インドネシアのホラー映画
何も知らない人が見たら昔の映画だと思うだろう
とても2018年の作品とは思えない
だが、これはあえてそうしているらしい
この映画は80年代に活躍したインドネシアのホラーの女王と呼ばれたスザンナという女優に捧げられたものなのだ
チープでゆるい演出
正直言って怖くはない
でも、ホラーというより怪奇映画という趣で、どこか懐かしく退屈はしなかった
過度な期待をしなければ、なかなか楽しめる
気軽に見るのがおすすめだ
予告編
作品情報
作品名「よみがえったスザンナ」(原題Suzzanna: Bernapas dalam Kubur)
監督:ロッキー・ソラヤ、アンギ・ウンバラ
キャスト:ルナ・マヤ、ヘルジュノット・アリ、トゥク・リフヌ・ウィカナ
上映時間:125分
製作国:インドネシア(2018年)
ざっくりあらすじ
強盗団に殺されたスザンナは悪霊として蘇った………………
感想(ここからネタバレ)
本当に2018年の作品とは思えない
ある意味、新鮮
スンデル・ボロン
スザンナとサトリアは仲睦まじい夫婦だが、子供がいなかった
サトリアは工場の重役で、妻のスザンナと3人の使用人と共に屋敷に住んでいた
ある日、スザンナの妊娠が発覚する
それは大いなる喜びだった
使用人も含めて、屋敷はお祝いムードに包まれた
しかし、タイミング悪くサトリアの日本への出張が決まる
サトリアはスザンナとお腹の中の赤ちゃんが心配だった
そんなサトリアをスザンナは笑顔で送り出した
サトリアに恨みを抱いていた工場の従業員4人は、彼が留守の間に屋敷に盗みに入ることを計画する
スザンナも使用人も出払っている夜に、4人は屋敷に忍びこんだ
ところが体調が悪くなったスザンナが、早めに屋敷に戻ってきてしまった
強盗と鉢合わせして驚いて庭に逃げるスザンナ
捕まえようとする4人
揉み合った拍子に誤ってスザンナを刺してしまう
スザンナにはまだ息があった
だが、4人は庭に穴を掘り、スザンナを生き埋めにした
翌朝、スザンナはベッドで目が覚めた
昨夜のことは夢だったのか?
しかし、スザンナの背中には真っ赤な傷跡があった
インドネシアでは殺された妊婦は悪霊”スンデル・ボロン”となって蘇るという言い伝えがある
スザンナは悪霊として蘇ったのだった
そして、自分を殺した4人への復讐を始めた………………
登場人物
スザンナ
妊娠が分かり幸せを味わったのもつかの間、強盗に殺される
悪霊として蘇り、犯人への復讐を誓う
演じるのはルナ・マヤ
サトリア
スザンナの夫
真面目で心の底からスザンナを愛している
彼女を一生、守ると誓ったのだが………………
演じるのはヘルジュノット・アリ
インドネシアのホラー
Netflixではインドネシアのホラーがいくつか配信されている
「クンティラナック: 鏡の中の幽霊」
これはハッキリ言って残念ホラー
ほとんど見るべきところがない
「悪魔に呼ばれる前に」
こちらは思いもよらぬ傑作!!
パワフルな演出にストーリーも面白い
インドネシア産ホラーでは、もっともおすすめ!!
ホラーの女王
スザンナ
1942年10月14日ー2008年10月15日(享年66歳)
主に80年代に活躍
いくつものホラー映画に主演し「インドネシアのホラー映画の女王」と呼ばれた
この「よみがえったスザンナ」はこの女優に捧げられたものである
そのためこの作品を真の意味で楽しめるのは、インドネシアの観客だけかも知れない
ルナ・マヤ
そのホラー映画の女王を演じるという大役を務めたのは、インドネシアの人気女優ルナ・マヤ
同じくNetflixのホラー「サブリナ -人形の悪夢-」でも主演している
元のスザンナとどの程度似ているのかは分からないが、ファンからは絶賛されているようだ
幽霊譚
この「よみがえったスザンナ」は古典的な幽霊譚となっている
待望の赤ちゃんが出来て、喜びの絶頂だったスザンナ
それが家に押し入った強盗4人によって無惨に殺される
恨みを持ち、スザンナは悪霊となって蘇った
自分を殺した連中一人一人に復讐をしていく
最初は犯人たちをじわじわと恐怖に陥れていくスザンナが恐ろしく思えた
しかし、お腹の中の子供と共に生き埋めにされた無念
周囲から様子がおかしいと恐れられる孤独
反省もなくのうのうと生きている犯人たち
途中からすっかり幽霊のスザンナに感情移入していた
「リング」の貞子とは違う
スザンナは死んだ後も夫を愛し、彼に危害が及ぶのを恐れる
彼女が恨みを持つのは自分を殺した悪党たちだけなのだ
最期にスザンナが復讐を成し遂げた時には爽快感があった
恐怖シーン
そこまで怖いわけではないが、恐怖シーンはなかなか雰囲気があって楽しめる
特に犯人を始末していく方法はバラエティーにとんでいて面白い
今度はどんなやり方なのかと見ていてワクワクした
また一部、グロテスクなシーンもあるが、いいアクセントとなっていた
純粋にホラー映画としても、普通に楽しめるだろう
コメディ
一応はホラーなのだが、要所要所でコミカルなシーンを入れてくる
特にスザンナの使用人3人組はお笑い担当
かなり古臭いギャグが多く、一周回って笑えた(ええーっ
とにかく観客を楽しませようというサービス精神は伝わってくる
夫婦愛
必ず守ると誓った妻と子を死なせてしまった
絶望するサトリア
物語は夫婦愛へと帰結する
あまりに悲しいラスト
だが、ハッピーエンドと思えなくもない
最後までオーソドックスな幽霊譚だった
まとめ
気軽に楽しめるホラーである
見ていて懐かしい気分になった
狙ってこんな古臭い作品にしたのだとしたら、スタッフはかなり優秀なのかも知れない
怪奇映画への愛が伝わってくる
突出して優れているわけではないが、嫌いになれない作品である
ブログTOPへ