Netflixのオリジナルドラマ「アドレセンス」が配信された
イギリスのある町で、13歳の少年が警察に逮捕された
女子生徒を殺害したというのだ
少年の家族は何かの間違いだと訴えるが…………
衝撃的なドラマ
ジェイミーは本当にケイティを殺したのか?
その動機は?
海外サイトなどを参考に解説してみた
なおドラマのネタバレ全開なのでご注意を!!
「アドレセンス」
ジェイミー・ミラーは13歳の少年で、イギリスのある町に住んでいた
父親のエディ、母親のマンダ、姉のリサの4人家族だ
ある朝、ミラー家に警察が突入してきた
突然のことに驚くエディたち
殺人容疑だと言って、警部のバスコムはジェイミーを逮捕した
警察署に連行されるジェイミー
両親は信じられない出来事に動揺を隠せない
ジェイミーは何度も「僕は何もしてない」と訴え続けた
事件が起こったのは昨夜で、殺されたのはジェイミーの同級生で、ケイティという少女だった
彼女は駐車場で7回も身体を刺されていた
エディたちは何かの間違いだと、ジェイミーの潔白を信じるが…………
制作のきっかけ
12歳の少女エヴァ・ホワイトは2021年11月25日に、イギリスのリバプールで14歳の少年に殺害された
それ以外にもイギリスでは、凶悪なナイフ犯罪が急増していた
そうした事件を憂いた俳優のスティーヴン・グレアムは、少年による少女への極端な暴力行為の動機を探るドラマを考案した
オーディションで500人の少年の中から、ジェイミー・ミラー役が選ばれた
選出されたアシュリー・ウォルターズは、演技未経験だった
事件
駐車場でケイティという名の女子学生が殺された
彼女はナイフで7回刺されていた
そして、警察はジェイミー・ミラーという13歳の少年を逮捕した
ジェイミーはケイティと同級生で、顔見知りだった
ジェイミーは「僕はやってない」と何度も訴えた
しかし、警察は決定的な証拠を握っていた
駐車場の防犯カメラに、ジェイミーがケイティを殺す一部始終が録画されていたのだ
それでもジェイミーは犯行を否認した
だが、その映像を見たジェイミーの父・エディは、「何てことを…………」と顔を覆った
動機
ジェイミーがケイティを殺した
その証拠は十分に揃っていた
しかし、バスコム警部に分からないのは、その動機だった
普通の少年にしか見えないジェイミーが、どうしてこれほど残酷な犯行を行ったのか?
ケイティはジェイミーのインスタグラムに、コメントを投稿していた
2人は友人ではなかったのか?
けれど、バスコムの息子のアダムが、その本当の意味を教えてくれた
ケイティのコメントは一見すると友好的なものだった
だが、そこに描かれている絵文字には別の意味があった
絵文字は赤い薬をダイナマイトで爆発させていた
赤い薬はマノスフィア、男性中心主義者を意味していた
マノスフィアの考え方の根底には、「80対20の法則」がある
女性の80%はわずか20%の男性に惹かれる
つまり自分たちがもてないのは女性が悪いという、女性蔑視の考え方だ
ケイティはジェイミーは男性中心主義者で、インテル(一生、童貞)だと罵った
そして、そのコメントに”いいね”がたくさんついていた
ジェイミーはネットでいじめられていて、その首謀者はケイティだったのだ
その夜、友人のトミーとライアンと町を歩いていたジェイミーは、ケイティを見かけた
ジェイミーは嫌がらせをやめるように忠告するため、ライアンからナイフを借りて、ケイティを1人で尾行した
そして、駐車場でケイティに詰め寄った
しかし、拒絶されてジェイミーは彼女を刺したのだ
ジェイミー
事件から7ヶ月後、ジェイミーは収容訓練施設に入れられていた
心理学者のブリオニーは、ジェイミーと面会した
ジェイミーはいまだに犯行を否認していた
しかし、何があったのかを、少しずつ話し始めた
自分はブサイクだからもてない
ジェイミーは自分に自信が持てなかった
ある日、スナップチャットで上半身裸のケイティの写真が出回った
その写真はクラス中で拡散された
ジェイミーはその事件の後、ケイティをデートに誘った
彼女が傷ついている今なら、優しくすれば自分を好きになってくれるかも知れないと期待したのだ
だが、ケイティは「そこまで堕ちてない」と、その誘いを冷たく断った
それからケイティのジェイミーへの、ネットでのいじめが始まった
そのコメントに多くの人が賛同した
誰もがジェイミーのことをインテル、一生童貞、男性中心主義者の一員だとはやし立てた
傷ついたジェイミーは男性中心主義者のグループのことを、ネットで調べた
そして、その考えに強く影響を受けていった
エディ役で脚本も担当したスティーヴン・グレアムは、以前は男性中心主義者やそのウェブやネットワークでの影響について無知で、調べてショックを受けたと語った
家族
事件から13ヵ月が経った
その日はジェイミーの父親エディの50歳の誕生日だった
妻のマンダや娘のリサは、誕生日をお祝いしてくれた
だが、ミラー家は事件の後、同じままではいられなかった
エディたちはいまだに現実を受け止め切れていなかった
ジェイミーの裁判が間近に迫っていた
その日、ジェイミーから電話がかかってきた
「容疑を認めようと思ってる」
今までジェイミーは一貫して、犯行を否認してきた
それが初めてジェイミーは自分が殺したと認めたのだ
ジェイミーの告白を聞いて、エディとマンダはついに現実を受け入れた
2人は家族が4人揃っていた頃を懐かしんだ
どうしてこんなことになったのか?
自分たちは何か間違いを犯したのか?
必死に考えても、答えは出なかった
自分たちには息子を殺人者にした責任がある
何か違った行動をしていたら、事件を未然に防げていたのだろうか?
罪悪感に苦しんでいる2人の前に、娘のリサが現れた
リサは2人を優しく励ました
彼女はいい子に育っている
そんなリサを育てたのも自分たちなのだと、2人はわずかに救われた気持ちになった
ラストシーンの説明
エディはジェイミーの寝室に入った
そこは事件が起きる以前と同じままだった
部屋の中を見て回ったエディは、ジェイミーのベッドにうつぶせになって泣いた
「ジェイミー、ごめんな。パパの力不足だった」
エディはベッドの上にあったテディベアにそう語り、静かに部屋を後にした
「あの部屋で終わらせたいと思っていました。旅が始まった場所で終わらせたかったのです」
スティーヴン・グレアムはラストシーンについて、こう語った
SNSによるいじめ、ネット上でのプロパガンダ
「ジェイミーという人物が作られたのはここです」
「アドレセンス」は「Through the Eyes of a Child」という美しい歌で幕を閉じる
この曲は子供のような魂の喪失、それへの憧れを歌ったものだ
そして、この歌を歌っているのは、ケイティ役のエミリア・ホリデイである
「ケイティはシリーズ全体の一部です」と監督は語った
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