「検察側の罪人」ネタバレ感想 文句なしの力作!!でも不満な点も

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木村拓哉と二宮和也
ジャニーズの二大トップスターの夢の共演
だが、作品自体も気合の入った力作だった
2018年の邦画の代表的な一本になるのは間違いない

予告編

映画『検察側の罪人』予告2

作品情報
作品名「検察側の罪人」
監督:原田眞人
キャスト:木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、松重豊、山崎努
原作:雫井脩介
上映時間:123分
製作国:日本(2018年)

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ざっくりあらすじ

都内で老夫婦殺害事件が発生。東京地検刑事部のエリート検事・最上は彼の弟分の若手検事・沖野に事件を担当させる。やがて容疑者の一人に松倉という男が浮上する。松倉に最上は異様に執着し、犯人の有力候補として執拗に追い詰めていく。最上の意をくんで沖野も松倉を厳しく取り調べるのだが………………

感想(ここからネタバレ)

雫井脩介の同名小説が原作
二大スター共演にふさわしい見ごたえある作品となった

合本 検察側の罪人【文春e-Books】

発端

物語は駆け出しの検事、沖野がエリート検事である最上のいる刑事部に配属されるところから始まる
最上のことを慕っている沖野
最上も沖野のことを高く買っており、様々な仕事を与え一人前に鍛え上げようとする
多忙だが検事としてのやりがいのある日々
そこに二人にとって運命の事件が起きる

都内で老夫婦が殺害された
最上は沖野に事件を担当させる
被害者の老人は何人もの知人に金を貸していた
その中に犯人がいる可能性が高い
そうして浮かび上がった容疑者の中に松倉という名前があるのを見て、最上は愕然とする
松倉は23年前に久住由季という女子中学生が殺された事件の容疑者だった男
由季は最上が大学時代に住んでいた寮の管理人の一人娘だった
だが、事件はすでに時効となっている

最上は今度こそ松倉に法の裁きを受けさせようとする
そのためには老夫婦を殺害したのは松倉でなければならない!!
執拗に松倉を追い詰める最上
沖野も最上に追従し、厳しく松倉を取り調べる
だが最上の異様な松倉への執着に、沖野は疑念を抱き始める
本当に松倉が犯人なのか………………?

エリート検事としてプロフェッショナルに振る舞っていた最上
だが、事件に私情を持ち込んだ時、あっけなく法の番人であるはずの検事の姿は崩れ去る
法で裁きを下す方が加害者となる
検察側の罪人の誕生である

キャスト

木村拓哉
エリート検事の最上毅を演じる
木村はトップスターとしてさすがの存在感
正義を執行するために、自ら法をゆがめていく最上
自分で作ったストーリーに飲まれ、そぐわない証拠や事実は排除していく
そんな孤独な男を木村は熱演

代表作

「武士の一分」
木村拓哉でもっとも好きな作品
山田洋次監督の傑作
木村の剣術アクションはすさまじい迫力だった

二宮和也
駆け出しの検事の沖野を演じる
先輩である最上に憧れ、やがて対立する
とにかく本作の二宮の演技は素晴らしい
二宮はやる気のない演技をやらせたらピカイチ
やる気のない演技なのか、本当にやる気がないのか見ていて分からなくなるほどだ
だからこそ松倉を糾弾する時の豹変ぶりは凄まじい
演技にメリハリがある

代表作

「硫黄島からの手紙」
いちやく二宮和也の名前を世界にとどろかせた
イーストウッドの名作

吉高由里子
沖野の担当事務官、橘沙穂を演じる
誰にも言えない秘密を持っている
二大スターに挟まれながらも、率直で毅然とした態度で、めちゃくちゃキャラが立っていた

松重豊
闇社会のブローカー、諏訪部を演じる
一癖も二癖もある役どころ
この人はいい人も悪い奴も演じるのが上手い

酒向芳
容疑者、松倉を不気味に演じる
とにかく圧倒的な存在感
画面を支配するほどのインパクト

監督

原田眞人
「駆込み女と駆出し男」「日本のいちばん長い日」「関ヶ原」と立て続けに話題作を発表
もはや巨匠とすらいえる存在
そのスピーディーなカット割り
ドキュメンタリーを見ているかのような生々しい演出
役者の演技の引き出し方
画面の作りこみといい、確かな力量を感じさせる
個人的には木村一八の「タフ」シリーズにはまった
その壮絶な世界観はいまだに斬新
郷ひろみ主演の「さらば愛しき人よ」の銃撃戦も素晴らしい
佐藤浩市の金髪でしわがれ声で刀を背負ったヤクザが最高
他にもSFロボットアクション映画「ガンヘッド」
内容はいまいちだったが、その志は良し!!
今では巨匠となっているが、昔の原田眞人は好きだったな~

代表作

「KAMIKAZE TAXI」
日本のアクション映画の最高峰
この映画、大好き!!
組から追われるチンピラを助けるペルー帰りのタクシー運転手、寒竹さんがとにかく格好いい
役所広司のベスト演技ではないだろうか
冷酷非情でロックを愛する組長を演じるミッキー・カーチスも素晴らしい
個人的な原田眞人のベスト映画はこれ!!
今ならNetflixで見られる

KAMIKAZE TAXI <インターナショナル・バージョン>


「金融腐蝕列島 呪縛」
とにかくパワフルな社会派ムービー
役所広司や椎名桔平など役者陣が素晴らしい
演出やカット割りなど「検察側の罪人」に通じるところが多い

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取り調べ

この「検察側の罪人」での最大の見せ場は二宮演じる沖野と容疑者松倉との取り調べ室での対決である
不敵に時効になった過去の殺人を告白する松倉
少女を襲った経緯を嬉々として話し出す
何ともおぞましい場面である
完全に空気は松倉に支配される
だが、その後の二宮の豹変ぶりが凄まじい
松倉に対する怒号、怒り
圧倒的な迫力である
それまでニュートラルな印象だったのが、いきなりトップギアに入ったかのようだ
改めて二宮和也の演技力に唸らされた

転落

松倉をどうしても犯人にしたい最上にとって都合の悪いことに、新たな有力な容疑者、弓岡が現れる
犯人はこいつに決定
捜査陣の誰もがそう考え出す
けれど、そんなことは許されない
それは自分が描いたストーリーと違う
法で裁かれなければならないのは松倉なのだ
思いつめた最上は弓岡の殺害を企てる
法の側の人間が一線を越えた瞬間である

森の中で弓岡を射殺する最上
その場面の緊迫感は凄まじい
正義を執行するという建前で法を破ってしまったのだ
もう後戻りできないところに来てしまった

対決

弓岡は失踪し、いまだに松倉に固執する最上
松倉の指紋がついた凶器も見つかる
しかし、沖野は疑念を拭いきれない
全て松倉を犯人に仕立てたい最上が仕組んだことではないのか
沖野は検事を辞職する
そして松倉の弁護士側につき、裁判で無罪を勝ち取ろうとする
最上のやっていることは間違っている
真実は追及されなければならない
沖野は最上と対決することを望む

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失速したクライマックス

ここまで映画は好調を維持してきた
この後は法廷での対決が見れるのだろう
当然、こちらはそれを期待していた

ところが物語は意外な展開を見せる
新たな証言が出て、裁判をすることもなく、松倉の無罪が確定したのである

確かに驚きの展開である
だが、望んでいた展開ではなかった
殺人までして松倉を犯人に仕立てようとした最上の行動は何だったのか
全てが無意味だったのではないか
裁判での逆転劇などを期待していたこちらとしては、がっかりという他ない
また最上がラストに太平洋戦争について言及するが、それもちょっとちぐはぐな印象
物語の本筋と乖離しているように思えた

まとめ

終盤になって急に駆け足になり雑になってしまった印象
そこは本当に残念
木村と二宮の直接対決ももっと見たかった
物足りなさは否めない

だが、そういうことを含めても、とても見ごたえのある作品である
特に役者陣の熱演は素晴らしい
画面に注がれるパワーも日本映画としては目を見張るものがある
間違いなく2018年の邦画を代表する一本になるだろう
二大スター共演という話題性だけではなく、内容も伴った充実した作品である

allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=363102

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