Netflix映画「アーミー・オブ・ザ・デッド」のスピンオフ
ドイツの銀行員セバスティアンは金庫破りの腕を買われて、謎の女性グウェンドリンたちと共に伝説の三つの金庫に挑むのだが…………
金庫破りアクションとラブコメ
スリルと笑いが満載で、一級の娯楽作品となっている
スピンオフということで期待していなかったが、予想以上の出来栄え
個人的には「アーミー・オブ・ザ・デッド」より面白かった
前作でも活躍した金庫オタクのディーターが魅力的
ヒロインのグウェンドリンもとてもチャーミングだった
強盗団のメンバーも個性的
笑いとスリルのバランスが絶妙
伝説の金庫に挑むシーンは、かなり見ごたえがあった
またヨーロッパの美しい風景も素晴らしかった
監督と主演を務めたマティアス・シュヴァイクホファーの才能には驚き
これ単体でも満足のいくものとなっている
ゾンビは出ないが、「アーミー・オブ・ザ・デッド」のファンなら必見
前日譚なので、こちらを先に見ても問題ないだろう
予告編
作品情報
作品名「アーミー・オブ・シーブズ」(原題Army of Thieves)
監督:マティアス・シュヴァイクホファー
キャスト:マティアス・シュヴァイクホファー、ナタリー・エマニュエル、ガズ・カーン、スチュアート・マーティン、ルビー・O・フィー、ジョナタン・コーエン
上映時間:127分
製作国:アメリカ、ドイツ(2021年)
ざっくりあらすじ
ドイツの銀行員セバスティアンは金庫破りの腕を買われて、謎の女性グウェンドリンから国際的な強盗団の仲間に誘われる。グウェンドリンはヨーロッパに点在する伝説の金庫三つを狙うというのだが…………
「アーミー・オブ・ザ・デッド」
ある事故により、ラスベガスにゾンビが溢れかえった
かろうじて人類はゾンビをラスベガスに封じ込めることに成功した
それから数年が経った
ゾンビ騒動の時、活躍した傭兵のスコットは、今ではしがないレストランの店員だった
そんなスコットをタナカという男が訪ねてきた
ラスベガスが核攻撃される前に、カジノの地下の金庫から2億ドルを回収してほしい
その依頼を引き受けたスコットは、腕利きのメンバーを集めるのだが…………
主演は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のデイヴ・バウティスタ
監督は「ジャスティス・リーグ」のザック・スナイダー
ゾンビ映画と強盗映画を融合させたアクション大作である
感想(ここからネタバレ)
まさかディーターを主人公にスピンオフが作られるとは…………
犯罪へのいざない
セバスティアンはドイツの銀行の出納係
両親を亡くし、友達も恋人もいない
単調で平凡で孤独な日々
唯一の趣味は金庫破りで、その知識を動画にしてYouTubeで配信していた
しかし、再生数は0のままだった
ある日、初めてコメントをもらった
舞い上がるセバスティアン
そのコメントには会いたいと書かれていた
約束の場所へ行くと、建物の地下に通された
そこでは金庫破りの速さを競うコンテストが行われていた
訳も分からずコンテストに参加させられるセバスティアン
そして、セバスティアンは見事に勝ち抜き優勝した
翌朝、セバスティアンはコーヒーショップで声をかけられた
相手は地下コンテストで見かけた女性だった
その女性グウェンドリンこそがコメントで呼び出した当人で、セバスティアンの金庫破りの腕を見込んでスカウトしたいと言う
自分たちは国際的な犯罪チームで、ハンス・ワーグナーが手掛けた伝説の三つの金庫を狙っているというのだが…………
作品解説
脚本は「アーミー・オブ・ザ・デッド」のシェイ・ハッテンが担当
撮影はドイツで行われ、2020年12月に終了した
セバスティアン(ディーター)
ドイツの銀行に勤めている青年
両親も亡くなり、友達もいない
子供の頃から金庫破りが好きで、動画をアップしているが全く人気なし
しかし、その動画を見たグウェンドリンから強盗団の仲間に誘われて…………
「アーミー・オブ・ザ・デッド」では鍵師のディーターとして登場
本作ではまだセバスティアンと名乗っていた6年前の姿が描かれる
あの落ち着きのなさはこの頃からだと分かる
演じるのは「アーミー・オブ・ザ・デッド」から引き続きマティアス・シュヴァイクホファー
本作では監督も担当
その安定した演出の手腕には驚いた
これが監督デビュー作かと思ったら、すでにドイツで2本の映画を監督しているとのこと
グウェンドリン
セバスティアンを強盗団に誘う謎の美女
家は裕福だったが、最低の親に反発して泥棒になった
鮮やかな手口で盗みを働く
ハンス・ワーグナーが作った伝説の三つの金庫を狙うが…………
根っからの泥棒だが、性格はかなりピュア
金銭よりも伝説を残したいと思っている
純朴なセバスティアンに次第に惹かれていく
演じるのは「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」のナタリー・エマニュエル
非常に魅力的な演技を披露している
強盗団
強盗団のリーダーでブラッド・ピットとニコラス・ケイジに憧れるブラッド・ケイジ
天才ハッカーで弟を溺愛するコリーナ
腕利きのドライバーで温厚な性格のロルフ
セバスティアンが加入する強盗団の面々
誰もが個性的
見事なチームワークで盗みを働く
しかし、次第に考えの違いで対立していって…………
スピンオフ
「アーミー・オブ・ザ・デッド」に登場した金庫破りの天才ディーターが主役
そう言われても最初はピンとこなかった
そこまで印象的なキャラでもなかったからだ
前日譚だからゾンビもほとんど出ない
そんなスピンオフをやる意味があるのか?
ところが完成した映画は良く出来ていた
娯楽作品としては、こちらの方がきれいにまとまっているかも知れない
単なる脇役にすぎなかったディーターに、こんなドラマティックな過去があったとは
「アーミー・オブ・ザ・デッド」ワールドがより豊かになったように感じた
今後、続編とアニメシリーズ「アーミー・オブ・ザ・デッド:ロスト・ベガス」も決定している
「アーミー・オブ・ザ・デッド」の世界は、ますます広がっていきそうだ
金庫破り
天才ハンス・ワーグナーが製作した伝説の三つの金庫
「ラインゴルド」、「ジークフリート」、「ワルキューレ」
誰にも破れないといわれた金庫に、ディーターが挑む
本作の最大の見せ場が、ディーターの金庫破りのシーンである
絵的にかなり地味
だが三つの金庫それぞれに、様々なシチュエーションを用意して飽きさせない
破るのが不可能な金庫
それを突破した時のカタルシスは素晴らしかった
ここまで金庫破りに焦点を当てた作品は、あまりないだろう
非常に面白い着眼点の作品となっている
ラブコメ
根っからの泥棒のグウェンドリンと、犯罪とは無縁のディーター
正反対の2人だが、次第に惹かれ合っていく
そのラブコメも本作の見どころの一つ
これまで全く女性と縁のなかったディーター
初めて魅力的な女性と親密になり、舞い上がる姿が面白い
ラスト、ディーターを逃がすために、自分が犠牲になるグウェンドリン
そのけなげな姿は感動的だった
まとめ
スピンオフと侮っていたら、かなりの良作
金庫破りに焦点を当てているのが面白い
キャストも魅力的
強盗ものが好きな人なら、きっと楽しめるだろう
ゾンビ分が不足していて物足りないという人は、「アーミー・オブ・ザ・デッド」の続編に期待にしよう
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/army_of_thieves
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/379047
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