映画「カツベン!」感想と解説(ネタバレあり) 映画愛にあふれた娯楽作品!!

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周防正行監督最新作
無声映画時代の活動弁士を描いた娯楽作品
なかなか楽しかった
カツベンを目指す主人公が落ち目の映画館を盛り立てる
そこにやくざや警察が絡み、大騒動が巻き起こる
成田凌の様々な声色を使った語りが素晴らしい
思わず聞きほれてしまった
ヒロインの黒島結菜を始め、キャストの顔ぶれも魅力的
笑いどころも多く、エンターテイメントに徹しているのが好感が持てた
活動弁士という職業も興味深く、まるで大正時代の映画館にタイムスリップした気分を味わえた
娯楽が少なく、誰もが映画に夢中になっていた時代
当時の熱気がよみがえる
映画愛にあふれた良作である


予告編

作品情報
作品名「カツベン!」
監督:周防正行
キャスト:成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、竹中直人、渡辺えり、井上真央、小日向文世、竹野内豊
上映時間:127分
製作国:日本(2019年)

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ざっくりあらすじ

染谷俊太郎は子供の頃、活動弁士になることを夢見ていたが………………

感想(ここからネタバレ)

大正時代の映画館の熱気が凄い

カツベン!

まだ映画に音がついてなくてモノクロだった時代
日本では楽士の演奏と活動弁士の軽妙洒脱な語りによって、映画は人気を博していた

染谷俊太郎は活動弁士になることを夢見る少年だった
ある日、俊太郎は梅子という少女と知り合う
梅子は貧しい家で育ったが、映画スターになることに憧れていた
俊太郎と梅子は仲良くなり、お互いの夢を語り合った

10年後、俊太郎は偽弁士として、泥棒の片棒を担がされていた
俊太郎はこんな生活がほとほと嫌になっていた
ある日、一味が警察に追われたどさくさに紛れて、俊太郎は逃げ出した

俊太郎がたどり着いたのはある小さな町
そこには青木館という落ち目の映画館があった
弁士や楽士が隣町のタチバナ館に次々と引き抜かれているのだ
人手が足りない青木館に、俊太郎は雑用として雇われた

傲慢で自信過剰な弁士、茂木
やる気のない楽士たち
気難しい映写技師
青木館のメンバーは曲者ぞろいだった
その中にかつては名声を極めた弁士、山岡秋聲もいたが、今ではすっかり落ちぶれて酒浸りとなっていた

雑用として忙しい日々を送る俊太郎
しかし、ライバルであるタチバナ館の勢いは凄まじく、青木館は日に日に傾いていった
そんな時、山岡が酒で酔いつぶれてしまった
代わりをやる弁士がいない
俊太郎はここぞとばかりに代役を名乗り出たが………………

周防正行

コメディから社会派ドラマまで
周防正行は日本の監督の第一人者である
相撲、社交ダンス、痴漢冤罪
日の当たらない題材をエンターテイメントに仕上げる手腕は、稀有なものがある

そして今回、周防監督がテーマに選んだのは活動弁士
いわゆるカツベンである
活動弁士が主役の映画なんて見たことがない
この作品は活動弁士という職業がいかなるものかを丁寧に語り、その上エンターテイメントに昇華している
並の手腕ではない

痴漢冤罪を描いた「それでもボクはやってない」は素晴らしい作品だった
しかし、やはり周防監督といえば「シコふんじゃった。」「Shall we ダンス?」のような作品の方が好きだ
日本でコメディを作れる監督は貴重だからだ
今回の「カツベン!」はエンターテイメントに徹していて、存分に楽しませてくれた
周防監督の本領発揮である

活動弁士という職業

知識としては知っていたが、詳しいことは分からなかった
ここまで活動弁士が人気のある職業だったとは

身振り手振り
感情のこもった語りで、客を魅了する
もはや映画よりも、弁士が主役のようなものだ
人気が出るのも頷ける

基本的にはこの作品は「カツベン」の活躍を、魅力的に描いている
実際に見てみたいと思えるほどだ
だがベテランの弁士である山岡に「活動弁士は不要な存在だ」とも言わせている
映画の主役は映画なのだと
時代とともに消え去っていった活動弁士
そんな文化があったということを、豊かなディテールで教えてくれるこの作品は、とても貴重な存在である

成田凌

この作品で目を引くのは、やはり成田凌の存在
様々な声色を使った臨場感たっぷりの語りには圧倒された
まるで渥美清を思わせるような、人を魅了する話術
ここまで力量のある役者だったとは

どこか朴訥で人の好さそうなところが俊太郎役にピッタリで、好感が持てた
今風の俳優だと思っていただけに意外である
クライマックス、窮地に陥った青木館で、俊太郎が一世一代の語りを披露する
成田凌のよどみない喋りに魅了された
このシーンだけでも「カツベン!」を見る価値がある

恋模様

幼い頃に離れ離れになった梅子
彼女は沢井松子という名で、映画女優となっていた
幼馴染との再会
再び惹かれあう二人
王道すぎる展開がむしろこの作品に合っていった

子供の頃に俊太郎からもらったキャラメル
その思い出を大事にしている梅子
一途なところがいじらしい

またライバルのタチバナ館の一人娘
俊太郎にご執心な井上真央演じる琴江
この三角関係も面白かった

キャラクター

青木館の主人を演じる竹中直人など、周防作品にはお馴染みのメンバーも出演
やはり安心感がある

美味しい役だったのが刑事を演じた竹野内豊
映画好きで、どこか抜けている
ちょっと銭形警部を思わせる
盗人の一味として俊太郎を追っている刑事
正体がばれるのではないか
そういったスリルも、いいスパイスになっていた

実力はあるが傲慢な弁士、茂木を演じた高良健吾も良かった
次第に頭角を現す俊太郎を敵視する
分かりやすい悪役でライバル

やくざの親分を演じた小日向文世
この人は悪役を演じると怖い
ニコニコしていても、目が笑っていない
不気味な凄味があった

落ちぶれた弁士、山岡を演じる永瀬正敏
最高に格好良かった
かつては人気絶頂だったが、今では酒浸り
しかし、時折見せる弁士としての冴えが渋い
俊太郎を導く重要な役だった

娯楽性

青木館で雑用をやっていた俊太郎
代役で急遽弁士をやることに
このシーンのカタルシスが凄い
素人だと思っていた俊太郎が見事なカツベンを披露
観客は拍手喝さい
前半のハイライトである

そういった俊太郎の人気で、落ち目だった青木館が、人気を盛り返していく
負け犬チームの反撃
「がんばれ!ベアーズ」などに代表される娯楽映画の定番である
皆が大好きな展開だ

そしてクライマックス、窮地に陥った青木館での俊太郎の一世一代のカツベン
ここの盛り上がりは凄かった
本作のピークである
惜しむらくはその後の追っかけシーンが、やたらダラダラと長かったこと
最高に盛り上がった後なので、そこはもっとコンパクトに描いて良かった気がする

成長あり、恋あり、笑いあり、アクションあり
娯楽性てんこ盛りだった

映画愛

大正時代の映画館
娯楽の少ない時代
そのため観客たちの本気度が凄い
場内の熱気
つまらなかったらブーイング
面白かったら拍手喝采
当時の熱狂ぶりが伝わってきた

終盤、タチバナ館の連中にフィルムを全て駄目にされた青木館
残ったフィルムをつなぎ合わせて1本の映画にして、賭けに出る
この展開が熱い
全く支離滅裂な映像を面白おかしく語る俊太郎
見ていて熱いものがこみ上げてきた
ちょっと「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出した

映画「カツベン!」を見ていたはずが、いつの間にか俊太郎の語りを聞きながら、作中の映画を夢中になって見ていた
まるで作品の中の観客の1人になったような不思議な感覚
この作品は映画館で観てこそだろう

まとめ

映画愛にあふれた良作
娯楽に徹しているのが嬉しい
劇場でも笑いが起こっていた
周防監督の手腕は健在
2019年の日本映画を代表する1本だ

allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/367966

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