Netflixで韓国映画「啓示」が配信された
「新感染 ファイナル・エクスプレス」「地獄が呼んでいる」などのヨン・サンホ監督作品
ある教会の牧師と心に傷を負った刑事は、失踪事件の真実を追うが…………
先の展開が読めないストーリー
神の啓示は本当にあったのか?
ラストシーンの意味とは?
海外サイトなどを参考にして解説してみた
もちろん全てが正しいかどうかは分からない
あくまで一つの解釈だと考えて欲しい
なお映画のネタバレ全開なのでご注意を!!
「啓示」
ソン・ミンチャンは「使命の国教会」の若き牧師
信仰心の厚いミンチャンは妻のシヨンと2人で、教会を切り盛りしていた
ある日、教会に挙動不審の男が入ってきた
ミンチャンはその男を勧誘し、名前を聞き出した
男はクォン・ヤンレと名乗った
実はクォンはかつて性犯罪で、刑務所に入っていた男だった
刑事のイ・ヨニはずっとクォンを追っていた
5年前、ヨニの妹ヨンジュは、クォンに監禁されて凌辱された
そのことを苦にして、ヨンジュは自殺
ヨニはいまだに悪夢にうなされていた
ミンチャンの息子ヨヌが、行方不明になった
妻のシヨンから連絡を受けたミンチャンは、必死に息子を探した
そして雨の中、クォンの住居へ足を向けたのだが…………
ソン・ミンチャンを演じるのはリュ・ジュンヨル
イ・ヨニはシン・ヒョンビン
クォン・ヤンレはシン・ミンジェ
制作はアルフォンソ・キュアロン
監督はヨン・サンホ
発端
息子のヨヌを保育園から連れ去ったのは、元受刑者のクォン・ヤンレではないか?
牧師のソン・ミンチャンはヤンレを疑い、彼の車を尾行した
尾行に気付いたヤンレは、人気のない田舎道で車を止めて、ミンチャン牧師を問い詰めてきた
掴みかかってきたヤンレに、ミンチャンは身を守るために反撃した
その結果、ヤンレは丘から転落し、岩に頭をぶつけてしまう
血を流して動かなくなったヤンレを死んだと思い込み、ミンチャンは動揺する
そこに妻のシヨンから電話がかかってきた
ヨヌは友達の家で見つかったというのだ
愕然と立ち尽くすミンチャン
その時、雷鳴がとどろき、ミンチャンは遠くの岩肌に神の顔が浮かぶのを見た
ミンチャンは全てを理解した
これは悪を滅ぼせという神の啓示なのだ
ミンチャンはヤンレの身体を、崖から突き落とした
イ・ヨニ
刑事のイ・ヨニはずっと悪夢にさいなまれていた
彼女の妹イ・ヨンジュは、5年前にクォン・ヤンレに監禁されて虐待を受けた
ヨニは妹の窮地に気付くことが出来なかった
ヨンジュは何とか逃げ出したが、精神を病んで自ら死を選んだ
妹が死んだのは自分のせいだと、ヨニはずっと思い続けてきた
シン・アヨンという女子中学生が失踪した
アヨンは「使命の国教会」に通っている少女だ
時を同じくして、クォン・ヤンレも姿を消した
警察はヤンレを少女誘拐の容疑者として捜索した
クォン・ヤンレがまた同じような事件を繰り返している
ヨニの脳裏にヨンジュの顔が浮かんだ
絶対にヤンレを逮捕し、少女を救わなければならない
クォン・ヤンレ
クォン・ヤンレはまだ生きていた
崖下に落とされたヤンレは、そこから自力で這い上がり、近くの老人ホームにたどり着いた
職員に介抱され、ベッドに横たわるヤンレ
そこにミンチャンが現れた
ミンチャンは妻の付き合いで、たまたま老人ホームを訪れたのだ
もし来ていなければ、ヤンレは救急車で運ばれ、警察に逮捕されていただろう
そして、自分のことも喋っていたに違いない
ミンチャンはこれは神の思し召しだと感じ、ヤンレを見つからないように廃墟のビルまで運んた
イ・ヨニはミンチャン牧師が怪しいと感じ、彼の痕跡をたどった
廃墟ビルにたどり着いたヨニは、監禁されたヤンレを発見する
署に連絡しようとしたヨニの前に、ヨンジュの幻影が現れた
「殺して。絶好のチャンスじゃないの!」
この男をどれだけ憎んだか知れない
妹の復讐のまたとないチャンス
だが、今ヤンレを殺せば、アヨンの居場所が分からなくなる
アヨンはまだ生きているかも知れないのだ
彼女を救わなければならない
そう決意した時、ミンチャンが戻ってきて、ヨニを気絶させた
廃墟ビル
ヨニが目を覚ますと、身体が椅子に拘束されているのに気付いた
ミンチャンが同じように拘束されたヤンレを連れてきた
そして、ヨニにこれからの計画を話した
ヤンレが銃でヨニを殺し、その後ヤンレがビルから落ちる
これが神の計画なのだと
そいつを殺すとアヨンの居場所が分からなくなるとヨニが訴えた
「アヨンはもう死んでいる」
ミンチャンは断言した
アヨンが生きているなら、神がヤンレを殺せと自分に命じるわけがない
神は完璧なのだ
ミンチャンはヨニを撃とうとしたが、彼女はそれをかわした
2人は取っ組み合いになった
ヨニは何とかミンチャンを手錠で、壁のパイプに繋いだ
だが、拘束されたヤンレが落ちていくのが見えた
ヨニは必死にヤンレを掴んだが、持ちこたえられない
「あの子は一つ目の怪物が食った…………」
ヤンレはそう呟いて、地面に落ちていった
一つ目の怪物
ヤンレが死んだことで、アヨンの手がかりは完全に途絶えた
彼女が失踪して、数日が経過している
警察はヤンレが働いていた建設中の再開発地区が怪しいと睨んでいるが、全てを調べるのには何日もかかる
ヨニはクォン・ヤンレの精神科医だったリー教授のオフィスを訪ねた
ヤンレが残した「一つ目の怪物」という言葉
彼のことを知れば、それの手掛かりが見つかるかも知れない
ヤンレは幼い頃、義父に毎日のように虐待を受けていた
一つ目の怪物とは彼のトラウマと何か関係があるのかも知れないと、リー教授は言った
そこに父から電話がかかってきた
父が送ったという写真を見ると、家に丸い窓が写っていた
「それはオクルス窓、または一つ目窓とも言うんだ」
父は再開発地区の工事現場で働いている
ヤンレが育った家にも、一つ目窓があった
そして、ヨンジュのアパートにも一つ目窓があったのだ
彼の中の怪物を目覚めさせたもの
ヨニの中で全てがつながった
ヨニは車で現場に急行した
再開発地区でオクルス窓があるのは、その家だけだ
取り壊す寸前の家で、しばられたアヨンを発見した
ぎりぎりのところで、ヨニはアヨンを救出することが出来た
妹は救えなかったが、今度は救うことが出来たのだ
ラストシーンの説明
ミンチャンは刑務所にいた
だが、彼はどこか誇らしげだった
ヨニはミンチャンと面会した
「アヨンさんを見つけました」
ミンチャンは愕然とした
神が自分にヤンレを殺せと命じたのだ
つまりアヨンが生きているはずがない
神は全てにおいて完璧なのだから
自分が啓示だと思っていたものは、何だったのか?
全てが崩壊するような気分だった
独房に戻ったミンチャンは、壁を見た
そこにはシミが神の顔を形作っていた
ミンチャンは雑巾でそのシミを拭き取ろうとした
もうミンチャンには神の啓示が信じられなかった
しかし、シミを拭いていくと、その下から現れたのは悪魔だった
それが啓示なのか、それともただの妄想なのか
もはやミンチャンには判断がつかなかった
啓示とは
この物語は自分にしか見えないビジョンに突き動かされる3人の人物を描いている
ソン・ミンチャンは神の啓示
クォン・ヤンレは怪物
イ・ヨニは妹の虚像
3人の本質は同じなのだ
ミンチャンはヤンレを殺したと思った時、神の啓示を見た
神が悪人を罰するように望んでいるのだと、ミンチャンは信じた
だが、それは殺人の罪や警察に捕まる恐怖に耐えきれず、自分の行為を正当化しようとする防衛本能だった
ヤンレは一つ目窓に、幼い頃の怪物を見た
怪物がやらせているのだ
自分のせいじゃない
ヤンレは自分の残虐な行為を正当化した
ヨニはいたるところで死んだ妹の姿を見た
そのたびに彼女は苦しんできた
ヨンジュは救ってくれなかった自分を恨んでいるのだ
だが、それは本物のヨンジュではなく、自分自身の罪悪感が形を成した姿だった
「この世の悲劇はほとんどが、個人の力が及ばない複雑な原因の組み合わせで起こる」
劇中でリー教授はこう語る
だが、人は悲劇が起こった時、それに理由や意味を求めてしまう
そうしなければ、心が耐えきれないからだ
そして、何でもない自然現象やシンボルから深い意味を見出し、それが”啓示”となる
そうして自分を正当化するのだ
「私は人間のもろさや、それがいかにして破滅につながるかに惹かれる人間だと思う」
ヨン・サンホ監督はそう語った
ランダムな物事から意味を見出そうとすることを「パレイドリア」という
「それは人間だけが行う行為で、とても興味深く、そのテーマに取り組みたいと思いました」
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