「散り椿」感想と解説(ネタバレあり) これぞ真のヒーロー映画だ!!

正直言って、めちゃくちゃ面白かった!!
キャスト、シナリオ、音楽
ほとんどケチをつけるところがない
そして、木村大作ならではの美しい映像
これぞ時代劇であり、真のヒーロー映画だ!!


予告編

作品情報
作品名:「散り椿」
監督:木村大作
キャスト:岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子、緒形直人、石橋蓮司、富司純子、奥田瑛二
上映時間:112分
製作国:日本(2018年)



ざっくりあらすじ

かつて不正を訴え藩から放逐された瓜生新兵衛が戻ってきた。だが、新兵衛が戻ったことを快く思わない者は多かった。そんな中、亡き妻の妹の坂下里美だけは温かく迎えてくれたが………………

感想(ここからネタバレ)

今さら時代劇?
タイトルからして何か退屈そう
79歳の監督が撮ったんじゃ古臭いものになってそうだな

さして期待せずに見に行ったのだが、映画館を出る時は大興奮!!
予想をはるかに越える面白さ
もう日本アカデミー作品賞はこの作品でいいよ!!

帰ってきた男

かつて扇野藩で平山道場・四天王の一人であり”鬼の新兵衛”と謳われた剣豪・瓜生新兵衛
だが、同じく四天王で親友である榊原采女の養父、平蔵を不正で訴えたことで藩を放逐された
平蔵はその後、何者かに惨殺され、今でも下手人は新兵衛ではないかと疑われている

新兵衛は妻のと共にささやかな生活を送っていた
体調を悪くした篠は死ぬ間際に新兵衛にこう言い残した

「自分の代わりに故郷の散り椿を見てきて欲しい」

新兵衛は篠との約束を守り、扇野藩に帰ってきた
藩の家老の石田玄蕃をはじめ、新兵衛が戻ってきたことを快く思わない者は多かった
亡き妻、篠の弟の坂下源之進もその一人だった
関わり合いになると厄介なことになる
だが、篠の妹で源之進の姉の里美だけは温かく迎えてくれた

かつて殺された平蔵の鮮やかな手口は四天王にしか使えない技だった
そのことを知った新兵衛

平蔵の息子であり、新兵衛の友でライバルだった榊原采女
横領の罪を着せられ切腹した坂下源之進
穏やかな性格で今では馬廻役としてひっそりと暮らしている篠原三右衞門

四天王のこの中に犯人がいるのか?

また家老の石田は目障りな新兵衛を亡き者にしようと刺客を送り込んでいた………………

キャスト

岡田准一
鬼の新兵衛と謳われた瓜生新兵衛を演じる
とにかくこの作品の岡田准一は格好いい
新兵衛のまさに鬼のような強さも、岡田が演じると凄い説得力がある
時々、その姿が三船敏郎とダブって見えた

代表作

「木更津キャッツアイ」シリーズ
TVシリーズも含めて、この作品大好きだった
格好いい岡田准一もいいが、こういう軽い役もまた見てみたい
もうこういう役は見れないのかな

西島秀俊
四天王の中で一番の出世頭の榊原采女を演じる
その高潔な性格と新兵衛の妻、篠への秘めた想い
もう一人の主人公といってもいいキャラクターを見事に演じた

代表作

「MOZU」シリーズ
復讐に燃える男を凄みある演技で見せた
邦画にしてはアクションも頑張っていた

黒木華
亡き妻、篠の妹、里美を演じる
この人は本当に時代劇が良く似合う
今どき、貴重な女優だと思う

代表作

「小さいおうち」
山田洋次監督作品
黒木はこの作品で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞

小さいおうち

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監督

木村大作
黒澤明など様々な名匠と組んだ名カメラマン
監督としても「劔岳 点の記」「春を背負って」がある
この「散り椿」でも美しい映像の数々に思わず見とれてしまう程だった

代表作

「八甲田山」
壮絶な雪山のシーンをはじめ、印象に残る映像の数々
映画史に残る名作

素晴らしいシナリオ

この「散り椿」は時代劇だが、エンターテイメントとしてとても優れている
その理由の一つはストーリーの先が気になる様々なミステリー要素を散りばめているからである

①主人公が帰ってきた本当の理由

「私の代わりに故郷の散り椿を見て」
亡き妻との約束で新兵衛はかつて追われた故郷に帰ってきた
だが、もう一つ妻が言い残した言葉
「采女のことを助けてあげて」

妻は本当は自分ではなく榊原采女のことが好きだったのではないか?
新兵衛と同じく観客も悶々とすることとなる
そして、妻の真意が明らかになった時、思わず涙が………………

②榊原平蔵を殺した犯人は?
采女の養父、平蔵を殺したのはかつての仲間、平山道場・四天王の誰か
犯人はいったい誰なのか?
ここは完全に騙された

③榊原采女の真意
かつての親友だった采女だが、藩に帰ってきた新兵衛に冷たく当たる
やはり父を殺したのは自分だと疑っているのか
それとも妻のことで憎んでいるのか
しかし、終盤で采女の口から明らかになった真実
その変わらぬ友情に熱くなった

美しい映像

心底冷え切るような雪のシーン
バケツをひっくり返したような雨のシーン
ただ会話を交わす室内のシーンでも、とにかく撮影が素晴らしい
もはやTVドラマとは別次元
これぞ大画面で見るべき映像だといえる
TVで見ても大して変わらないような邦画が多い中、本物の迫力に圧倒された

深みある人間ドラマ

家に居ついてしまった新兵衛を迷惑に思う義弟の藤吾
だが、長く一緒にいるうちに、真っ直ぐに生きる新兵衛の強さに心酔していくようになる
藤吾の心の変化と成長もこの作品の大きな見どころ
とても爽やかな仕上がりになっている

新兵衛のことを温かく迎え入れてくれる里美
亡き妻の妹の里美は誰よりも新兵衛のことを気にかけ、そして慕うようになる
それはまるで妻の篠が乗り移ったよう
この切ない恋愛模様も見どころの一つ

新兵衛と妻の篠、そして采女の三角関係も面白い
篠が好きだったのは采女ではないか?
だから、采女を助けてくれと言い残したのでは?
この謎が物語をグイグイと牽引していく

ヒーロー映画としての面白さ

この作品の最大の魅力はヒーロー映画としての面白さだろう
ヒーローというとマーベルなどが独占している昨今
だが、この「散り椿」を見て真のヒーローとは何かを思い出した

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瓜生新兵衛の格好良さ

とにかく新兵衛が格好いい
最初はちょっと格好つけすぎじゃないかと思ったが、次第に惚れ惚れとするようになった
新兵衛はめちゃくちゃ強い
襲ってくる刺客を撃退する新兵衛
美しいロングの長回しの殺陣が素晴らしい
基本的に静かな語り口の作品だが、随所にそういったアクションが挿入され飽きさせない
そして、岡田准一の見事な身のこなしにより、新兵衛の強さが一段と際立つ
これぞチャンバラ
これぞ時代劇である!!
ヒーローを不自然なく描くには時代劇は最適なのかも知れない

燃えるクライマックス

エンターテイメントはやはりクライマックスが盛り上がらなくてはならない
その点、この作品は文句なしである
妻の真意など全ての謎が明らかになった後、新兵衛と采女は敵が待ち受ける死地に赴く
かつての四天王の親友同士
全てにけりをつけるために

たった二人で敵が大ぜい待ち構える敵地に乗り込んでいく
か、格好良すぎる!!
男泣きする熱さである
そして、大迫力の殺陣
ぶっちゃけ最高だーっ!!

別れ

全てが終わり、旅立つ新兵衛
本来なら悪人も一掃されたし、藩に残ってもいいはずだ
だが、ヒーローは旅立たなければならないのだ!!(真剣

新兵衛を追いかけてくる里美

「本当に行ってしまわれるのですか? 弟の藤吾も新兵衛様を慕ってますし」

それでも行こうとする新兵衛

「わ、わたしも慕ってます!! わたしでは姉の代わりになれませんか?」

男なら一度言われてみたいセリフ
それでも去っていく新兵衛
この時、「マッドマックス 怒りのデスロード」「シェーン」「用心棒」など様々なヒーロー映画のラストが頭をよぎった

やはりヒーローとは去っていくものなのだ!!

まとめ

思いもよらぬ大満足の一作
誰もが時代劇の醍醐味を満喫できるだろう
何よりヒーロー映画として屈指の出来栄え
格調高い映像とエンターテイメントの融合
文句なし
これぞ大人のためのヒーロー映画である!!


散り椿 (角川文庫)

allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=362160



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