Amazon「No Activity/本日も異状なし」ネタバレ感想 ヤバい奴しかいない!!

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Amazonオリジナルのサスペンス・コメディ
大規模な麻薬取引の張り込み現場で、ベテランだがちゃらんぽらんな刑事の時田と新人刑事の椎名は、仕事そっちのけで羽目を外すが…………

予測不能のサスペンス・コメディ
なかなか楽しめたが、人を選びそう

ベテランだが駄目刑事を演じる豊川悦司が魅力的
相棒の新人刑事を演じる中村倫也もいい味
また犯罪者を演じる岸谷五朗の怪演が凄かった
物語は予測不能なサスペンス・コメディ
日本では珍しいタイプのドラマである
前半はほとんどがキャラクターの掛け合いシーン
事件と関係のない雑談が延々と続く
普通の刑事ドラマを期待していると困惑するだろう
軽妙な会話は楽しかったが、テンポは遅く感じた
だが、中盤に入って物語が大きく動き出してからは、なかなか見ごたえがあった
Amazonオリジナルだけあって、かなり意欲的なドラマである
残念な部分もあったが、楽しく見ることが出来た
ただ、かなり不謹慎な内容なので、人は選びそうだ


予告編

『No Activity/本日も異状なし』 | 本予告編

作品情報
作品名「No Activity/本日も異状なし」
監督:英勉
キャスト:豊川悦司、中村倫也、木村佳乃、清野菜名、岸谷五朗、岡山天音、岸井ゆきの
全6話
製作国:日本(2021年)

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ざっくりあらすじ

大規模な麻薬取引の張り込み現場。新人刑事の椎名は万年ヒラでハッタリだけの刑事・時田とバディを組まされる。全くやる気のない時田に、いつしか椎名も感化されて…………

感想(ここからネタバレ)

日本でこういうドラマが出てきたのは嬉しい

麻薬取引

今夜、大掛かりな麻薬取引が行われる
その情報に捜査員たちは緊迫していた
そんな中である倉庫の前で張り込みをしている13号車だけは違った
ベテランだが仕事を全くしないハッタリだけの刑事・時田信吾
新人で人懐こいが刺激を求める刑事・椎名遊
時田と椎名は車の中で、延々と事件と関係ない無駄話を続けていた

一方、警視庁の無線連絡室では、ベテランのオペレーター・里見美里が捜査員に檄を飛ばしていた
その横には新人オペレーターの大平阿漓羅が懸命に仕事に励んでいた
従順そうな阿漓羅に美里は、次第にちょっかいを出すようになるが…………

その頃、時田と椎名が見張っている倉庫の中には、前科7犯の犯罪者・諌山と犯罪に手を染めるのはこれが初めてという一条がいた
どこか危険で変態的な印象の諌山
そんな諌山に一条は興味津々だった
諌山と一条が引き受けた仕事は見張り
その倉庫には拉致された女性・茉莉がいた…………

作品解説

監督は「東京リベンジャーズ」「ぐらんぶる」などの英勉

脚本はシソンヌのじろうが担当

ジャンル

本作はコメディ色の強い刑事のバディものである
日本で思い出すのは「噂の刑事トミーとマツ」「あぶない刑事」だろうか

また物語と関係ない無駄話が延々と続くところなどは、クェンティン・タランティーノの作風に近い
そして物語がどちらに転ぶか分からない予測不能のサスペンス
海外ではコーエン兄弟やガイ・リッチーの作品などを思い出すが、日本では珍しい
湿っぽい要素がないのもいい
かなり意欲的な作品だと言えるだろう

13号車

本作は3つのパートが並行して描かれる
ベテランだがやる気のない刑事の時田
新人で人当たりがいいが刺激を求める刑事の椎名
2人はコンビを組まされ、倉庫を見張ることになる

いい加減な時田の言動に感化されていく椎名
こんな所に犯人が現れるわけがない
調子に乗った2人は、持ち場を離れてコンビニへ
ところがそこで時田が拳銃を紛失してしまい…………

こんな軽いノリの豊川悦司を久々に見た
この人は不良中年がよく似合う
また今時の青年を演じた中村倫也も好演
2人の掛け合いも楽しかった

いい加減な時田に振り回される椎名
最初はそういう構図なのだと思っていた
しかし、次第に時田の方が常識人で、椎名の方がヤバい奴に思えてくる
その立場の逆転が面白い
時田が拳銃を失くしたと知って笑い転げる椎名は、まるで宇宙人のように見えた

無線室

捜査員に指示を出す無線室を仕切っているベテラン・オペレーターの美里
新人オペレーターで従順そうな阿漓羅
美里はしきりに阿漓羅に話しかける
だが、阿漓羅の相談に乗っているふりをして、美里は自分の話しかしない
次第に閉口する阿漓羅
ところが美里が夫の浮気の話をすると、阿漓羅の目の色が変わり…………

新人をいびるお局様
最初はそんな印象だった
ところが次第に大人しく見えた阿漓羅の異常なまでの正義感が浮き彫りになる
夫の浮気を追及する阿漓羅に、タジタジになる美里
ここでも先輩と後輩の力関係の逆転が描かれる

美里を演じた木村佳乃ははまり役
非常に生き生きとした表情を見せてくれる
そしてまともそうに見えて、いきなり豹変する阿漓羅を演じた清野菜名の熱演も見ものだった

倉庫

前科7犯で変態的な性癖を持つ諌山
普通じゃないものに憧れ、犯罪心理に興味津々の一条
2人の男の役割は、拉致した女を見張ること
だが、その女・茉莉が監禁されているこの状況を、生配信させて欲しいと言い出して…………

根っからの犯罪者である諌山が、若い2人に振り回される
ここでもジェネレーション・ギャップが描かれる
諌山を演じる岸谷五朗の怪演が凄い
危険な犯罪者という印象だったのが、次第に3人の中で一番まともに見えてくるのも可笑しかった
気弱そうに見えてサイコパスな一条や、人質なのに配信のことしか頭にない茉莉のキャラも強烈
次第に3人が慣れ合っていく姿が面白かった

作品の印象

どのキャラクターも個性的でヤバい奴らばかり
掛け合いも軽妙で楽しかった
ただまともなキャラがいないので、とっつきにくい部分はあった
中村倫也演じる椎名は、もう少し常識的なキャラでも良かった気がする
そうすれば周りのキャラの変人ぶりも、より際立っただろう

予測不能の物語は面白い
しかし、この手の作品は様々な偶然や出来事が、ラストにどう収束するかというのが最大の見どころ
その点では少し物足りなかった
特に麻薬取引の件は、これで終わりかと拍子抜けだった
いっそ時田と椎名が最後に大手柄を上げるというラストでも良かったと思う

この作品で繰り返し描かれるのはジェネレーション・ギャップ
時田、美里、諌山
先輩でベテランの立場のはずが、いつの間にか新人に主導権を握られる
そんな姿が面白おかしく描かれる
だが、最後にはその年長者たちのしたたかさやタフさが、浮き彫りになる構成が秀逸

まとめ

日本のドラマとしては、かなり意欲的
配信作品ならではだろう
残念な部分もあったが、楽しいシーンも多かった
シーズン2が作られるなら、さらにはじけたところが見てみたい

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No Activity (2021) on IMDb

allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/380646

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