Netflix「PASSING -白い黒人-」ネタバレ感想 凄まじい完成度!!

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Netflixオリジナル映画
1920年代のニューヨーク、黒人女性のアイリーンは幼馴染のクレアと再会するが、彼女は白人の振りをして暮らしていた…………

肌の白い2人の黒人女性をめぐるドラマ
密度が濃く、完成度が高い

女優のレベッカ・ホール初監督作品
モノクロの映像が美しい
主演のテッサ・トンプソンとルース・ネッガの演技が見事
「危険な秘密」を共有する2人
終盤は息が詰まるようだった
差別問題にも鋭く言及
様々な示唆に富んだストーリーが展開される
途中、退屈に感じる人も多いかも知れない
しかし、ラストは衝撃的
知的で文学性の高い作品
見ごたえのあるドラマを求めている人にはおススメ


予告編

Passing | Official Trailer | Netflix

作品情報
作品名「PASSING -白い黒人-」(原題Passing)
監督:レベッカ・ホール
キャスト:テッサ・トンプソン、ルース・ネッガ、アンドレ・ホランド、ビル・キャンプ、ベンガ・アキナベ
上映時間:98分
製作国:アメリカ(2021年)

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ざっくりあらすじ

1920年代のニューヨーク、黒人女性のアイリーンは幼馴染のクレアと再会する。クレアは黒人だが、白人の振りをして暮らしていた…………

感想(ここからネタバレ)

文学性の高い一作

再会

1920年代のニューヨーク
アイリーンは医師の夫ブライアンと息子2人と、ハーレムで暮らしていた
彼女は黒人だが混血で肌が白い
そのため、よく白人と間違われた

その日、アイリーンは息子の誕生日のプレゼントを買うために、街に出ていた
まだ黒人への差別が激しかった時代だ
アイリーンは白人を装って、ホテルのカフェで休息をとっていた
そんな自分をじっと見つめる女性がいた
正体がばれたのかと、アイリーンは落ち着かなかった

突然、その女性が立ち上がって、こちらに近づいてきた

「久しぶり。私が誰か分かる?」

その女性は幼馴染のクレアだった
彼女も黒人だが混血で、肌が白かった
クレアは思いがけぬ再会に、大喜びだった
アイリーンはあか抜けたクレアに、戸惑いを隠せなかった

クレアはシカゴから来て、このホテルに泊まっているということだった
部屋に誘われたアイリーンは、そこで驚くべき話を聞かされた
クレアは自分が黒人であることを隠し、白人として生きているというのだ
夫のジョンもそのことを知らない

そこにジョンが帰ってきた
ジョンは裕福だが、黒人を嫌っている男だった
笑顔で黒人の悪口を言うジョンに耐え切れず、アイリーンは別れを告げ部屋を出た
しばらくしてクレアから「会いたい」と手紙が届いたのだが…………

作品解説

原作はネラ・ラーセンの1929年の小説「白い黒人」

監督と脚本を担当したのは「ザ・タウン」や「ゴジラvsコング」などに出演する女優のレベッカ・ホール
本作が監督デビュー作となる
彼女の祖父は黒人だったが、白人として亡くなった
そのことが本作を映画化するきっかけになったという

本作は2021年の1月30日に開催されたサンダンス映画祭で初上映された
Netflixは映画の配給権を取得した

テッサ・トンプソン

白い黒人のアイリーンを演じる
夫と息子2人とハーレムで暮らしている
黒人として生きているが、街では白人の振りをすることもある
クレアと再会したことで、今までの生活が脅かされるのを感じ…………

テッサ・トンプソンは「クリード」シリーズや「メン・イン・ブラック インターナショナル」など、様々な話題作に出演
本作では複雑な感情を抱えたキャラクターを、見事に演じている

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ルース・ネッガ

アイリーンの幼馴染のクレアを演じる
金髪で肌は白いが黒人
だが、夫や周囲には白人だと偽っている
陽気で明るい性格
アイリーンと再会したことで、昔のように黒人の中で暮らしたいと思うようになり…………

ルース・ネッガは「それでも夜は明ける」や「アド・アストラ」などに出演
本作ではクレアというまるで太陽のように周囲を惹きつけるキャラを演じ、強烈な存在感を放っている

差別

1920年代のニューヨーク
黒人への差別は今以上に熾烈だった
白人は黒人を集団でリンチすらした

印象的なシーンがある
アイリーンはクレアから、夫のジョンを紹介される
ジョンはアイリーンが黒人だとは気づかず、黒人への罵詈雑言を口走る

「黒人が嫌いなんですか?」思わずアイリーンは尋ねる
「嫌っているわけじゃない。憎んでいるんだ」
笑顔で答えるジョンに、見ていてゾッとした

白い黒人

白い黒人とは混血で肌の色の薄い黒人のことである
原題の「Passing」とは、そんな黒人が白人の振りをすることを指す

アイリーンクレア
本作では2人の白い黒人が登場する

アイリーンは黒人として生きようとしている
だが、黒人社会の中では、どこか浮いている
夫のブライアンは子供たちに差別の実態を教えようとするが、アイリーンはまだ早いと反対する
2人の間の温度差
見た目は白人として通用するアイリーンには、夫ほどの危機感が持てないのだ

クレアは白人と偽って、白人社会の中で生きている
夫のジョンは裕福で、何不自由のない生活が送れる
しかし、クレアはずっと孤独だった
本当の自分を出せない日々は、息が詰まるようだった
クレアは再会したアイリーンに執着するようになる
アイリーンだけは本当の自分の姿を知っているからだ

悲劇

白人として自由に生きているクレア
黒人として地に足の着いた生活をしているアイリーン
2人はお互いを羨望のまなざしで見つめるようになる

頻繁に家に顔を出すようになったクレア
夫も子供たちもクレアに魅了されていく
アイリーンは疎外感を感じるようになる

アイリーンとクレア
2人の心理的なドラマは息が詰まるようだった
自分自身が築いてきたものがクレアに侵食されている
追い詰められていくアイリーン
そして、最後に訪れる悲劇
その衝撃的な幕切れに息を呑んだ

まとめ

アイリーンとクレアの心理ドラマが凄まじい
モノクロの美しい映像とピアノの旋律
監督デビュー作でこの完成度
万人向けの作品ではないが、名作といっていい風格がある

Passing (2021) on IMDb

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/passing_2021
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/379568

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