凄い映画である
全てが明らかになるクライマックスには衝撃を受けた
Netflixのフランス映画
演技、映像、演出、音楽
どれもクォリティが高い
特に巧妙なシナリオには舌を巻いた
LGBTQを題材にした作品ではあるが、主題はそこではない
むしろラブストーリーというより、サイコスリラーといった方がいいかも知れない
ちょっとジャンルを分類するのが難しい作品である
物語の方向性が見えない前半は、戸惑う人もいるだろう
だが、最後まで見れば、誰もが衝撃を受けるはずだ
あまり似たような作品が思いつかない本作
そのオリジナリティは特筆すべきものがある
時間も1時間22分でサクッと見れる
好き嫌いは分かれるだろうが、見る価値あり
特に映画通の人には、ぜひ見て欲しい
作品情報
作品名「Jonas/ジョナス」（原題I Am Jonas）
監督：リストフ・シャリエ
キャスト：フェリックス・マリトー、ニコラ・ブヴェンス、トミー・リー・バイク、オーレ・アッティ
上映時間：82分
製作国：フランス（2018年）
ざっくりあらすじ
10代で出会った少年ナタン。ジョナスは大人になった今でも、彼のことを引きずっていた…………
感想（ここからネタバレ）
この「Jonas/ジョナス」は何と2018年にフランスで放送されたテレビ映画らしい
クォリティが高いので、全く気付かなかった
ナタンとの出会い
2015年、ジョナスは病院に勤めていた
ジョナスはサミュエルという恋人がいたが、他の男と手当たり次第に浮気をしていた
ついに愛想をつかしたサミュエルから、ジョナスは家を追い出された
何をしても心が満たされない
いつも思い出すのは10代で出会ったナタンのことだった
1997年、ジョナスは15歳の中学生だった
ジョナスは整った顔立ちで、女の子には人気があったが、友達はいなかった
新学期、ナタンという少年が転校してくる
ナタンは我が強くて自由奔放な性格
その頬の傷がひときわ目を引いた
怖いもの知らずで陽気なナタンに、ジョナスは惹きつけられた
一緒に行動することが多くなったジョナスとナタン
ある日、ナタンがジョナスにキスをしてきた
ジョナスもそれに応じた
完全にジョナスはナタンに夢中だった
両親の許可を取り、ジョナスはナタンの家に泊りに行くことになった
ジョナスはその日を楽しみにしていたのだが…………
ジョナス
無精ひげで指にタトゥーを入れ、ワイルドな風貌になった2015年のジョナス
しょっちゅう喧嘩をして、トラブルを起こしている
まるで1997年の頃とは別人のようだ
ジョナスに何があったのか？
どうしてもナタンのことが忘れられず、心に空洞を抱えたジョナス
まるで自暴自棄になっているかのように見える
何がジョナスをこんな風にしてしまったのか？
それは終盤で明かされる
ナタン
自由奔放で怖いもの知らずの少年ナタン
自分にない天性の魅力
ジョナスはすっかりナタンに夢中になる
しかし、2015年にナタンの姿はない
ナタンの身に何があったのか？
その謎でこの映画は観客を引っ張っていく
2つの時系列
1997年と2015年
中学三年生のジョナスと大人になったジョナス
この作品は二つの時系列が並行して描かれる
ナタンと心を通わせ幸せだった15歳のジョナス
何かを探し求め街をさまよう33歳のジョナス
二つの時系列は、やがて一つに収束する
その展開が見事
伏線
ゲームボーイ
中学を転校した理由
誰とも深く付き合えないわけ
鼻血
なぜジョナスは人が変わってしまったのか
様々な伏線が序盤から仕込まれている
真相が判明した後、もう一度最初から見返したくなった
実に緻密に練り上げられた脚本である
喪失
いつも陰鬱な表情をしているジョナス
何をしても気が晴れる様子はない
それはナタンの身に起こったことが、深く関係していた
どうして自分だけ逃げたのか
なぜナタンを見捨てたのか
他にやれることはなかったのか
後悔
悲しみ
自分への怒り
トラウマ
喪失感
15歳の少年が背負うには、あまりに過酷な心の傷である
人間が変わってしまうのも無理もない
ナタンはどうなったのか？
決して得られない答えを、最後にはジョナスと同じく観客も、探し求めることになるだろう
まとめ
完成度の高い1作
鮮やかな幕切れも良かった
とにかく緻密な脚本と演出に唸らされる
好みは分かれるだろうが、見る価値がある作品だ
それにしても、このクォリティでテレビ映画とは信じられない
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/i_am_jonas
ブログTOPへ