Netflix「ヘイター」ネタバレ感想 実際の事件も予測した衝撃のスリラー!!

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Netflixオリジナルのポーランド映画
凄い映画である
知的で緻密で刺激的
ネットで増幅する悪意
一級のスリラーとなっている
アメリカ最大の映画祭の一つトライベッカ映画祭で、最優秀作品賞をとったのも頷ける

だが、凄まじく胸糞の悪い映画である!!

平気で嘘をつき他人を陥れる全く共感が出来ない主人公
寒々しい人間関係
2時間16分と長く、前半はかなり退屈だった
ハッキリ言って、好きな映画ではない
しかし、クライマックスはかなり衝撃的だった
見終わった後も嫌な気分がずっと残っている
映画に娯楽性を求める人は、見ない方がいいだろう
精神的にかなりきつい作品だ
だが骨のある映画を求めている人なら、時間の無駄にはならないはずだ
ただ見るとかなりヘイトが溜まるので、ご注意を!!


予告編

作品情報
作品名「ヘイター」(原題The Hater)
監督:ヤン・コマサ
キャスト:マチェイ・ムシャウォウスキー、アガタ・クレシャ、ダヌタ・ステンカ、ヴァネッサ・アレクサンダー、マチェイ・シュトゥル
上映時間:136分
製作国:ポーランド(2020年)

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ざっくりあらすじ

大学を追放させられたトマシュは、あるPR会社に就職した。しかし、そこは有名人や企業をネットのクチコミなどで貶める危険な職場だった…………

感想(ここからネタバレ)

久しぶりに嫌な映画を見た
ガス・ヴァン・サントの「エレファント」以来かも知れない

悪意

大学の法学部のトマシュは、論文で盗作をして退学となった
学費の支援をしてくれている裕福なクラスカ家
そのロバートゾフィアの夫婦には「大学は順調です」と嘘をついた
クラスカ家の娘ガービと、トマシュは7年ぶりに再会した
トマシュは美しいガービにすっかり夢中になった

学生寮を出ることになり、仕事を探さなくてはならない
トマシュは店でベアタというPR会社の女社長と出会った
ベアタにトマシュは自分を売り込んだ
面接を受け、トマシュは一か月の試用期間として採用された

だが、その会社は危険な職場だった
依頼を受け、ネットで有名人や企業を陥れる
かなり違法スレスレだ

トマシュはその会社ですぐに頭角を現した
嘘のクチコミや根拠のないデマで、相手にダメージを与える
トマシュはベアタに気に入られ、大きな仕事を任された
それは市長候補のルドニツキの評判を落とす仕事だった
ルドニツキはロバートやゾフィアとも親しかった
トマシュはあらゆる手を使い、ルドニツキの弱みを探るが…………

前作

この「ヘイター」は同じヤン・コマサ監督が2011年に撮った「自殺ルーム」の続編にあたる

主人公トマシュの雇用主となる女社長ベアタは、前作の犠牲者の母親である
だが、厳密にはストーリーの繋がりはないようだ
どちらもネットやソーシャルメディアが、人々に及ぼす恐ろしい影響を描いている

トマシュ

田舎から出てきた青年
大学の法学部で優秀な成績だったが、論文が盗作だったとして退学になった
イケメンで頭の回転が速く、真面目な態度
観客も含めて、多くの人がその見た目に騙される
しかし、実際にはかなり危険な人物である

平気で他人に嘘をつき、そのためなら涙も流す
善良な人を陥れても、良心の呵責をいっさい感じない
倫理観を持たず、目的のためなら何でもする
他人を操り、自分の手は汚さない

見ていて本当にイライラした
これほど共感できない主人公も珍しい
最後にはこの男が恐ろしいモンスターに見えてきた
誰かこいつを痛い目にあわせてくれと、本気で願った

この映画のジャンル

この「ヘイター」に似ていると感じたのは、「タクシードライバー」「ジョーカー」

社会的底辺の精神を病んだ主人公が、有名人をターゲットにする
どれも同じような構図の物語である

ただ厄介なのは「ヘイター」の主人公のトマシュは、見た目では異常だと全く分からない
むしろ好感の持てる人物に見える
そのためトラヴィスやアーサーより悪質かも知れない
キャラクターがより近いのは、ヘイデン・クリステンセンが平気で記事を捏造する記者を演じた「ニュースの天才」だろう

頭が切れ、周りの評判もいい
だが、実際には善悪の概念が欠落している

復讐

トマシュは有力な市長候補であるルドニツキを陥れるように依頼される
それはあくまで法に触れない範囲で、ルドニツキの評判を落とすことだった
しかし、トマシュは次第に暴走していき、ついにはルドニツキの殺害を企てる

それは復讐だった
裕福なクラスカ家
美しい娘、ガービ
だが大学を退学になったことを隠していたのがばれて、ロバートとゾフィアはトマシュを娘に近づけまいとする
クラスカ家の人々は、ルドニツキを熱烈に支持していた
痛い目に合わせてやる

もはや異常である
トマシュに良心の呵責は一切ない
心底ゾッとした

ネットで拡散する悪意
膨らむ妄想
何の罪もない人を、キーボードで簡単に陥れ、あざ笑うトマシュ
見ていて、うすら寒い気持ちになった
そして、クライマックスは最悪の事態を迎える

暗殺

2019年1月13日、ポーランドのグダニスクの市長パベウ・アダモビッチが、クリスマス・チャリティのイベントで、ステージに上がってきた男にナイフで刺され死亡した
その時点で「ヘイター」は撮影が終わったばかりだったが、数々の類似点が指摘された

殺されたのはリベラル派の市長(「ヘイター」は市長候補)
しかも映画と同じく同性愛者
犯人は同じく極右の差別主義者

この事件の影響で、「ヘイター」の公開は延期された

まとめ

凄まじい映画である
本当に胸糞悪い気分にさせられた
だが着眼点は鋭い
実際の暗殺事件まで予測してしまった本作
好きにはなれないが、クォリティの高さは保証付きだ


Sala samobójców. Hejter (2020) on IMDb


Rotten tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_hater

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