凄まじい緊迫感
予測不可能な衝撃のストーリー展開
完全に圧倒された
全てが凍り付いたアラスカの大地で起こる戦慄のサスペンスは必見!!
予告編
作品情報
作品名「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」(原題Hold the Dark)
監督:ジェレミー・ソルニエ
キャスト:ジェフリー・ライト、アレキサンダー・スカルスガルド、ジェームズ・バッジ・デール、ライリー・キーオ、ジュリアン・ブラック・アンテロープ
上映時間:125分
製作国:アメリカ(2018年)
ざっくりあらすじ
息子が狼にさらわれた、という母親からの依頼で作家のラッセル・コアはアラスカの寂れた村を訪れた。さっそく調査のために森に出かけたのだが………………
感想(ここからネタバレ)
よく知らないけど狼退治の映画かな
そんな軽い気持ちで見たのだが、衝撃の展開の連続に度肝を抜かれた
まさに一級のスリラーである
アラスカへ
6歳になる息子が狼にさらわれた
警察も村人も当てにならないので助けて欲しい
そんな母親からの依頼で、狼について研究している初老の作家ラッセル・コアはアラスカの寂れた村を訪れた
その母親メドーラ・スローンが言うには、この村ではすでに3人の子供が狼にさらわれているらしい
彼女の夫ヴァーノンは戦争でイラクに行っていて、まだこのことは知らせていない
メドーラは狼を見つけて殺してほしいという
彼女はどこか情緒不安定に見えた
だが一人息子をさらわれたのだから無理もない
ラッセルは彼女の手助けをしたいと思う
翌日、森に入るラッセル
歩き回って、とうとう狼を遠くに発見した
数匹の狼が何かを食べている
狼たちが食べているのは子供の狼だった!!
その時、足が滑りラッセルは坂を転げ落ちた
ラッセルに気づき、駆け寄ってくる狼
慌ててライフルを探すラッセル
狼と目が合った
じっとラッセルの目を見た後、狼は何もせずに去っていった
疲労困憊でラッセルはメドーラの家に帰りついた
だが、家の中には彼女の姿は見当たらない
ふと昨日は閉まっていた地下への扉の鍵が開いているのに気づく
地下に降りてみると、部屋の隅にビニールで包まれた物体が置かれていた
それは行方不明になったはずの彼女の息子の死体だった!!
衝撃の展開
物語が根本から崩れ去る衝撃の展開である
6歳の子供ベイリーを殺したのは彼女の母親メドーラだったのだ!!
その瞬間からこの作品は予測不能な不気味な何かへと姿を変える
そこへイラクからメドーラの夫ヴァーノンが帰って来る
彼は息子の死を知り、病院でその死体と対面して泣き崩れる
辛い場面である
戦場から戻ってくると息子が死んでいて、しかも殺したのは自分の妻で行方知れずなのだ
次の瞬間、信じられないことが起きる
ヴァーノンが突然、二人の警察官と検死官を射殺したのだ
そして、息子の死体を抱え、村の仲間と共に立ち去った
あまりの衝撃の展開の連続に、頭の中が真っ白である
自分が今、見ているものは何なのか
もはや先の展開が全く読めない
キャラクター
ラッセル・コア
自然主義者の初老の作家
狼のことを愛し研究している
一人息子を狼にさらわれたというメドーラの依頼でアラスカまでやってきた
だが数奇な事件に巻き込まれることになる
演じるのは「ウエスト・ワールド」のジェフリー・ライト
メドーラ・スローン
アラスカの寂れた村に住んでいる女性
ラッセルに狼に息子をさらわれたと助けを求めた
だが実際には自分が息子を殺し、地下に隠していた
それが発覚した時には逃走して行方知れず
演じるのはライリー・キーオ
ヴァーノン・スローン
メドーラの夫
兵士としてイラクへ行っていた
警官たちを射殺した後、息子の死体を持ち去り、自分たちで埋める
そして、息子を殺した妻を追跡
行く先々で殺人を重ねていく
演じるのはアレキサンダー・スカルスガルド
代表作
「ターザン:REBORN」
主人公のターザンを演じる
というかあのターザン役の人とは全く気付かなかった
ドナルド
警察署の署長
ヴァーノンとは顔なじみ
ラッセルと共にヴァーノンを追う
妊娠6ヵ月の妻がいる
演じるのはジェームズ・バッジ・デール
代表作
「オンリー・ザ・ブレイブ」
男泣き必至の熱い作品
ジェームズはジョシュ・ブローリンの頼りになる片腕ジェシーを演じた
「オンリー・ザ・ブレイブ」の感想はこちら
類似作品
「ノーカントリー」
この「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」という作品にもっとも感触が近い作品といえば、これだろう
予測不能のサスペンス
コーエン兄弟の大傑作である
行く先々で殺人を重ねるヴァーノンの姿は、ハビエル・バルデムが演じた不気味な殺し屋を彷彿とさせる
作り手もかなり影響を受けているのではないだろうか
「最後の追跡」
銀行強盗を重ねる兄弟とそれを追う保安官
追跡劇にアメリカの過酷な現状を重ねた
アカデミー賞にもノミネートされた傑作である
「ホールド・ザ・ダーク」では主人公と保安官が殺人鬼ヴァーノンを追うこととなる
この作品でもアラスカの過酷な生活が描かれる
「THE GREY 凍える太陽」
アラスカで狼と戦うといえばこれ
リーアム・ニーソン主演の力作
極寒の環境での男たちのサバイバルが描かれる
メイコン・ブレア
メイコン・ブレアはこの「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」の脚本家である
監督のジェレミー・ソルニエとは「ブルー・リベンジ」「グリーンルーム」と今作で、すでに3度コンビを組んでいる
このメイコン・ブレアに注目したのは、初監督作の「この世に私の居場所なんてない」でサンダンス映画祭でグランプリを獲っているからである
予想できないストーリー展開
コメディからシリアスまでこなす力量
今後も注目すべきクリエイターといえるだろう
「この世に私の居場所なんてない」
さえない中年女性がひょんなことから危険な事件に巻き込まれていくクライム・コメディ
先の読めないストーリー展開は共通している
イライジャ・ウッド演じる妙なキャラクターが最高に笑える
Netflixオリジナル作品
唐突な死
この「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」という作品では、死はつねに無慈悲に唐突に訪れる
生と死は対等で、大差ないとでもいうように
ラッセルと行動を共にする保安官ドナルド
優秀で頼りになり情にも厚い
中盤からはもう一人の主人公とも思える存在だった
ドナルドはラッセルと共にヴァーノンを追う
きっとヴァーノンを捕まえるために、ここから大いに活躍してくれるだろう
そう思っていたら、ドナルドはヴァーノンが射った矢で、あっさりと命を落とす
あまりにあっさりだったので、軽傷だったのかと疑ったほどだ
ヒーロー的存在だったドナルド
だが、この作品では関係ない
生も死も当たり前のことで、意味などないのだ
理解できない物事
メドーラはなぜ息子を殺したのか?
育児に疲れたのか
息子を愛してなかったのか
ヒントらしきものは散りばめられているが、明確な答えは提示されない
この作品では解明されないことがたくさんある
なぜヴァーノンはラッセルだけ殺さなかったのか?
ヴァーノンとメドーラはラスト、どこへ旅立ったのか?
いくつもの問いには答えは用意されていない
しかし、それを不親切だとは思わない
世の中の全てを理解できるなどというのは傲慢にすぎない
通常では理解できないことなど、いくらでもある
この作品はその事実を当たり前に描いたにすぎない
まとめ
先の読めないストーリー
凄まじい緊迫感
極寒のアラスカの地で描かれる生と死
サスペンスやホラー映画が好きな人ならきっと楽しめるだろう
特にコーエン兄弟が好きな人ならドンピシャ
恐るべき傑作がNetflixから登場した
大満足の一作である
、
rottten tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/hold_the_dark
allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=365649
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