Netflixオリジナルのポーランド映画
女刑事が連続猟奇殺人に挑む
これはかなり面白かった
スピーディーな展開
次々と起こる殺人
派手な見せ場
秀逸なシナリオ
ヴロツワフという美しい街で起こる狂気の殺人事件
かなり気合の入ったエンターテイメントである
衝撃のラストまで、あっという間だった
「セブン」などが好きな人には楽しめるだろう
ただ内容的に多少スプラッターなシーンがあるので、苦手な人は注意
予告編
作品情報
作品名「ブレスラウの凶禍」(原題Plagi Breslau)
監督:パトリック・ヴェガ
キャスト:マウゴジャータ・コズホフスカ、ダリア・ビダフスカ、カタジナ・ブヤキビッチ
上映時間:93分
製作国:ポーランド(2018年)
ざっくりあらすじ
縫いつけられた牛革の中から、男の死体が発見された。だが、それは事件の始まりに過ぎなかった…………
感想(ここからネタバレ)
ポーランド映画を見るのは久々だが、一級のエンターテイメントになっている
事件
ある日、縫い付けられた牛革の中から、男の死体が発見された
女刑事のヘレナは現場に駆け付けた
その死体には「堕落者」という烙印が押されていた
ヘレナは相棒のヤレクと、事件の捜査に当たった
その牛革は牧場から盗まれた牛のものだった
被害者は食肉加工工場で働く男だった
男は職場で皆から嫌われていた
翌日、ヘレナに無線で連絡があった
街中を馬が駆け回って、騒ぎになっている
ヘレナはヤレクと二手に分かれて、馬を追った
橋でヘレナは馬を捕まえた
その馬にはロープが結ばれていた
ロープの先には切断された男の死体があった
ヤレクから連絡が入った
別の馬が街中で暴れている
ヘレナが駆けつけた時には、ヤレクは馬に踏まれ重傷を負っていた
その馬にも男の死体が結ばれていた
ヤレクは脳に損傷を受け、意識不明の重体だった
その時、中央局から助っ人のプロファイラーが来るという連絡があった
「中央の奴なんて、使いものになるはずがない」
ヘレナはヤレクのこともあり、陰鬱な気分だった
来たのはイウォナという女性だった
イウォナは現場で、男は2頭の馬にロープで縛られ、引きちぎられたのだと推測した
前日と今日
事件が起きたのは、どちらも午後6時
この犯罪は18世紀の「ブレスラウの凶禍」をなぞって行われている
明日も午後6時に誰かが殺される
イウォナはヘレナに、そう忠告するのだが…………
ヘレナ
腕利きの女刑事
連続猟奇殺人を担当することになる
かつては獣医を目指していた
演じるのはマウゴジャータ・コズホフスカ
物語の冒頭、車の中で1人涙を流すヘレナ
過去に婚約者を失い、いまだに心の傷を引きずっているのだ
彼女の事情は徐々に明らかになっていく
イウォナ
中央から派遣されたプロファイラー
優れた知識と観察力で、事件を追及していく
情に厚い人物でもある
最初は警戒していたヘレナも、次第にイウォナとの絆を深めていくが…………
演じるのはダリア・ビダフスカ
ブレスラウの凶禍
ブレスラウとはドイツ語で、ポーランド第4の都市ヴロツワフのことである
18世紀、フリードリヒ2世がドルヌィ・シロンスク(ポーランド中央の県)を支配し、ブレスラウを中心地にしようと計画した
しかし、そのためには犯罪を一掃しなければならなかった
堕落、強盗、賄賂、中傷、抑圧、不正
それらの罪を犯した者は、毎日午後6時に公開処刑された
月曜日は堕落者
火曜日は略奪者という風に
それが「ブレスラウの凶禍」である
犯人はブレスラウの凶禍をなぞって、殺人を行っている
猟奇殺人
この作品では毎日午後6時に人が殺される
そのことがテンポの良さと緊迫感を生んでいる
次々と殺人が行われるので、退屈する間がない
また不謹慎だが、殺人の方法がバラエティーに富んでいて見事
堕落者は月曜日に牛革の中で殺される
略奪者は火曜日に馬に引き裂かれる
汚職者は水曜日にオペラ会場で炎に包まれる
どれも手が込んでいて、ちょっとワクワクした
被害者は誰もが何らかの罪を犯した者
犯人の目的は何なのか?
その謎が次第に明らかになっていく過程も面白かった
「セブン」
この「ブレスラウの凶禍」を見ると、デビッド・フィンチャーの傑作「セブン」を思い出す人が多いだろう
実際に両者には共通点が多い
監督で脚本も担当したパトリック・ヴェガは、インタビューで影響を受けていることを認めた
パトリック・ヴェガ監督は「セブン」や「羊たちの沈黙」が大好きなのだそうだ
ポーランドで連続殺人ものを撮ってみたい
そのことがこの作品を作るきっかけになったようだ
「ブレスラウの凶禍」はかなり気合が入っており、ハリウッドに負けないエンターテイメントとなっている
また独特のポーランドらしさもあり、それが作品の個性となっている
個人的にはとても好感が持てた
シナリオ
本作はシナリオにも力が入っている
序盤で引っかかっていた謎が、後半で回収されていく展開は見事
また中盤の衝撃の展開
意外な形で犯人が明らかになり、本当に驚いた
終盤の二転三転する展開も素晴らしい
確かに現実的には不可能と思える部分もあるが、エンターテイメントは勢いが大事
娯楽作品としては文句なし
様々な仕掛けで楽しませてくれるエンタメ精神がいい
警察の上をいく犯人のクレバーさも良かった
相手が強敵じゃないと、物語も盛り上がらない
そんな基本を押さえた作品となっている
まとめ
ポーランド製のサイコ・スリラー
かなり楽しめた
93分、退屈することはないだろう
ちょっとダークな結末も悪くない
ハリウッド以外でも、こんなエンターテイメントが作られている
それが個人的に嬉しい
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_plagues_of_breslau
ブログTOPへ