Netflix「タイガーテール -ある家族の記憶-」感想 過去に捨ててしまったもの

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

若くして台湾からアメリカへ渡り、それなりの地位を築いた男
しかし、彼には誰にも言えない過去があった
ヒューマン・ドラマである
過去と現在が交錯
特別なことや派手なことは何も起きない
だが、美しい映像と丁寧な演出に惹き込まれた
地味だが良質なドラマ
失われた青春時代に切ない気持ちになる
郷愁を味わいたいという人にはおすすめ
ノスタルジックな気分に浸れるだろう


予告編

アラン・ヤン監督作『タイガーテール -ある家族の記憶-』予告編 – Netflix

作品情報
作品名「タイガーテール -ある家族の記憶-」(原題Tigertail)
監督:アラン・ヤン
キャスト:ツィ・マー、クリスティーン・コー、リー・ホンチー
上映時間:91分
製作国:アメリカ(2020年)

スポンサーリンク
PC レスポンシブ

ざっくりあらすじ

台湾からアメリカへ渡った男には誰にもいえない過去があった…………

感想(ここからネタバレ)

特別なことは何も起きないが、なかなかの良作

憧れのアメリカ

1歳の時に父が死んだ
母1人では子供を育てられず、ピンジュイはコメ農家の祖父母に預けられた
そこでピンジュイはユエンという少女と出会った
2人はすぐに仲良くなった

数年後、青年になったピンジュイはユエンと再会した
2人は情熱的な恋に落ちた
ピンジュイはユエンに、いつかアメリカへ行くという夢を語った
だが、工場に勤めるピンジュイの生活は苦しかった

そんなある日、工場長から声をかけられる
娘のジェンジェンと結婚してくれないかというのだ
そうしてくれれば、アメリカ行きを援助する
働きづめの母親を楽にしてあげたい
しかし、愛するユエンを裏切ることになってしまう
ピンジュイは悩んだ末に、その話を承諾した

ピンジュイはユエンに何も告げず、ジェンジェンとアメリカへ渡った
憧れていたアメリカ
けれど、生活は過酷だった
知り合いも誰もいない
単調な毎日
ピンジュイは仕事に没頭していった
そのうちにピンジュイとジェンジェンの心は離れていき…………

アラン・ヤン

監督、脚本はアラン・ヤン
台湾系アメリカ人である
Netflixオリジナルシリーズ「マスター・オブ・ゼロ」の製作総指揮を務め、エミー賞を受賞した

ヤンの父親は台湾の砂糖工場で働いていたが、アメリカに移住した
カリフォルニアでヤンは生まれた
若い頃ヤンは自分が台湾人であるということを忌み嫌っていた
本当の自分はアメリカ人だ
そう言い聞かせてきた
だが、成長するにつれ、自分が台湾人であるという事実を直視せざるをえなくなったという

ヤンが仕事で上海を訪れた時、台湾で父親と共に父の生まれ故郷を歩いた
そのことが、この映画のきっかけとなったようだ

ピンジュイ

ダンスが好きで明るくて、アメリカに憧れる青年ピンジュイ
だが、彼の生活は貧しかった
工場での過酷な労働の日々
母親に楽をさせることもできない
ピンジュイはアメリカ行きのために、愛する女性を捨てる
けれど、アメリカは決して生易しい場所ではなかった…………

現在の年老いたピンジュイを演じるのはツィ・マー
「ラッシュアワー」「フェアウェル」など出演作多数
本作では後悔を引きずり頑なになってしまった男を好演

2人の女性

ピンジュイにとって幼馴染で特別な女性だったユエン
2人は情熱的に愛し合った
ピンジュイはユエンに夢中だった
しかし、金に目がくらみ、工場長の娘ジェンジェンと付き合いだす
ピンジュイはユエンに何も告げず、ジェンジェンとアメリカへ旅立った

夢にまで見たアメリカでの生活
だが、それは想像していたものと違い悲惨だった
親しい者は誰もいない
ジェンジェンとの2人きりの暮らし
ピンジュイはジェンジェンに愛情を持つことが出来なかった

もう後戻りはできない
愛するユエンを捨ててまで、アメリカへ来たのだ
絶対に成功するしかない
ピンジュイはがむしゃらに働いた
感情豊かでダンスが好きな青年だったピンジュイ
けれどアメリカでの生活で、ピンジュイは心を失っていった

父と娘

この作品は現在と過去が交錯する形を取っている
成功だけを夢見て、仕事に没頭してきた現在のピンジュイ
そうして家族をないがしろにして、妻のジェンジェンは家を出ていった

ピンジュイの娘アンジェラ
今ではキャリアウーマンとして活躍している
ピンジュイは娘とどう接していいのか分からない
愛する女性を捨ててから、ピンジュイは人の愛し方が分からなくなってしまった

頑なな父と娘
物語はこの親子の関係に収束していく
終盤、初めてアンジェラに心をさらけ出すピンジュイ
台湾の生まれ故郷を一緒に見て回る2人
美しい風景
失われてしまったもの
親子の和解
非常に切なく胸を打つクライマックスだった

まとめ

地味な作品である
退屈に感じる人も多いかも知れない
だが、作品のクォリティは高い
情感あふれる映像の数々
親子の絆
一見の価値はあるヒューマン・ドラマだ


Tigertail (2020) on IMDb


Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/tigertail
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/372343

スポンサーリンク
PC レスポンシブ

ブログTOP

関連記事
スポンサーリンク
PC レスポンシブ
PC レスポンシブ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする