2013年4月15日に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件の一部始終を綿密に描いた作品
凄まじい緊迫感と完璧な語り口
平和な日常が一瞬で破壊されるテロの恐ろしさをまざまざと思い知らされる
予告編
作品情報
作品名「パトリオット・デイ」(原題PATRIOTS DAY)
監督:ピーター・バーグ
キャスト:マーク・ウォールバーグ、ジョン・グッドマン、ケヴィン・ベーコン、J・K・シモンズ、ミシェル・モナハン
上映時間:133分
製作費:$45,000,000 (imdb推定)
製作国:アメリカ(2016年)
ざっくりあらすじ
2013年4月15日、50万人の観衆が詰めかける中、ボストンマラソンが開催されていた
だが、突然会場で大轟音と共に爆発が起きる
多数の負傷者が出て、混乱する現場
殺人課の刑事トミーは慌てて怪我人の救助に当たるが…………………
感想(ここからネタバレ)
ボストンマラソン爆弾テロ事件のことはもちろん知っていたが、その詳細までは把握していなかった
この「パトリオット・デイ」を見れば、その日に何が起こったのかを思い知らされる
爆弾テロ
一斉にスタートするランナーたち
それを見守る観衆
若いカップルや家族、友人同士
通りの両端に人が溢れかえり、それぞれがお祭り気分を楽しんでいる
平和な風景だ
だが、我々観客はこの後に何が起こるのか知っている
小さな子供を連れた父親や仲のいい夫婦などが描かれる度に、この人たちが犠牲になるんじゃないだろうかという猛烈な不安に襲われる
この序盤の緊迫感は凄まじい
このまま何も起きないでくれという願いもむなしく、突如轟く爆発音
血まみれの人々
泣き叫ぶ子供
道路を覆う血だまり
転がっている足
平和な日常が一瞬で地獄のような光景に変わる
テロとはこんなに惨くて恐ろしいものだということを、目の前に突き付けられる
しかも、これはフィクションではないのだ
捜査
マラソンは中止になり、駆け付けたFBIが陣頭指揮を執ることとなる
FBIや市警など大量の人員が動員され、犯人の割り出しが始まる
ここでの捜査がリアルでとても興味深い
広い捜査本部に現場を忠実に再現
街頭に設置してある監視カメラから犯人を探し出し、現場までのルートを探る
これでは逃げられるわけがない
悪いことをするのはやめとこうと正直思った(確かに
あんな事件を起こした犯人たちを絶対に許さない!!
街をパトロールして怪しい人物を探し、一人一人の被害者から話を聞いていく
懸命な捜査を続ける捜査員たち
この作品は犯罪捜査ものとしても素晴らしい完成度である
そして、ついには二人の容疑者が浮かび上がる
犯人たち
タメルラン・ツァルナエフとジョハル・ツァルナエフ
犯人は難民としてアメリカに移民してきたチェチェン人の兄弟だった
兄は26歳、弟はまだ19歳である
顔写真が公開された二人は街を離れ、次はニューヨークで爆弾テロを起こそうとする
だが、警察に追跡され、ついには激しい銃撃戦となる
爆弾を投げつける犯人
吹き飛ぶパトカー
ここでの銃撃戦は凄まじい
犯人逮捕までにこんな顛末があったとはまるで知らなかった
ベテラン警官のジェフを演じるJ・K・シモンズがいぶし銀の活躍
見事な見せ場となっている
銃撃戦の末、兄は死ぬが弟は逃亡
街には戒厳令が敷かれる
キャスト
現場で警備に当たっていた殺人課の刑事トミーを演じるのはマーク・ウォールバーグ
オリジナルのキャラクターらしい
トミーは最初、現状への不満ばかり口にする人物として描かれるが、事件にショックを受け犯人逮捕に執念を燃やす
そして、この街を守りたいと心から願うようになる
マーク・ウォールバーグはとても人間味のある演技でトミーを好演
代表作は多数あるが
「トランスフォーマー ロストエイジ」
コメディからアクションまで演技の幅が広い
ケヴィン・ベーコン
みんなのケヴィン・ベーコンキターーーーーーっ!!
この人が出てるというだけで無駄にテンション上がる
「パトリオット・デイ」ではFBI特別捜査官のリック・デローリエを渋く演じる
この人も出演作が多いが
「狼の死刑宣告」
あの「死霊館」のジェームズ・ワンとタッグを組んだ復讐もの
ただのサラリーマンが息子の仇をとるためにギャングと戦う姿に涙
ベーコンファンは必見だ!!
J・K・シモンズ
ベテラン警官のジェフを渋く演じる
本当にこの人はどの作品に出ても素晴らしい
代表作はやはりこれ
もはや説明不要
ピーター・バーグ
本作の監督
元々は役者としてデビューして今でもたまに出演している
監督作品も多く、実録作品からアクションまで幅広い
あの「バトルシップ」もこの人が監督だ!!(何で嬉しそうなんだよ
「ローン・サバイバー」
マーク・ウォールバーグと初めてタッグを組んだ作品
アフガンでたった4人で戦場に取り残されたネイビーシールズ隊員たちの壮絶な戦いを描く
これも実録もの
この作品の主人公
この「パトリオット・デイ」の主人公は捜査官であり爆弾の被害者であり犯人であり事件の目撃者である
最初にこの物語では事件の前の人々の日常をそれぞれ描く
夫婦の語らい、友人たちとゲームで遊ぶ若者、子供とふれあう父親、初めてのデートを申し込む青年
それらはまるで繋がりがなく、たわいない風景である
だが、そんな普通の人々が爆弾テロという非日常に巻き込まれることとなる
ニュースを見ただけでは分からない一人一人の顔が見えてくる
これぞ映画ならではだろう
まとめ
この作品の最後には事件にあった実際の人々が登場する
中には爆弾で足を失った人もいる
だが彼らは悪いことばかりではなかったと言う
あの事件のおかげで人々の優しさや思いやりに気づかされたというのだ
最悪の爆弾テロ
平和な日本に住んでいると容易に想像できない
だからこそこの作品は必見だ
テロの恐怖と人間の心の強さを深く心に刻むことが出来るだろう
完成度の高さに思わず舌を巻く傑作である
rotten tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/patriots_day_2016
allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359716
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