「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年) あの名作の驚きの裏話まとめ!!

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この世でもっとも面白い映画は何か?
様々な意見があるだろう
しかし、この作品をあげる人は多いのではないだろうか?

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

1985年に公開された作品
監督、ロバート・ゼメキス
製作総指揮、スティーヴン・スピルバーグ
主演、マイケル・J・フォックス

1985年、高校生のマーティ・マクフライは友人の科学者エメット・ブラウン博士(通称ドク)の作ったタイムマシンで、誤って1955年へ行ってしまう
そこでまだ若い両親と出会って…………

凄まじくはまり役のマイケル・J・フォックス
伏線を張り巡らせた緻密な脚本
タイムマシンのデロリアンの格好よさ
いかした音楽
35年が経っても全く色あせない
完璧なエンターテイメント
それが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」である
人気のためPART3まで製作された

Netflixで「ボクらを作った映画たち」というドキュメンタリーが配信されている
「ダーティ・ダンシング」「ホーム・アローン」「ゴーストバスターズ」「ジュラシックパーク」など、過去の名作の裏話が語られたものだ
そのエピソードの内の1本が「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だった

作品の完成までに、ここまで紆余曲折と困難があったとは驚いた
スタッフの情熱や様々な偶然や運命が、これだけの名作を誕生させたのだろう
ここからは「ボクらを作った映画たち」で語られた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」製作の裏話をいくつか紹介する
ただし「バック・トゥ・ザ・フューチャー」本編のネタバレ満載なので、ご注意を!!

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誕生

ロバート・ゼメキスボブ・ゲイルは、南カリフォルニア大学で映画製作を学ぶ学生だった
ゼメキスは監督、ゲイルは脚本家を目指していた
1973年に大学を卒業した2人は、共同で「1941」という戦争コメディのシナリオを書き上げた
2人はその脚本をジョン・ミリアスに売り込んだが、スティーヴン・スピルバーグを紹介された
スピルバーグはこの脚本を気に入り、自ら映画化した
ゼメキスとゲイルは大喜びした

だが、「1941」は興行的に失敗
その後、2人で脚本を書き、ゼメキスが監督した「抱きしめたい」「ユーズド・カー」もこけた
3本連続の失敗
もう後がない

しかし、ボブ・ゲイルには一つのアイディアがあった
実家に帰った時、地下室で父親の高校の卒業アルバムを見つけた
父は自分と同じ高校に通っていた
そして、初めて父親が生徒会長をやっていたことを知った

もし同級生だったら、友達になっただろうか?

それが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のアイディアに繋がった

企画

ロバート・ゼメキスはそのアイディアを気に入った
2人はいくつものスタジオにこの企画を持ち込んだが、どこにも拒否された
その中にはディズニーもあり「息子が実の母親に惚れられるなどいかがわしい」といわれた

ロバート・ゼメキスはほとほと困り果て、監督させてくれるならどんな作品でもいいという心境だった
そんな時、「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」の監督の仕事が、ゼメキスに舞い込んだ

大してヒットも期待されていない作品で、そのためゼメキスに任されたのだ
それがまさかの大ヒット
ゼメキスは一躍、注目の監督となった
こうして凍結状態だった「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の映画化が、本格的に動き始めた

配給はユニバーサル、製作はスティーヴン・スピルバーグのアンブリンに決定した
だが、ユニバーサルのシド・シャインバーグは、企画にいくつかの注文を付けた

科学者を教授と呼ぶのはやめて、ドクにすること
ドクのペットをチンパンジーにするのはやめて、犬にすること
最後にマーティが現代に帰ると近未来の世界になっているというオチはやめて、マーティの暮らしだけ変化させること

それらの注文には全く問題なかった
しかし、最後の注文だけは大問題だった

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」というタイトルは意味が分からないので、「冥王星の宇宙人」に変更すること

マジかよ…………
ゼメキスとゲイルは頭を抱えた
困った2人はスピルバーグに助けを求めた
スピルバーグはシャインバーグに、こんな手紙を書いた

「シドへ。笑える手紙をありがとう。スタッフには大うけでした。今後もよろしく」

それ以来、シャインバーグはタイトルについて、何も言ってこなくなった

キャスト

主役のマーティ・マクフライ役を誰にするか
ロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルには、すでに候補がいた

マイケル・J・フォックス

ドラマ「ファミリータイズ」のアレックス役で大人気の若手スター
彼ならマーティのイメージにピッタリだ
だが、マイケルは「ファミリータイズ」の撮影で忙しく、ドラマのプロデューサーが許可を出さなかった
仕方なくマーティ役のオーディションが始まった

トーマス・ハウエル、ベン・スティラー、ジョニー・デップ

マーティ選びは難航した
そんな時、シド・シャインバーグが「マスク」で注目されたエリック・ストルツを強く推した
上手くいかなければ降板させてもいい
ゼメキスたちはシャインバーグに押し切られた

ドク役はクリストファー・ロイドに決まった
ロイドは最初、脚本を読みもせずにゴミ箱に放り込んだ
しかし、妻から「あのスピルバーグからのオファーなのよ!」と説得された

母親のロレインにリー・トンプソン、父親のジョージにクリスピン・グローヴァーにそれぞれ決まった
最初の読み合わせの時、エリック・ストルツがこの映画のラストは悲劇だと言いだした

「マーティには本来の自分の人生があった。でも周りに合わせて、別の自分を演じて生きていかなければならなくなった!」

ゼメキスは困って言った

「これは楽しい話だ。深刻に考えるな」

準備

脚本ではタイムマシンは冷蔵庫の予定だった
車に積んだ冷蔵庫に入って、主人公はタイムスリップするのだ

「それなら普通に車でいいんじゃないの?」

そういうわけでタイムマシンは車に変更された
するとフォード社がマスタングを映画のために提供すると言ってきた
ゼメキスは丁重にその申し入れを断った
そしてタイムマシンの車はデロリアンに決定した
見た目が格好いいからだ

スタジオが提示した製作費は1200万ドルだった
ところが脚本通りにやると、1800万ドル以上かかる計算
そんな金はないので経費を削れと、スタジオは言ってきた

問題はクライマックスのシーンだった
脚本ではマーティは原爆実験場の核エネルギーを利用して、未来に帰ることになっていた
だが、このシーンを撮るのは金がかかる
ゼメキスは悩みながら、オープンセットを歩いていた
ふと裁判所のセットを見上げた

あれに時計をつけて、雷が落ちるというのはどうだろう?

金がない時ほど、良いアイディアが浮かぶものだ
結果的には前より断然といいものになった

撮影開始

いよいよ撮影が開始された
撮影期間は65日
半年後に公開の予定だ

最初はジョージが木から落ちるシーンだった
撮影が始まって、スタッフはこの作品がいかに難しいかを思い知らされた
1985年1955年
同じ場所でそれぞれを撮らなければならないのだ
そして役者も若い頃と年取った姿、それぞれを演じなければならない

リー・トンプソンの年老いた姿のメーキャップには、3時間かかった
時間がなくて、リーはメイクをしたまま健康診断を受けた
医師からは「年齢のわりには健康だ」と褒められた

映画の中では争いを嫌った父親のジョージ
だが、演じるクリスピン・グローヴァーはかなりの問題児だった
ドアの開け方ひとつで、ゼメキスと言い合いになった
またすぐにカメラから外れるので、スタッフは動けないようにクリスピンを柵で囲ったこともあった

主役交代

撮影が始まって、ゼメキスやスタッフはずっと違和感を感じていた
何かしっくりこない
原因は主役のエリック・ストルツだった
演技がシリアスすぎるのだ
この作品はコメディのはずなのに、エリックが演じると悲劇に変わってしまう

エリックはマーティではない
とうとうゼメキスは決断を下した
すでに撮影開始から6週間
この時点での主役交代など、前代未聞である
ゼメキスとスピルバーグは、シド・シャインバーグに詰め寄った
上手くいかなければ降板させてもいいという約束だったはずだ

「君たちは後悔することになる」

シャインバーグはそう言いつつも、しぶしぶ認めた

ゼメキスたちは再びマイケル・J・フォックスにオファーした
「ファミリータイズ」が最優先
プロデューサーのゴールドバーグはそれを条件に、マイケルが引き受けるなら許可すると告げた
マイケルはゴールドバーグのオフィスに呼び出された
あまりの深刻な空気に、マイケルは自分が番組をクビになるのだと思った
ゴールドバーグは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の脚本を渡した

「家に持って帰って、明日までに返事してくれ」

マイケルは脚本を手に取り、中身を見ずに「やります」と答えた

ゼメキスはエリック・ストルツにとうとう降板を告げた
エリックはショックを受けていたが、どこか安堵しているようにも見えたという

だが交代はエリック・ストルツだけで終わらなかった
マーティの恋人のジェニファー役のメローラ・ハーディン
彼女はマイケル・J・フォックスより、背が8センチ高かった

この凸凹カップルはおかしくないだろうか?

ゼメキスは自分では分からず、女性スタッフに聞いて回った
彼女たちは一様にこう答えた

10代の女子は自分より背が低い男子とは付き合いたがらない

こうしてメローラは降板となり、代わりにクローディア・ウェルズに決まった
彼女はオーディションに落ちたのだが、スピルバーグが覚えていたのだ
何よりクローディアはマイケルより背が低かった

再撮影

キャストが2人、変更になった
しかもその内の1人は主役だ
急にそのことを聞かされた撮影スタッフは騒然とし、中には泣き出す者までいた
すでに6週間も撮影しているのに、ほとんどを最初からやり直すのだ

いよいよマイケルの撮影初日になった
初めてマーティがタイムマシンを見るツイン・パイン・モールの駐車場のシーンだ
今までの苦労を無駄にするほどの価値が、マイケル・J・フォックスにあるのか?
スタッフ一同が固唾を飲んで見守っていた
しかし、マイケルは最初のセリフからキャラクターを掴んでいた

「デロリアンをタイムマシンに改造したの?」

出だしから素晴らしい演技だった
そこにいるスタッフ全員が、マーティがそこにいると感じた

マイケル・J・フォックスは「ファミリータイズ」と掛け持ちだった
昼間はドラマの撮影があるので、夜中にしか出演できない
撮影は朝の5時まで
マイケルは現場と現場の移動の時しか、睡眠が取れなかった
スタッフはマイケルが映らないカットを先に撮り、後でマイケルのアップのカットを撮った
そして編集で違和感のないように組み合わせた

問題も発生した
すでに撮ったシーンを再び撮り直す
だが、シーンが膨大で、次第に撮ったか撮らなかったか分からないカットが出てきた
マーティが食堂でビフを殴るシーン
ゼメキスはマイケルで撮り直したつもりだった
しかし、ビフ役のトーマス・F・ウィルソンや他のスタッフは分からないというのだ
そして後日に確認したところ、明らかにマイケルとは背の高さが違った
結局、そのカットはそのまま使われている

撮り直しには良い面もあった
段取りが分かっているので準備が早い
またエリック・ストルツは黒いジャケットを着ていた
その時代でも違和感のないものだ
これでは面白くない
そのためマイケルには赤いダウンベストを着せて、当時では浮く格好にさせた

試写会

ようやく撮影が終わり、試写会が行われた
まだ音楽も仮のもので、特殊効果も十分に入っていない

犬のアインシュタインをデロリアンでタイムスリップさせるシーンになった
観客の反応は予想と全く違った
皆がスクリーンを見て黙り込んでしまったのだ
犬が死んでしまったと思ったのである

そして、1分後にタイムスリップしたデロリアンが現れる
ドアを開けると、犬は無事だ
観客たちが喝采をあげた
その後は観客はすっかり映画に夢中になった
こんなに盛り上がった試写会を、誰も見たことがなかった

この作品は大ヒットする

関係者は皆がそう思った
だが、そのことが思わぬ波紋を呼んだ
この映画はヒット間違いないとスタジオが、公開日を7月3日に前倒ししたのだ
予定より3週間早い
そのためスタッフは不眠不休で働いた
だが、特撮シーンなど満足に手を加えられなかったという

公開

そうして1985年7月3日に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は公開された
映画は観客から大興奮で迎えられた

その日、マイケル・J・フォックスは「ファミリータイズ」の仕事で海外にいた
マイケルはエージェントの電話で起こされた
急な電話にマイケルは、映画がこけたのだと思った

「寝不足でベストが尽くせず申し訳ない」

とりあえずマイケルは謝った
エージェントは笑った

「違う。映画は大ヒットだ」

その週末に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は1130万ドルを稼ぎ、全米で1位だった
これにはユニバーサルのシド・シャインバーグも大喜びだった
映画は3ヵ月1位に君臨し、世界で3億8500万ドルの興収だった
これは1985年の年間1位である

まとめ

主役の交代など知っているエピソードもあったが、初めて聞く話も多かった
何より関係者の口から語られたのが貴重である
チンパンジーや冷蔵庫や原爆実験場
一歩間違うと、別物になっていたかも
名作の誕生には様々な幸運も絡んでいるのだと感じた
とにかくタイトルが「冥王星の宇宙人」にならなくて良かった
「ボクらを作った映画たち」はNetflixで配信中

もっとも面白いアクション映画は何だろうか? 色々な意見があるだろう しかし、1988年に公開されたブルース・ウィリス主演の「ダイ・ハード...
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