Netflixオリジナルのフランス映画
2020年のサンダンス映画祭で監督賞を受賞した作品である
厳格なイスラム教の家庭に生まれた少女アミは、学校の自由奔放なダンスグループ「キューティーズ」に心惹かれて…………
またいつものNetflixの青春映画か
そんな軽い気持ちで見たら、かなりガツンときた!!
ハリウッド映画とは全く違った
10代の少女たちの友情と情熱と危うさ
全てが生々しい
まるでドキュメンタリーを見ているかの様だった
見ていて心が痛くなった
この作品にカタルシスを期待していると、愕然とするだろう
凄い映画なのは間違いない
少女たちの演技がリアルすぎて、演技に見えない
子供たちがソーシャルメディアの時代に生きるとは、どういうことなのか
非常に生々しく描かれている
配信前のNetflixのポスターが少女たちを性的に描いていると、アメリカで配信取りやめの署名活動が行われ、物議をかもした本作
その是非は自分の目で確かめるしかないだろう
予告編
作品情報
作品名「キューティーズ!」(原題MIGNONNES)
監督:マイムナ・ドゥクレ
キャスト:ファティア・ユスフ、メディナ・エル・エディ=アズーニ、エステル・ゴウル、イラーナ、ミリアム・アマ、マイムナ・ゲイェ
上映時間:96分
製作国:フランス(2020年)
ざっくりあらすじ
厳格で保守的な家庭で育った11歳の少女アミは、学校の少女たちが結成した自由奔放なダンスグループ「キューティーズ」に魅了され…………
感想(ここからネタバレ)
凄い映画だった
軽い気持ちで見ると、精神をやられるかも…………
出会い
11歳の少女アミは母親と弟2人でフランス北部の公営住宅に引っ越してきた
家は厳格なイスラム教徒
女性が肌を露出するなど許されない
父親がセネガルから帰ってくるのを、アミは楽しみにしていた
公営住宅でアミは、洗濯をしながら踊っている少女アンジェリカを見かける
学校でアンジェリカはダンスグループ「キューティーズ」を結成していた
自由奔放で学校から問題視されている4人組
アミは強く惹きつけられた
ある日、アミは衝撃的な話を聞く
父親が2人目の妻をめとるというのだ
一夫多妻制のイスラム教徒では、珍しくないことだった
アミのいないところで、母親は泣いていた
激しい憤りをアミは感じた
アミはアンジェリカと親しくなり、キューティーズのメンバーと一緒に行動するようになる
だが、メンバーの間で喧嘩が起き、ヤスミンがチームを抜けてしまう
誰か別のメンバーを探さなくてはならない
アミはひそかに練習していたダンスを、アンジェリカに披露して…………
作品解説
脚本、監督のマイムナ・ドゥクレはこれがデビュー作
主人公のアミと同じくイスラム教徒のセネガルからの移民である
監督は少女をリアルに描くために、1年半の間に100人以上の思春期の少女にインタビューをし、調査したという
フランスでは2020年8月19日に劇場公開された
アミ
11歳の女の子
イスラム教の保守的な家庭で育った
父親が2人目の妻をめとることに、ショックを受ける
キューティーズのメンバーに感化され、自由奔放になっていくが…………
演じるのは約650人の中からオーディションで選ばれたファティア・ユスフ
ずっと束縛されてきたアミ
キューティーズやソーシャルメディアの影響で、開放的になっていく
だが、周囲はそんなアミを拒んで…………
キューティーズ
アンジェリカ、ヤスミン、ジェス、クンバ
ダンスグループ「キューティーズ」の4人組
ダンス大会の優勝を目指している
家庭では抑圧されてきたアミ
そんなアミがキューティーズと知り合い、友情を育んでいく
…………そういうストーリーを期待していたら、全く違った
キューティーズは学校の問題児集団
最初の印象は最悪
練習を覗いていたアミに、石をぶつける
学校でアミのカバンを奪い、ゴミ箱に捨てる
とても好感が持てそうにない悪ガキどもだった
しかし、アミも仲間になり、次第に結束が固まっていく
やっと青春ものらしくなってきた
と思ったらアミの悪評がネットで広がり、「自分たちも同じに見られる」とあっさりアミを切り捨てる
女の子、怖い…………
リアルすぎて生々しかった
ソーシャルメディア
もっと仲間と仲良くなりたい
アミはいとこのスマホをこっそり盗む
ネットの世界は刺激的だった
小さな世界しか知らなかったアミは、ダイレクトに影響を受けていく
ダンスももっと刺激的じゃなきゃ駄目だ
アミはキューティーズのダンスを、11歳の少女がやるには煽情的なものへと変えていく
動画や写真をSNSにアップするようになったアミ
いかに「いいね」を多く取るかの競争
無垢な少女が、ネットにあっという間に感化される姿
現代の子供たちの在り方を、この作品は非常に鋭く描き出す
思春期
この作品の少女たちは決して綺麗ごとでは描かれていない
10代の少女たちの心が、いかに混沌に満ちているか
それをオブラートに包まず、ありのままを突きつけてくる
ファッションに目覚めたアミ
だが、お金がない
アミは家のお金をこっそり盗むようになる
ダンス大会の決勝
しかし、アミはメンバーから外されてしまった
こんなこと絶対に許されない
アミは自分の代わりにメンバーになったヤスミンを、川に突き落とす
そして会場に駆けつけ、現れないヤスミンの代打でステージに上がる
とても主人公のやることとは思えない
もちろんハッピーエンドになるはずがなかった…………
物議
この「キューティーズ!」はロッテントマトの批評家支持率が88%と、非常に高い評価を得ている
ところがIMDbのスコアは1.3/10と前代未聞の低評価
フランス以外の国の「キューティーズ!」の配信権を買い取ったNetflix
プロモーションとして公開したポスターが問題となった
少女を過剰に性的に描いているというのである
そのため「キューティーズ!」の配信取り消しを求める活動が、アメリカで勃発
13万人以上の署名が集まった
Netflixは謝罪し、ポスターをフランス劇場版のものへと戻した
以下がそのポスターの比較である
Ok so the Netflix Cuties movie.
I did some research and the director is a French Senegalese Black woman who is pulls from her own experiences as an immigrant and comments on the hyper-sexualization of preadolescent girls.
But look at the original poster vs the Netflix one pic.twitter.com/JVbaa5iueG
— 🤔•°{Miggs…?} (@miggsboson) August 20, 2020
IMDbにはまだ映画を見ていない人々から、低評価のスコアが殺到した
それでこのありえないほど低いスコアとなったようだ
「クリード チャンプを継ぐ男」や「メン・イン・ブラック:インターナショナル」の女優のテッサ・トンプソンは、「キューティーズは美しい映画です。見てから評価してください」と作品を擁護した
まとめ
見ていて心が痛かった
だが、非常に優れた作品である
現代に生きる少女たちのリアルな姿
娯楽性は薄く、気持ちが沈んでくるが、色々と得るものも多いはずだ
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/cuties
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/373652
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