Netflix「これからの人生」ネタバレ感想 ソフィア・ローレンの圧倒的存在感!!

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Netflixオリジナルのイタリア映画
マダム・ローザはひったくり犯の黒人の少年を、ひょんなことから引き取ることになるが…………

大女優ソフィア・ローレンの貫禄が凄い
不良少年を演じるイブラヒマ・ゲイェの演技もリアル
孤独な2人の交流が胸を打つ

かなり優れた人間ドラマ
愛を知らなかった黒人の少年の心の成長が清々しい
ソフィア・ローレンは圧倒的な存在感
彼女の演技を見るためだけでも、鑑賞する価値があるだろう


予告編

『これからの人生』予告編 – Netflix

作品情報
作品名「これからの人生」(原題La vita davanti a sé)
監督:エドアルド・ポンティ
キャスト;ソフィア・ローレン、イブラヒマ・ゲイェ、レナート・カルペンティエリ
上映時間:95分
製作国:イタリア(2020年)

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ざっくりあらすじ

マダム・ローザは街中でひったくりにあう。犯人は12歳の黒人の少年だった。ひょんなことからマダム・ローザは、その少年を引き取ることになり…………

感想(ここからネタバレ)

やはりソフィア・ローレンが素晴らしい

出会い

マダム・ローザは年老いたユダヤ人女性
ローザは下町のアパートで、売春婦の子供たちを養育しながら生計を立てていた
ある日、ローザは市場でひったくりに遭う
犯人は12歳のセネガル出身の黒人少年モモだった

モモはローザの知人であるコーエン医師が預かっている少年だった
コーエンはモモを連れて、ローザのところへ謝りに来た
ところが話はそれだけでは終わらなかった
孤児で行き場のないモモを、マダム・ローザに預かって欲しいというのだ
ローザは難色を示したが、コーエンのしつこさに根負けして、結局引き受けた

モモはマダム・ローザに反抗的な態度だった
しかもローザの目を盗んで、ヤクの売人をやっていた
ローザはモモを持て余した

しかし、一緒に生活する内に、2人の距離は近づいていった

ローザが預かっている少年ヨシフ
売春婦のローラ
ローザの知り合いの店主

いつの間にかモモは、ローザの知人たちと親しくなっていた
今までずっと孤独に生きてきたモモ
信頼できる人間などいなかった
だが、マダム・ローザは初めて会った信頼できる大人だった
日々は穏やかに過ぎていった

けれど、そんな日々も長くは続かなかった
マダム・ローザの様子がおかしいのだ
雨の中、焦点の合わない目でボーっとしていたり、いきなり何かに怯えだしたりする
心配するモモ
そして、モモはマダム・ローザがホロコーストの生き残りだと知り…………

作品解説

原作はフランスの作家ロマン・ガリーの1975年の同名小説

本作は1979年にも映画化され、アカデミー賞の外国語映画賞を受賞している

監督のエドアルド・ポンティはソフィア・ローレンの息子

2020年11月3、4、5日にイタリアの映画館で公開される予定だったが、新型コロナウイルスの流行で中止となった

マダム・ローザ

マダム・ローザは年老いたユダヤ人の女性
売春婦の子供たちを預かり、面倒を見ている
気丈でしっかり者で情に厚い
町の人々に慕われている
実はアウシュビッツの生き残り
後半は病気が進行し、記憶もおぼろげになるが…………

演じるのはソフィア・ローレン
伝説的な大女優である
イタリアだけではなくハリウッドでも活躍
1960年の「ふたりの女」でアカデミー主演女優賞を受賞

ソフィア・ローレンがいかに伝説的な女優かは、今までに共演した俳優の名前を挙げるだけで理解できる

クラーク・ゲーブル、フランク・シナトラ、チャーリー・チャップリン、マーロン・ブランド、ジョン・ウェイン、バート・ランカスター、ポール・ニューマン、グレゴリー・ペック、ピーター・セラーズ、チャールトン・ヘストン、ウィリアム・ホールデン、アンソニー・クイン、ピーター・オトゥールなど

枚挙にいとまがない

本作は2009年の「NINE」以来のソフィア・ローレンの長編映画復帰作
長い間、スクリーンから離れていても、その輝きは健在だった

モモ

本名はモハメド
モモと呼ばれている
セネガル出身の黒人少年
両親はいない
誰も信じられず、ヤクの売人として生計を立てようとするが…………

演じるのは新星イブラヒマ・ゲイェ
大女優ソフィア・ローレン相手に物おじせず、素晴らしい才能を見せている

対立

モモは決して他人に心を開こうとしない
今までずっと1人で生きてきた
奴らとは人種が違うのだ

人種差別
移民
貧困
ドラッグ

本作では現実社会の様々な問題が浮き彫りになる
モモがああなってしまったのも無理からぬことだろう
彼には周りに信頼できる大人がいなかったのだ

家族

そんなモモが少しずつマダム・ローザやその知人たちに、心を開いていく
その姿は感動的だ

特に印象的だったのが、ヨシフとのエピソード
同じようにマダム・ローザに預けられている少年ヨシフ
最初は全くそりが合わなかった
だが、いつの間にか本当の兄弟のようになっていく
ところが音信不通だった母親が、ヨシフを迎えに来る

「寂しくなんかない!」

そう言いつつヨシフが去った後、涙を流すモモの姿に胸を締め付けられた

2人きりになったモモとマダム・ローザ
取り残された者同士
2人の絆は強くなっていく

悲劇

孤児で黒人
周りに馴染むことが出来なかったモモ
そして、ホロコーストの生き残りであるマダム・ローザも、本当の意味では孤独だった
彼女は時折、アパートの地下の薄暗い部屋で、1人で過ごす
そうしていると落ち着くのだと言う

モモとマダム・ローザ
2人は似た者同士だった
その孤独な魂はお互いを必要とした

だが、ローザの病気が進行し、意識がおぼろげになっていく
ローザはモモに頼む

病院では死にたくない

ローザにとって病院は、アウシュビッツの記憶が蘇るのだ

倒れて病院に運ばれたマダム・ローザ
彼女はすでにモモのことすら分からなくなっていた
モモはそんなマダム・ローザを、こっそり病院から連れ出す
マダム・ローザと約束したからだ

アパートの地下室で、マダム・ローザは息を引き取る
モモはまた全てを失ってしまった
葬儀の日、モモはマダム・ローザの墓で周りを見回した
ローザの知人たちが自分のことを心配そうに見ている
自分はもう1人じゃない
マダム・ローザは大きなものを残してくれた
厳しくも胸を打たれるラストだった

まとめ

やはりソフィア・ローレンの存在が圧倒的
とても86歳とは思えない
ソフィア・ローレンの演技の端々から、彼女が携わってきた映画の歴史が垣間見える
モモを演じたイブラヒマ・ゲイェも素晴らしかった
演出や音楽も良好
何より生きたレジェンドの演技を目の当たりにできる貴重な一作である


La vita davanti a sé (2020) on IMDb


Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_life_ahead_2020
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/374480

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