劇場公開と同時にNetflixで配信
他人と合わせてばかりの高校生・八ッ瀬柊は、鬼の少女・ツムギと出会うが…………
内気な少年が鬼の少女と出会う少し不思議なボーイミーツガールもの
後味は爽快
「泣きたい私は猫をかぶる」「雨を告げる漂流団地」を手がけたスタジオコロリド制作の長編アニメ映画
主人公・柊(ヒイラギ)の心情が丁寧に描かれていて、共感が持てる
ツムギは自分勝手で好みが別れそうだが、個人的には魅力的なヒロインだった
2人の関係は非常に初々しい
見ていて気恥ずかしいほどだが、嫌いではない
少年少女のロマンスものとして良作
ただし、鬼の設定などは色々と引っかかるところがあった
アニメーションのクォリティは高い
背景がとても美しかった
最後は甘酸っぱい気分が味わえる
名作とまではいかないが、青春ファンタジーとしてなかなかの良作
予告編
作品情報
作品名「好きでも嫌いなあまのじゃく」
監督:柴山智隆
キャスト:小野賢章、富田美憂、田中美央、ゆきのさつき、三上哲、日高のり子
上映時間:103分
アニメーション制作:スタジオコロリド
制作国:日本(2024年)
ざっくりあらすじ
高校1年生の八ッ瀬柊は、人に嫌われたくないあまりに、頼まれごとを断れない性格になっていた。ある日、柊は鬼の少女・ツムギと出会う。ツムギは自分勝手な性格で、柊はなし崩し的に彼女の母親探しに付き合うことになるのだが…………
感想(ここからネタバレ)
眩しすぎる…………
「好きでも嫌いなあまのじゃく」
八ッ瀬柊は山形に住む高校1年生
柊(ヒイラギ)は他人に嫌われたくないと思うあまりに、頼まれごとを断れない性格になっていた
しかし、誰かのために一生懸命何かをしても、親友と呼べる友人はいない
柊は自分が空回っているのを感じた
真夏にもかかわらず雪が降ったその日、柊は不思議な少女と出会う
その少女・ツムギは家まで勝手についてきて、結局は泊まることになった
一方で柊は父親と口論になり、部屋に引きこもってしまう
ふと気づくと部屋が凍り付いていた
柊が驚いていると、お面をつけた謎の化け物に襲われる
そこにツムギが入ってきて、柊を連れて外へ逃げた
彼女の額にはツノが生えていた
ツムギは自分は鬼で、幼い頃に家を出て行った母親を探しているのだという
「母親探しを手伝ってほしい」
柊はツムギに懇願されて、強引に付き合わされる羽目になり…………
作品解説
監督は「泣きたい私は猫をかぶる」の柴山智隆
主題歌は「ずっと真夜中でいいのに。」の「嘘じゃない」
八ッ瀬柊 CV.小野賢章
山形県に住む高校1年生
嫌われることを恐れるあまり、周りに合わせてしまい、本心を話すことができない
頼まれごとを断れない性格
ツムギと出会ったことで、様々な経験を積み成長していく
嫌われたくないあまり、クラスでも空回りしている柊
人との接し方を深刻に考えるあまり、知らずにストレスを感じている
その姿にはかなり共感を覚えた
ツムギ CV.富田美憂
鬼の少女
母親を探すために、隠の郷(鬼の世界)からやってきた
明るいが少し自分勝手な性格
母親探しに柊を、無理やり付き合わせる
最初は我がままな性格を見て、苦手なキャラだと思った
しかし、ストーリーが進むにつれ、その真っ正直な性格が魅力的に感じるようになった
演じるのは「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」でツンデレ少女・院田唐音役だった富田美憂
まさにはまり役だった
青春
他人の顔色を窺い、本当の気持ちを言うのが苦手な柊
人との接し方が分からない
そんな息苦しさは多くの人が心当たりのあるもので、非常に共感を覚えた
本作はロードムービーとしての一面もある
ツムギの母親探しに付き合ううちに、様々な大人たちと触れ合う柊
旅館で働くことになるくだりは、「千と千尋の神隠し」を思い出させた
無鉄砲なツムギを支えるために、次第に成長していく柊の姿は爽快
ただし、ヒッチハイクで出会った兄妹のエピソードなどは尻切れトンボで終わってしまい、おそらく尺の問題だろうが物足りなかった
その次の旅館の夫婦はいい味
そこで出てきたおにぎりが超絶美味そうだった
柊とツムギの恋は非常に初々しい
眩しすぎて身もだえした
ラストは甘酸っぱさの頂点で、清々しいほどだった
ファンタジー
本作の青春ドラマはなかなか良質だったが、ファンタジー要素は気になるところもあった
真夏に降る雪というのは、ビジュアル的にも素晴らしい
だが、”鬼”の設定は色々と引っかかった
ツムギの説明では、本当の気持ちを言えずにあまりに溜め込むと、人は鬼になるという
しかし、ツムギのように生まれながらの鬼もいる
その違いがよく分からなかった(ツムギは本当の気持ちを溜め込むなんてなさそう)
鬼と人との違いもよく分からない
最初はツムギは特殊な能力を持っていそうな描写(異変を感じ柊のところへ駆けつける)もあったが、その後は特に描かれなかった
身体能力が人より優れていそうだが、ハッキリしない
そもそもツノは普通の人間に見えないのなら、隠れる必要はないのでは?
そういった鬼の設定がイマイチ飲み込めず、最後まで引っかかった
一方、ツムギの故郷「隠の郷(なばりのさと)」はかなり良かった
共同体としての描写がリアルで、非常に生活感が感じられた
まとめ
気になるところもあったが、なかなかの良作
主人公2人が初々しい
後味も爽快で満足感を得られるだろう
青春ファンタジーが好きなら、見て損はない
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/my_oni_girl
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/394223
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