Netflixオリジナルの韓国ドラマ
全てに絶望した女子高生アイの前に、1人のミステリアスな魔術師が現れて…………
1人の魔術師が少女を救うミュージカル・ファンタジー
気が滅入る展開も多いが希望を信じたくなる良作
借金で親は逃亡し、幼い妹を一人で面倒見ている女子高生ユン・アイ
彼女に降りかかる過酷な試練の連続に、かなり胸が痛んだ
そんなアイの前に現れる1人の魔術師
彼は本物の魔法使いなのか?
優しいがミステリアスな魔術師リウルを演じるチ・チャンウクが魅力的
リウルが見せる魔法は幻想的でワクワクした
学年一の秀才ナ・イルドゥンとアイの恋愛模様も甘酸っぱい
ミュージカルシーンは数は多くないが、要所要所に用意されて効果的
なかなかクォリティが高かった
単なる感動ものかと思いきや、後半はミステリーのような展開
一筋縄ではいかない作品となっている
毎回気になるところで終わり、一気に見てしまった
良質なドラマを探している人にはおススメ
予告編
作品情報
作品名「アンナラスマナラ -魔法の旋律-」(原題Annarasumanara)
監督;キム・ソンユン
キャスト:チ・チャンウク、チェ・ソンウン、ファン・イニョプ、ジ・ヘウォン
全6話
製作国:韓国(2022年)
ざっくりあらすじ
様々な不幸を背負った女子高生、ユン・アイ。全てに絶望した時、アイは廃墟となった遊園地に住む1人の魔術師と出会う…………
感想(ここからネタバレ)
韓国のミュージカルは初めて見た…………
遊園地の魔術師
丘の上の廃墟となった遊園地
そこにミステリアスでイケメンな魔術師が住んでいる
高校でそんな噂が広まっていた
その魔術師は本物の魔術で人を消してしまう
そうして行方不明になった者が何人もいるというのだ
女子高生のユン・アイは困窮していた
会社が倒産し、父親は借金取りから逃亡
幼い妹ユイの面倒をアイは一人で見ていた
アイはその日の食事に困るほどお金がなかった
新しいクラスでアイは、ナ・イルドゥンの隣の席になった
イルドゥンは学年トップの秀才
ただし数学だけはアイの方が上だった
プライドの高いイルドゥンは、アイのことを一方的に意識していた
とにかくお金がなくて、家賃も払えない
アイはコンビニでバイトを始めた
そんなアイを店長は気に入り、奮発して5万ウォンのバイト料をくれた
これでお米を買うことが出来る
アイは弾んだ気分で夜道を歩いていた
すると急な突風が吹き、5万ウォンが飛ばされた
アイは慌ててお金を追った
5万ウォンは廃墟となった遊園地の中に入り込んでしまった
学園で噂になっていた場所だ
アイは恐る恐る遊園地に忍び込んだ
気づくと暗闇に男が立っていた
シルクハットに黒いマントを羽織っている
手にはアイの5万ウォンがあった
「あなたは魔術を信じますか?」
アイは悲鳴を上げて、その場を逃げ出した
必死に家まで逃げ帰ったアイ
しかし、いつの間にかポケットに、魔術師からの招待状が入っていて…………
作品解説
原作はハ・イルグォンのウェブ漫画「アンナラスマナラ~魔法の呪文~」
監督は「梨泰院クラス」のキム・ソンユン
キム・ソンユンは7、8年前に原作を読み、ずっと映像化を考えていたという
チェ・ソンウン
女子高生のユン・アイを演じる
父親は借金で逃亡
たった1人で妹ユイの面倒を見なければならない
頼れる大人は誰もいない
アイは疲れ切っていた
そんなアイの前に不思議な魔術師リウルが現れる
能天気なリウルに、アイは魔術など子供だましだと反発するが…………
非常に健気な主人公
思わず応援したくなった
そんなアイに次々と過酷な現実が押し寄せていく
チェ・ソンウンは映画「スタートアップ」でデビュー
本作では見事な歌声も披露
ファン・イニョプ
学年トップの秀才、ナ・イルドゥンを演じる
クールでプライドが高い
両親からの過剰な期待が重荷となっている
数学で唯一適わないアイを、一方的に意識する
しかし、次第に彼女に惹かれるようになっていき…………
アイに片想いするようになるイルドゥン
不器用なアプローチが微笑ましかった
だが、親や学校からの重圧がイルドゥンを苦しめていく
ファン・イニョプはドラマ「女神降臨」に出演
チ・チャンウク
不思議な魔術師リウルを演じる
丘の上の廃墟となった遊園地に一人で住んでいる
神出鬼没
自分は本物の魔術師だと言い張る
何故かアイのことを気に入り、魔術を教えようとする
優しく無邪気だが、謎めいた一面もあり…………
優しい表情と、時折見せる冷たい眼差し
どこか浮世離れしていて、つかみどころのないリウル
チ・チャンウクはそんなミステリアスな魔術師を、見事な存在感で演じている
魔術
本作ではクズのような大人たちが次々と登場
そして押し寄せる過酷な現実
あらゆるものがアイを追い詰める
見ていてかなり気が滅入った
そんなアイを救ったのがリウルの魔術だった
魔術は直接的にアイの問題を解決したわけではない
父親は帰ってこないし、生活は貧しいままだ
けれどリウルの魔術は、アイを笑顔にしてくれた
辛い現実に立ち向かう力をくれた
印象的だったのは第4話
リウルの魔術でアイはかつての幼い自分と出会う
辛いことが多かったけれど、諦めなかったから今の自分がいる
これからも諦めない
非常に胸に迫るエピソードだった
ミュージカル
最初はいきなりミュージカルシーンが始まって、正直困惑した
多くの人が同じ反応になるだろう
とはいえ本作は本格ミュージカルという感じでもない
そういうシーンは要所要所にあるだけだ
ただしストーリーがかなり重くて、しんどい場面が多いので、時折入るミュージカルシーンは安らぎになった
歌やダンスも魅力的
印象に残る場面も多かった
ミュージカル要素を取り入れたのは意欲的だが、なかなかの効果が感じられた
特に最終回で登場人物全員が舞台に立つフィナーレは、思わず笑顔になる出来栄えとなっている
信頼
大人から裏切られ続けたアイ
生き抜くためには子供のままではいられない
夢や希望など生きるのに邪魔なだけ
アイの表情から笑顔は失われていった
だが、リウルと出会ったことでアイは変わる
廃墟の遊園地で仕事もせずに能天気なリウル
最初はアイも社会の落後者だと思った
その子供っぽい振る舞いに苛立ちもした
けれど弱っている自分に寄り添ってくれるリウルに、アイはいつしか安らぎを感じるようになった
辛いことがあると、思わずアイは遊園地を訪れた
リウルはいつも優しかった
アイは初めて信頼できる人を見つけた
アイとリウルの恋愛とは違う暖かい関係が魅力的
リウルをアイが信頼し、自然と笑顔を見せるようになる流れが、微笑ましかった
事件
終盤になって、物語は急変する
失踪していた女子高生が死体で発見
監視カメラに映っていたリウルと思しき人物
警察はリウルを追うようになる
アイはリウルのことを何も知らない
リウルは危険な人物なのか?
社会のレールからはみ出しているリウル
誰もがリウルを怪しくて要注意人物だと疑う
リウルは自分に優しくしてくれた
どちらが真実なのか?
終盤の手に汗握る展開は見事
様々な真相が明らかになる結末も鮮やかで、かなりの満足感があった
まとめ
リウルの魔術は本物だったのか?
色々と考察できる余地を残したのも面白い
高校生たちが直面している辛い現実
社会の理不尽さ
それをファンタジーを織り交ぜて描いたところが秀逸
見終わって前向きになれる一作だ
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/tv/the_sound_of_magic/s01
ブログTOPへ