Netflix「キング」感想 若き王の苦悩、壮絶な合戦!!

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素直に凄い
今、劇場で公開されている作品で、これを上回るものがどれだけあるか
非常に見ごたえのある歴史ドラマである
といってもティモシー・シャラメやロバート・パティンソンなど、若手のイケメン俳優を起用しているので堅苦しくはない
また決して軽薄にもなっていない絶妙なバランス
脇を固めるキャラクターも存在感抜群
王の孤独、苦悩、非情な決断
合戦シーンの圧倒的な迫力
2時間20分があっという間だった
映画の入場料金を払ってもいいぐらいの価値はある
ドラマチックな映画が見たいなら必見!!


予告編

ティモテ・シャラメ主演『キング』ティーザー予告編 – Netflix

作品情報
作品名「キング」(原題The King)
監督:デビッド・ミショッド
キャスト:ティモシー・シャラメ、ジョエル・エドガートン、ジョーン・ハリス、リリー=ローズ・デップ、ロバート・パティンソン
上映時間:140分
製作国:イギリス、アメリカ、オーストラリア(2019年)

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ざっくりあらすじ

自由気ままに暮らすハル王子は、思いもよらぬ成り行きから、イングランドの王位を継承することになり………………

感想(ここからネタバレ)

11月1日にNetflixで配信される前に、10月25日から日本でも一部の劇場で公開された
確かにスクリーンで見てみたい作品だ

王位継承

ハル王子はイングランドの王位継承者だったが、父親のヘンリー4世の戦争政策にうんざりしていた
そのため王城から離れ、飲み友達のジョン・フォルスタッフと酔いつぶれ、喧嘩をして、女を抱く自堕落な生活を送っていた
王位継承に興味はない
弟のトマスに任せておけばいい

ある日、城から使者が来た
王が危篤なので、急いで城に戻れというのだ
さらには弟のトマスが戦場で討ち死にしたという

城に戻ると、重体の父は次の王はハルが継ぐように言い残して逝去した
ハルは心ならずもイングランドの若き王となった

ハルは父のやり方を真似するつもりはなかった
戦争で兵士たちを無駄に死なせるのは御免だ
もっと平和的に解決できるはずだ

ところが、そんなハルの思いと裏腹に、恐るべき陰謀が明らかになった
フランスがイングランド国王であるハルの命を狙っているというのだ
このことはいずれ国民にも知られることとなる
何もせず手をこまねいていては、王の権威は失われる
フランスと戦うべきか?
ハルは大きな決断を迫られるが………………

監督

デビッド・ミショッドはオーストラリア出身の監督である
Netflixではブラッド・ピット主演の「ウォー・マシーン 戦争は話術だ!」を手掛けている

この作品は痛烈なアメリカへの風刺など光るところもあったのだが、全体的にはいまいちという印象だった
そのため、この監督がこんな重厚な時代劇を描けるとは思ってもみなかった
予想以上に引き出しの多い監督なのかも知れない

また脚本はデビッド・ミショッドとジョン・フォルスタッフを演じたジョエル・エドガートンが共同で手掛けている

ヘンリー5世

ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ヘンリー四世 第1部」「ヘンリー四世 第2部」「ヘンリー五世」にインスピレーションを得て、「キング」は作られた
ヘンリー5世は1413年3月20日に父であるヘンリー4世が亡くなり、王位を継承した
1415年、フランスに遠征し、有名なアジャンクールの戦いでフランス軍主力を破った
ヘンリー5世はフランスと和解し、シャルル6世の娘キャサリンと結婚した

映画で描かれたのはこの辺りまでだが、何とヘンリー5世はこの2年後に赤痢で亡くなっている
享年34歳だった

ちなみに劇中に登場するキャラクターの多くは実在の人物が元となっているが、ハルの親友であるジョン・フォルスタッフはシェークスピアの創作である

ハル(ヘンリー5世)

親友であるジョンと酒を飲みふけり、惰眠をむさぼる自堕落な生活
ハルの登場シーンは王子とは思えない体たらくぶりだった
しかし、じょじょに分かってくる
自暴自棄な生活を送っているのは、父の政策に失望しているせい
もっと国を良くしたい
無駄な流血は避けたい
だが、必要となれば勇敢に剣を取って戦う男だということを

序盤のハルはとにかく格好いい
戦場での一騎打ちの場面は惚れ惚れした
一見、華奢だが賢明で優しく勇敢
そんなハルをティモシー・シャラメは魅力的に演じている

心ならずも王となったハル
その高い理想と裏腹に、現実は過酷だった
王としての孤独、重責
友を処刑しなければならない場面もある

ジョンは言う

「王に友はいない。従者と敵がいるだけだ」

フランス軍の汚いやり方にハルが激昂して「捕虜を皆殺しにしろ!!」と怒鳴るシーンは衝撃的だった
あの優しいハルでも王という立場は、己を狂わせてしまうのだ
ハルがいかに重責に押しつぶされそうになっているか垣間見えるシーンだった

ジョン・フォルスタッフ

ハルの飲み友達
かつては名の知れた戦士で、戦争に心底うんざりしている
王となったハルが、唯一心から信頼できる友である

ジョエル・エドガートン演じるジョンがすこぶる魅力的
シリアスな場面の多いこの作品で、場を和ますムードメーカーでもある
またハルが道を見失った時、正しい道を指し示す存在だ

戦術家としての手腕を発揮するアジャンクールの戦い
自分が立てた作戦だからと、自ら危険な先遣隊を買って出るジョン
心配するハルにジョンは笑顔で言う

「居酒屋で死ぬよりは、ここで死んだ方がマシだろ?」

涙なしには見られない
これぞ男の散り際だった

ルイ・ド・ギュイエンヌ

「トワイライト」シリーズで有名になり、次のバットマン役にも決定しているロバート・パティンソン
本作ではフランスの皇太子ルイとして出演している

今回のロバート・パティンソンは凄い
とにかく邪悪!!
その禍々しい笑みに圧倒された
残忍な方法でハルを挑発するルイ
このキャラのおかげでクライマックスは盛り上がった

そしてルイの最期
まさかのオチで大爆笑
美味しいところ、全部持っていった!!

合戦

アジャンクールの戦い
圧倒的に不利な状況
それでも諦めず戦いに挑む男たち
このシチュエーションに燃えないわけがない!!

思い出したのはNetflixのこの作品

クリス・パイン主演の壮大な歴史スペクタクル 純正のNetflixオリジナル映画である 美しい大自然の中、ド迫力の合戦シーンが描かれる ...

「アウトロー・キング スコットランドの英雄」
クリス・パイン主演のNetflixオリジナル映画
「キング」より前の時代で、イングランド軍に立ち向かうスコットランド軍を描いた作品である
これを見るとイングランドの極悪さがよく分かる
クライマックスのぬかるんだ地面を利用した闘いが、「キング」に通じるものがある

どちらの作品も人と馬が波のように押し寄せ、鎧と鎧がぶつかる様は壮観だった
大画面で見たい場面である

結末

「キング」は十分に面白かったが、あまり深みのない作品だなと感じた
まるで勧善懲悪
イングランド礼賛のようになっているのだ
ラストシーンまでは!!

フランスはハルの暗殺など企んでいなかった
全てはフランスとの戦争を目論む側近の陰謀だったのだ
これには驚かされた
王という立場がいかに孤独か
周囲の者を誰も信用できない
誰もが王の力を利用しようとしているのだ
この苦い結末で、この作品の評価は上がった
見事な脚本だ

まとめ

普通にクォリティ高い
これがNetflixオリジナルとは
「アウトロー・キング」といい、歴史スペクタクルはNetflix専売のようになってきた感すらある
キャストもストリーミング作品とは思えないほど、豪華すぎる
見ごたえ満点
現代の視点も忘れない
歴史ドラマの醍醐味を十分に堪能した


The King (2019) on IMDb


Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_king_2019
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/369724

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