Netflix「2人のローマ教皇」感想 2人の教皇の対立と友情!!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス監督のNetflixオリジナル映画
とても見ごたえのある作品である
すでにゴールデングローブ賞に作品賞を含め、4部門でノミネート
このままアカデミー賞をとっても何ら不思議じゃない出来栄え
自ら退位した保守派の教皇と、新たに選ばれた進歩派の教皇
2人の対立と友情が描かれる
アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライス
2大名優の共演が素晴らしい
バチカンや礼拝堂など、美しい美術も見事
また教皇選挙や私生活などが描かれ、とても興味深い
宗教が絡むが、決して堅苦しい作品ではない
ユーモアのバランスが絶妙
見逃せない1本である


予告編

作品情報
作品名「2人のローマ教皇」(原題The Two Popes)
監督:フェルナンド・メイレレス
キャスト:アンソニー・ホプキンス、ジョナサン・プライス、フアン・ミヌヒン、シドニー・コール、リサンドロ・フィクス
上映時間:125分
製作国:イギリス、イタリア、アルゼンチン、アメリカ(2019年)

スポンサーリンク
PC レスポンシブ

ざっくりあらすじ

2013年にローマ教皇の地位を自ら退位したベネディクト16世と、新たに選出されたベルゴリオ枢機卿の知られざる対話が描かれる

感想(ここからネタバレ)

アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライス
2大実力派俳優の共演

新しい教皇

2005年、ローマ教皇であるヨハネ・パウロ2世が亡くなった
ただちに教皇選挙(コンクラーヴェ)が行われた
枢機卿の中から新たな教皇が選ばれる
進歩的な考えを持つアルゼンチン出身のベルゴリオ枢機卿を推す声は多かったが、ベルゴリオは自分が教皇になることには乗り気ではなかった
結局、本命のドイツ出身の保守派であるラッツィンガー枢機卿が選ばれ、名をベネディクト16世と改めた

新教皇ベネディクト16世が誕生してから7年が経った
その間、バチカンはマネーロンダリング問題やカトリック教会の児童への性的虐待、告発文書のリークなど様々なスキャンダルに揺れていた
ベルゴリオは枢機卿としての地位を辞退しようと、ずっと考えていた
ところがその旨を教皇に手紙で送っても、全く返事がない
仕方ないので直談判しようと、航空便を手配した
その直後、教皇から会って話したいという手紙が来た

ベルゴリオは教皇のいるガンドルフォ城に到着した
城の庭でベルゴリオは教皇と対面した
改めて辞任を申し出るベルゴリオ
しかし、教皇は頑として聞き入れなかった
ベルゴリオの辞任を世間は教皇である自分への批判と取るだろう

「私は教会のセールスマンにはなりたくないんです!」

保守派の教皇と進歩派のベルゴリオ
全く正反対の2人は意見がことごとく対立したが………………

スタッフ

フェルナンド・メイレレス
フェルナンド・メイレレス監督といえば、やはり「シティ・オブ・ゴッド」
ブラジルのリオデジャネイロの少年ギャングたちの抗争
銃も麻薬も簡単に手に入るスラムの現実
命が鉛玉よりも軽い世界
この作品は衝撃だった

レイフ・ファイアンズ主演の「ナイロビの蜂」も良作
この「2人のローマ教皇」はいつもの社会派としての側面に、軽やかなユーモアを織り交ぜ、熟練した演出を見せてくれる

アンソニー・マッカーテン
本作の脚本を担当
代表作は「博士と彼女のセオリー」「ボヘミアン・ラプソディー」など
実はこの「2人のローマ教皇」は事実に基づいたアンソニー・マッカーテンの創作
そのため実際に2012年にベネディクト16世とベルゴリオ枢機卿が会って話をしたという史実はない

アンソニー・マッカーテンがローマに行った時に、サン・ピエトロ広場にはフランシスコ教皇を見るために、大勢の人が集まっていた
親しみやすい新教皇は人々から喝さいを浴びていた

何故保守派の教皇が退位して、進歩派の人物に席を譲ったのか?

ふとそんな疑問が浮かび、そこから作品のアイディアが膨らんだという

アンソニー・ホプキンス

保守派の教皇ベネディクト16世を演じるのは名優アンソニー・ホプキンス
ベネディクト16世はドイツ出身の生真面目な性格
教義と伝統を重んじる厳格で重厚な態度
そのため中絶や同性愛などは絶対に認めない
老いと様々なスキャンダルにより、教皇を退位することを決断する

「羊たちの沈黙」「日の名残り」「世界最速のインディアン」
代表作には事欠かない名優である
この「2人のローマ教皇」では保守的で変化を嫌う教皇ベネディクト16世を、貫禄たっぷりに演じている
最初は威厳があり近寄りがたい教皇というイメージ
だが、音楽を愛し、連続ドラマを楽しみにしている姿
誰にも頼れない孤独
神の声が聞こえないという苦悩
次第に様々な一面を見せてくれる

ジョナサン・プライス

進歩派のベルゴリオ枢機卿を演じるのはジョナサン・プライス
ベルゴリオはアルゼンチン出身の庶民派
サッカーを愛し、質素な生活を好み、ユーモアを忘れない
貧困問題に熱心に取り組み、世界には壁ではなく橋が必要だと訴えている

ジョナサン・プライス演じるベルゴリオ枢機卿は本当に魅力的
親しみやすくて、誰にでも気さくに話しかける
権力や地位には興味がない
サッカーでひいきのチームを夢中で応援する姿は微笑ましくなる

しかし、物語の後半ではアルゼンチンの軍事独裁政権時代、人々を救えなかったと教皇に告白する
貧しい人々に尽くすのは贖罪だと
ベルゴリオという人物の本質が垣間見える場面だった

ジョナサン・プライスといえば個人的には「未来世紀ブラジル」
テリー・ギリアム監督の大傑作である
その他にも多くの作品で活躍

教皇選挙

冒頭のコンクラーヴェと呼ばれる教皇選挙が興味深くて面白い
ローマ教皇を枢機卿の中から、投票で選出
選ばれる条件は3分の2以上の票を得ること
その条件に満たない場合は、何度でも繰り返される
新教皇が決定した場合、礼拝堂の煙突から白い煙
決まらなかった場合は黒い煙が上がり、外部への合図とする

自分は教皇になることには興味がないというベルゴリオ枢機卿
けれど、そんなベルゴリオへの周囲の人望は厚かった

「なりたくない人こそ、リーダーにふさわしい」

友人の枢機卿が放った言葉が印象的

2013年にベネディクト16世が自らの意思で教皇を辞任した
教皇職は基本的には終身制で、死ぬまでその地位にある
自分の意志での辞任は1294年のケレスティヌス5世以来だった
実に719年ぶりである

ベネディクト16世の後継者として、ベルゴリオ枢機卿が教皇に選出された
史上初のアメリカ大陸出身の教皇である
名前はフランシスコと改めた

システィーナ礼拝堂

この作品のハイライトの一つは、システィーナ礼拝堂の場面である
早朝、誰もいない礼拝堂にベネディクト16世教皇とベルゴリオ枢機卿の2人きり
ベネディクト16世は教皇を退位することを打ち明ける

全く正反対の2人
自分が辞めたら、このベルゴリオが教皇になってしまうのではないか
今まで守ってきた教義や伝統が壊されてしまう
それをベネディクト16世は恐れていた

だが、直に会って考えが変わった
世界はつねに変化している
教会も変わらなければいけない
この男こそ次の教皇にふさわしい

この場面で印象的なのは、やはりシスティーナ礼拝堂である
ミケランジェロが描いた美しい天井画
よくこんな場所で撮影許可が下りたものだ
この重要なシーンの舞台として、これ以上の場所はない

そう感心していたら、後で分かったことだが、何とセットだった!!
こんな場所で撮影許可が下りるわけがなく、でも絶対に必要
だったら作るしかない
天井画の作成に4週間かかったらしい
おかげで素晴らしい効果を上げている
スタッフの頑張りに感服

2人の教皇

ベネディクト16世フランシスコ
全く正反対の2人
その2人が並んで教皇になった

2014年のワールドカップ
決勝戦のドイツ対アルゼンチン
それを2人でテレビで観戦するラストが楽しい

違う相手を受け入れる
それがもっとも世界に必要なことだ
そんな教皇同士の友情
赤裸々な部分もあるが、この作品は教皇というものを敬意を持って描いている
そのため鑑賞後の余韻は気持ちのいいものとなっている

まとめ

教皇も1人の人間
そんな当たり前のことに気づかされる作品

名優同士の共演
秀逸な脚本
円熟味のある演出

有意義な時間を過ごせる1作である


The Two Popes (2019) on IMDb


Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_two_popes
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/369725

スポンサーリンク
PC レスポンシブ

ブログTOP

関連記事
スポンサーリンク
PC レスポンシブ
PC レスポンシブ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする