メキシコ、フィンランド(2018年)

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ざっくりあらすじ

フィンランドに住む元ボクサーのメキシコ人は、娘のためにリングにカムバックしようとするが………………

感想(ここからネタバレ)

スポーツ映画のカタルシスを期待すると、裏切られるので注意

カムバック

ミゲルはかつてバヨネタ(銃剣)と呼ばれ、オリンピックにすら出場した才能あふれるメキシコのボクサーだった
しかし、ある試合で対戦相手を殺してしまう
その悲劇的な事故に耐えられずに、ミゲルはボクサーを引退して、妻と娘を置いてどこかへ姿を消した

5年後、ミゲルはフィンランドにいた
かつてのコーチが世話をしてくれ、こちらのボクシングジムでトレーナーとして働いていた
異国での孤独な日々
ミゲルはいまだにあの事故から立ち直っていなかった

そのジムのもっとも有望な選手レムのタイトルマッチが迫っていた
ミゲルは厳しく指導した
今の調子ならチャンピオンに勝てるかも知れない

試合の日が来た
レムがずっと優勢だった
だが、終盤のラウンドでレムがもらった一撃が試合の明暗を分けた
レフリーは試合を止めた

その試合には大金がかかっていた
ジムは破産した
2か月後にはビルを手放さなくてはならない

このままでは駄目だ
もう一度、やり直したい
メキシコに残してきたのためにも
そのためには金が要る
ミゲルはカムバックする決心をした
引退してもう5年だ
周囲は無理だと反対したが、ミゲルの決意は固かった
そして、復帰のためのトレーニングが始まった………………

登場人物

ミゲル
かつては才能に溢れたボクサーで、オリンピックにも出た
5年前の事故をいまだに引きずっている
娘のために再起を図るが………………
演じるのはルイス・ジェラルド・メンデス

サリータ
バーのウエイター
幼い息子を一人で育てている
ミゲルに次第に惹かれていく
演じるのはラウラ・ビルン

ボクシング映画

「ミリオンダラー・ベイビー」「レイジング・ブル」などボクシング映画には名作が多い
代表的なのは、やはりこれだろう


「ロッキー」
人気ボクシング映画ロッキーシリーズの第一作目
無口で不器用な主人公
フィラデルフィアの寒々しい風景
この「バヨネタ -不屈のカムバック-」はどこかこの作品に通じるものがある

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ルイス・ジェラルド・メンデス

主役のミゲルを演じたルイス・ジェラルド・メンデスが素晴らしい
ロバート・ダウニー・Jrを精悍にしたような顔つきで、どこかロバート・デ・ニーロも彷彿とさせる
特に目に力がある
メキシコでは有名なスターらしい
その引き締まった体と、身にまとった空気に、本職のボクサーかと思ったほどだ
覚えておいて損はない役者である

行きついた先

悲劇的な事故に耐えられず、全てを捨て逃げ出しフィンランドに辿り着いたメキシコのボクサー、ミゲル
今ではジムのトレーナーとして働いている
フィンランドの凍てついた美しい風景
異国での孤独
セリフは極力抑えられ、淡々とミゲルの日常が描かれていく
やがてミゲルは娘のためにカムバックを決意する

派手な展開はないが、グイグイと惹きつけられた
撮影や音楽、役者の演技
どれもクォリティが高い
余計なものはいっさい描かないストイックな演出が素晴らしい
そして、再びリングへ戻る決意をするミゲル

復活

ボクシング映画、そして復活劇
これで燃えない男はいない!!(個人の感想です
かつては名ボクサーとして名をはせたミゲル
だが、5年もリングから離れていた
身体の衰えは否めない
フィンランドの雪景色の中での厳しいトレーニング
少しずつ調子を取り戻していく姿にワクワクする

特訓シーンこそボクシング映画の醍醐味
見ているこちらもテンションが上がっていく

対戦相手が決まった
無敗で全てKO勝ちのスウェーデンのボクサーだ
強敵である
名ボクサーとして昔は名の知れたミゲルを倒して、踏み台にする気なのだ

過去にリングの上で起きた悲劇
その記憶を今度の試合で払しょくしたい
ミゲルは猛特訓を続けた

試合

そして、いよいよ試合が始まった
白熱した闘い
下馬評では圧倒的に対戦相手が有利だったが、ミゲルが思わぬ健闘を見せる
エキサイトする試合に、こちらも手に汗握って見守った
ミゲルは果たして勝つことが出来るのか?

ところが試合は全く思いもよらない結末を見せる
正直、混乱した
試合シーンの興奮があっという間に霧散した
この「バヨネタ -不屈のカムバック-」を見ていたほとんどの観客が同じ反応だっただろう
そこにはカタルシスなど微塵もなかった

同時に様々な疑問が氷解した
5年前にミゲルがボクサーをやめ、全てから逃げ出した真の理由

「この業界に善人はいない」

劇中でミゲルがいった言葉の意味

ボクシング映画のカタルシスを求めていた観客はさぞ面食らっただろう
ハリウッドではありえない展開である
この作品はある男の贖罪の物語だったのだ

贖罪

それまでがかなり面白かっただけに、失望したのは事実だ
娯楽作品だと思っていたら、急に純文学になったのだから
あのままミゲルが試合に勝って、存分にカタルシスを味わいたかった

しかし、そうするとよくあるボクシング映画で終わっていたのも事実だろう
ミゲルの苦悩と絶望
世界への無力感
それが痛いほど胸に迫った

まとめ

終盤の展開に賛否があるだろう
だが、本作がミゲルの魂の彷徨を描いた作品だと考えると、スッと胸に落ちる
ミゲルの魂は救われたのか?
この作品は明確な答えを出さない
全て観客に委ねられる
ラストの意味など、いくらでも解釈が可能だろう
ミゲルを演じたルイス・ジェラルド・メンデスの凄み
フィンランドの美しい風景など忘れがたいものがある
見ごたえのある作品なのは間違いない


Bayoneta (2018) on IMDb


Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/bayoneta

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