Netflix「アースクエイクバード」感想 日本を舞台にした異色のサスペンス!!

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リドリー・スコット製作総指揮の日本を舞台にしたサスペンス
とはいえミステリーやサスペンスを期待して見ると、ガッカリする人が多いだろう
ストーリーの展開が遅く、見せ場も少ない
そういう意味では退屈だった
だが、役者陣の存在感
つねに漂う不穏な空気
外国人が切り取った日本の風景
そういった観点からすると、見どころが多い
そして、溜めに溜めただけあって、終盤の衝撃の展開は見ごたえがあった
娯楽性は少ないが、一見の価値ある作品である


予告編

『アースクエイクバード』予告編 – Netflix

作品情報
作品名「アースクエイクバード」(原題Earthquake Bird)
監督:ウォッシュ・ウェストモアランド
キャスト:アリシア・ヴィキャンデル、ライリー・キーオ、小林直己、ジャック・ヒューストン
上映時間:107分
製作国:アメリカ(2019年)

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ざっくりあらすじ

ルーシーは日本に住む外国人女性。ある日、ミステリアスなカメラマンの禎司と出会うが………………

感想(ここからネタバレ)

全編、舞台が日本

取り調べ

1989年の東京
ルーシーは5年前に日本に来た外国人女性
翻訳事務所に勤めている

ある日、ルーシーの友人であるリリーの死体が東京湾で発見された
リリーと最後に会ったのはルーシーだ
ルーシーは2人の刑事から、警察署で取り調べを受けた

「恋人はいるのか?」

刑事にそう訊かれたルーシーは、かつてのことを思い出していた

ある日、街中で禎司というカメラを手にした日本人と知り合った
禎司はミステリアスな男だった
ルーシーの写真を撮らせてくれという
何度か会ううちに、2人は親密になっていった

一方、ルーシーは友人のボブに頼まれて、日本に来たばかりのリリーという女性の世話をすることになった
リリーはルーシーと違って、無邪気で明るい女性だった
日本語が全く駄目なリリーの面倒を見るうちに、2人は仲良くなった

リリーに請われて、ルーシーは今では恋人である禎司を紹介した
禎司とリリーは気が合ったらしく、2人は意気投合していた
それを見ていてルーシーは不安に駆られた
禎司の興味が内気な自分から、リリーに移るのではないか
そして、3人は佐渡ヶ島に旅行に出かけるのだが………………

日本ロケ

作品の中で一瞬「ブラック・レイン」が映るシーンがある

マイケル・ダグラスと高倉健が共演
日本を舞台にしたリドリー・スコット監督の傑作である
悪役を演じた松田優作のインパクトが強烈だった

「ラストサムライ」「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」「ウルヴァリン: SAMURAI」など
日本を舞台にした外国映画はいくつもある
そういった作品を見るにあたって、日本人として気になるところ

ちゃんとした日本の描写がされているか?
なんちゃって日本になっていないか?

中にはツッコミどころ満載な作品も少なくない

本作「アースクエイクバード」はその点はかなり頑張っている
着物を着た女性が目立ったりと気になる点はあるが、許容範囲だろう
かなり真面目に日本を描いてくれている

前半は東京が舞台で、孤独に生きる外国人女性ルーシーの心を反映するように、雑多で寒々しい風景が多かった
しかし、中盤の佐渡ヶ島のシーンは、これぞ日本という美しい風景を見せてくれる
この辺りのメリハリは良かった

アリシア・ヴィキャンデル

「リリーのすべて」アカデミー助演女優賞を受賞
「エクス・マキナ」の冷徹なアンドロイド役も印象的

アリシア・ヴィキャンデルは孤独で他人に心を開けないルーシー役を、見事に演じている
ルーシーの複雑な内面描写は見ごたえあり
驚いたのはアリシア・ヴィキャンデルが日本語がペラペラなこと

凄い、日本語が喋れるんだ!!

そう感心していたら、この作品のために猛特訓したらしい
ちなみに1シーンのためだけに、チェロの演奏もマスターしたという
さすがオスカー女優の肩書は伊達じゃない
全編、の入った演技を見せてくれた

小林直己

物語のキーマンとなる禎司役の小林直己

日本にこんな役者いたんだ
新人かな?

まさかエグザイルの人だったとは!!
その辺り、全く知識がないもので

とにかくミステリアスな存在感が凄い
流暢な英語にも驚き
2016年から英会話学校に通い、マスターしたらしい
オスカー女優のアリシア・ヴィキャンデルと並んでも、全く遜色のない演技を見せてくれた

「死」

自分の周りには「死」がつきまとっている
周囲の人間を不幸にしている
そんな罪の意識を抱いて生きているルーシー

幼い頃の兄弟の死
中盤に描かれた知人の死
そして、友人であるリリーの死

ルーシーは「死」に怯えて生きてきた

逆に禎司は「死」に魅了されている
自分を育ててくれた叔母の死
その遺体を写真に撮り、大切に残してある

禎司は本当の自分を理解してくれると感じていたルーシー
だが、向いている方向は真逆だった
最後の最後で2人は決裂する
ルーシーが罪の意識からわずかに解放されるラストシーンは素晴らしい

ミステリー

この作品をミステリーとして見ると退屈だろう
とにかく展開が遅い
終盤まで事件らしいことは何も起こらない
この辺りは評価が分かれそうだ

だが、不穏な人間関係を描いたドラマとしては、よく出来ている
特に何も起きないのに、ルーシーの不安や3人の危ういバランスが伝わってきて、見ていて息苦しさを感じた
そういった人間ドラマとしては、なかなか見ごたえのある作品だ

まとめ

評価は分かれそうだが、見ごたえはあった
日本を舞台にしたことで、異邦人であるルーシーの孤独がよく伝わってきた
終盤の盛り上がりも見事
ミステリーやサスペンスとしては物足りないが、不思議な魅力のある作品だ


Earthquake Bird (2019) on IMDb


Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/earthquake_bird
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/369715

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