Netflixで「レベル・リッジ」が配信された
「グリーンルーム」「ブルー・リベンジ」の監督ジェレミー・ソルニエが手がけたアクション・スリラー
小さな田舎町を訪れたテリーは、いとこのために用意した保釈金を警察に押収されてしまう
テリーは何とか金を取り戻そうとするが…………
アクション映画としてもサスペンスとしても見ごたえのある「レベル・リッジ」
新世代の「ランボー」ともいえる作品だった
しかし、物語は意外と入り組んでいる
警察の腐敗の原因は?
シェルビー・スプリングの町に隠された秘密とは?
海外サイトなどを参考にして解説してみた
もちろん全てが正しいかどうかは分からない
あくまで一つの解釈だと考えて欲しい
なお映画のネタバレ全開なのでご注意を!!
「レベル・リッジ」
小さな田舎町・シェルビー・スプリングをテリーは訪れた
いとこであるマイクの保釈金を支払うためだ
しかし、自転車に乗っていたテリーは、いきなり後ろからパトカーに追突された
道交法を違反したというのだ
警官はテリーを拘束し、バッグの中身を調べた
中には保釈のために用意した3万ドルが入っていた
テリーは解放されたが、その金は押収された
マイクのために保釈金を取り返さなくてはならない
テリーは裁判所に行って事情を説明した
裁判所書記官のサマーは親身になって話を聞いてくれたが、押収された金はどうにもならないとのことだった
テリーは金を取り返そうと、シェルビー・スプリングの警察署へ向かった
だが、署長のバーンは高圧的で、二度と警察署に近づくなとテリーに言い放ち…………
発端
テリー・リッチモンドはヘッドホンで音楽を聴きながら、自転車で田舎道を走っていた
このシェルビー・スプリングの町をテリーが訪れたのは、いとこのマイクの保釈金1万ドルを裁判所に届けるためだった
急に後ろからパトカーに追突され、テリーは転倒した
警官は難癖をつけてテリーのバッグを調べ、そこに入っていた現金3万6000ドルを麻薬のカネの疑いがあると言って押収してしまった
冒頭から衝撃の展開である
こんな理不尽なことが現実にありうるのか?
「これは実際に起こりうることです」とジェレミー・ソルニエ監督は説明した
警察は証拠がなくても疑いがあるというだけで、一般市民から現金を差し押さえることが出来る
これを「民事資産没収法」という
麻薬取締法の抜け穴であり、警察は合法的な窃盗を行うことが可能なのだ
「レベル・リッジ」は実話を基にした作品ではないが、ジェレミー・ソルニエ監督はこの映画のために徹底的なリサーチをしたという
警察署
裁判所書記官のサマーは、テリーの話を親身に聞いてくれた
しかし、警察がやったことは合法で、戦うとしても1年はかかり費用は倍必要になるという
いとこのマイクは以前、殺人事件の証人になったことがあり、州刑務所に送られると命を狙われる
移送は木曜日で、それまでに1万ドルを用意しなければ、マイクは殺されるだろう
テリーは警察署に乗り込み、バーン署長に訴えた
「保釈金の1万ドルさえ返してくれるなら、残りの2万6000ドルは忘れてもいい」
バーンはその取引を承諾し、月曜の朝9時に来れば、マイクに会わせると約束した
だが、テリーが約束の時間に着くと、マイクはすでに移送された後だった
バーンは最初から約束を守る気などなかったのだ
テリーは最終手段に訴えることにした
「PACE」だ
P=primary(基本)
A=alternate(代替案)
C=contingency(不測の事態)
E=emergency(非常事態)
テリーは警察署に再び乗り込み、バーンと警官1人を拘束した
海兵隊時代、テリーはマーシャルアーツプログラムの教官で、素手で戦う接近戦のエキスパートだった
テリーは黒人女性警官のジェシカに、保管庫の中に案内させた
そこには不自然なほど大量の現金と武器があった
テリーはそこから1万ドルだけ取り、残りは警察署に置いていった
これはバーンとの最初の約束を守るためだった
緩和
テリーは裁判所に駆け付け保釈金を支払ったが、その後に警察に拘束された
ところが予想外にもバーン署長はテリーを釈放し、さらには2万6000ドルを返して、新しいトラックまで提供してきた
州刑務所に移送されたマイクが襲われたという知らせが入った
おそらく助からないだろうとバーンは言った
全てを忘れてこの町から出ていくなら、警察ももう干渉しない
テリーは深い悲しみに襲われながらも、その条件を受け入れた
マイクが死んだ以上、この町にもう用はない
これ以上、感情的になって行動しても、事態を悪化させるだけだ
それはテリーにとって軍でいう「戦術的後退」だった
サマー
約束通り町を去ったテリーに、裁判所書記官のサマーから電話がかかってきた
寝ている間に自宅に警官が侵入してきて、ヘロインを注射されたというのだ
これ以上、周囲を嗅ぎまわらないようにという警告だった
サマーはかつて麻薬中毒者だった
今は更生しているが、娘の親権を取り返すためには裁判所の仕事が必要だ
このヘロインのことが発覚すれば、クビになってしまう
警察のあまりに汚いやり方に、テリーは怒りを隠せなかった
テリーは汚職の陰謀を暴き、警官たちに裁きを与えることを決意した
真相
サマーはテリーと一緒に知り合いの判事を訪ねた
判事は事件の真相を淡々と語り始めた
町は破産寸前で、警察を維持する金はなかった
そのためにバーン署長は軽犯罪で民間人を逮捕し、高額な保釈金を支払うために家族や友人が現金を持って町を訪れるように仕向けた
そして、警察はそれらの人々を難癖をつけて逮捕し、民事資産没収法を使って持っている現金を押収
それらの金は警察の維持費、町の公共事業などに充てられた
テリーが警察の保管庫で見たのはその金だったのだ
これらは違法逮捕のため、警察はパトカーのドライブレコーダーの記録を残したくなかった
それらのデータを90日間保存し、その間に証拠請求がなければ、警察は破棄していいことになっている
そうして証拠は消されていった
だが、裁判所には警察がアクセスできないドライブレコーダーの映像がいくつか保存されている
それらは警察の汚職を暴く証拠になりえた
ラストシーンの説明
テリーとサマーは裁判所に侵入し、証拠となるSDカードを回収した
しかし、サマーは警察に捕まってしまう
テリーはSDカードとサマーを交換すると、警察に伝えた
約束の時間に警察はレベル・リッジに集まった
だが、それはテリーの罠だった
テリーの本当の狙いは警察署の保管庫だったのだ
署に残っていたバーンをテリーは無力化した
そして、黒人女性警官のジェシカに、自分に何かあったら映像を公開するように頼み、SDカードを渡した
サマーは教えてくれなかったが、ジェシカこそ彼女の友人で警察の内通者である「セルピコ」だとテリーは信じていた
ところがジェシカはセルピコではなく、テリーは銃を突き付けられた
警察署の周囲は武装警官が包囲し、絶体絶命だ
証拠を消すために、警察はテリーとサマーを始末するつもりだった
まさにテリーが撃たれそうになった時、エヴァン警官が前に出てきて、やめるように言った
驚いたことに、物語の最初に言いがかりをつけてテリーを逮捕したエヴァンこそがセルピコだったのだ
だが、エヴァンはバーン署長に足を撃たれ、倒れた
混乱に乗じて、テリーはサマーとエヴァンをパトカーに乗せて、その場を逃走した
しかし、追跡されてタイヤはパンクし、バーンに前に回り込まれてしまった
その時、ジェシカが命令を無視して、バーンの車に激しくぶつけて、道路から押し出した
テリーたちはそのまま走行を許され、彼を追いかける代わりに残りのパトカーは護衛についた
そうして無事にテリーたちは病院へ辿り着いた
どうして警官たちは急に態度を豹変させたのか?
その理由のひとつは、バーン署長がエヴァン警官を撃ったことにある
バーンは仲間の1人を撃ったのだ
それを見た時、警官たちの心に不信感が生じた
バーンがやっていることは本当に正しいのかと
撃たれたのはエヴァンではなく、自分だったかも知れないのだ
もうひとつの理由は、事態があまりに大きくなりすぎたことである
もはや隠蔽することは不可能だと悟ったのだろう
全てが明るみになれば、自分たちは犯罪者である
もうほとんどが手遅れだが、まだ出来ることもある
バーンが事件の首謀者だと、州警察に突き出すことだ
責任を全てバーンに押し付ければ、自分たちの罪は軽くなるかも知れない
ラストシーンでテリーは、バーンがエヴァンを撃つ瞬間の映像を収めたドライブレコーダーを持っている
バーンはもう言い逃れは出来ず、逮捕されるだろう
シェルビー・スプリングの警察はようやく汚職から解放されるはずである
続編は?
物語は奇麗に完結した
普通に考えれば、続編はありえないだろう
だが、主人公であるテリー・リッチモンドはとても魅力的なキャラクターだ
テリーが訪れた様々な町で事件に巻き込まれる「ジャック・リーチャー」方式なら、続編を作ることも可能だろう
全てはNetflixの視聴者がこの映画を支持するかどうかにかかっている
個人的には是非ともシリーズ化して欲しい
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