映画「ロケットマン」感想と解説(ネタバレあり) 「ボヘミアン・ラプソディー」とは別ベクトルの傑作!!

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エルトン・ジョンの伝記映画
見る前は「ボヘミアン・ラプソディー」の二番煎じのような、少しネガティブな印象だった
二匹目のどじょうを狙った作品か
そんな醒めた目で見たのだが………………

かなり良かった!!

「ボヘミアン・ラプソディー」とは似て非なるものだった
とにかく音楽シーンが圧巻
まさかミュージカルだとは思わなかった
そして何よりタロン・エガートンの熱演
歌上手すぎ!!
完全にエルトン・ジョンになり切っている
そのパフォーマンスだけでも見る価値あり
ド派手な衣装やステージも凄い
前半はサクセスストーリーで楽しませ、後半はトップに立ちながらも孤独に苦悩するエルトン・ジョンの姿が描かれる
ラブストーリーとしても秀逸
エルトン・ジョンのファンや、良質な音楽映画を求める人なら満足度は高いだろう


予告編

映画『ロケットマン』本予告

作品情報
作品名「ロケットマン」(原題Rocketman)
監督:デクスター・フレッチャー
キャスト:タロン・エガートン、ジェイミー・ベル、ブライス・ダラス・ハワード、リチャード・マッデン
上映時間:121分
製作国:アメリカ(2019年)

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ざっくりあらすじ

並外れた音楽の才能でスターへの階段を駆け上がったエルトン・ジョンの知られざる半生を描く

感想(ここからネタバレ)

実は音楽に疎いので、エルトン・ジョンについては「ユア・ソング」ぐらいしか知らなかった
ここまで大物だったとは!!

スターの道へ

イギリスの片田舎、レジー・ドワイト少年は家に寄りつかない厳格な父親と子供に無関心な母親の間で育った
レジーは愛情に飢えていた
そんなレジーは唯一、音楽の才能には恵まれていた
他人の弾いた曲を一度聞いただけで演奏することが出来た
その才能が認められ、王立音楽院に入学
やがてレジーはロックの魅力に取りつかれ、ミュージシャンになることを夢見て「エルトン・ジョン」と名前を改めた

レコード会社の公募広告を見て、エルトンは飛びついた
そこでエルトンは同じく応募者であるバーニー・トーピンと、運命的な出会いをする
バーニーの書く詞に魅了され、エルトンは曲を書いた
意気投合した二人は多くの曲を生み出した
そして、その中の1曲「ユア・ソング」は高く評価された

エルトン・ジョンはデビューを果たし、アメリカへ渡った
LAの伝説的なライブハウス「トルバドール」での初ライブは大成功だった
それをきっかけに、エルトンはまたたく間にスターへの階段を駆け上がる

完成度の高い曲とド派手な衣装にパフォーマンス
エルトンの曲は次々とヒットした
彼はすっかり有名人だった
しかし、これだけ成功しても、エルトンの心は少年時代と変わらず孤独なままだった………………

監督

デクスター・フレッチャー
元々は役者でガイ・リッチー監督の「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」にも出演している
2011年に「ワイルド・ビル」で監督デビュー
「ボヘミアン・ラプソディー」ではブライアン・シンガーから監督を引き継ぎ、見事に作品を完成させた

エルトン・ジョン

洋楽に疎いので、エルトン・ジョンについてはあまり知らなかった
あの「ユア・ソング」を歌った有名な歌手
「キングスマン ゴールデン・サークル」に本人役で出てきた変な人
その程度の認識だ
彼の曲もほとんど知らなかった

そのため映画の中で、エルトンが世界中を熱狂させる姿に驚いた
ここまで大物のアーティストだったとは
また彼がゲイであること
アルコールやドラッグに溺れる姿も描かれる

まだ健在の人物をここまで赤裸々に描いても大丈夫なのか?
そう心配していたら、製作総指揮をエルトン・ジョン本人が務めているのを知ってビックリ
この「ロケットマン」はエルトン・ジョンの長年にわたる念願の企画だったらしい

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タロン・エガートン

この「ロケットマン」でもっとも賞賛されるべきはタロン・エガートンだろう
タロン・エガートンというと「キングスマン」の青二才のスパイ
そして去年主演した「ロビン・フッド」が大爆死
そんな印象だった

以前にこういう記事を書いた この記事では2018年最大の爆死作は「Robin Hood」であると紹介した 「Robin Ho...

とにかくタロン・エガートンが演じたエルトン・ジョンの演技は圧巻
外見はそんなに似ていないはずなのに、完全にエルトン・ジョンになりきっていた
ただのイケメン俳優だと思っていたタロン・エガートン
これほどの演技の力量を秘めていたとは

特筆すべきは歌声の素晴らしさ
上手すぎる!!
「ボヘミアン・ラプソディー」でアカデミー主演男優賞に輝いたラミ・マレックは、歌はオリジナルのクイーンの音源を主に使用していた
タロン・エガートンは全て自分で歌っているのだ
彼もラミ・マレックに負けずとも劣らないパフォーマンスだったといえるだろう

音楽映画

「ロケットマン」はミュージカル映画である
登場人物たちが突然、歌ったり踊りだす
それが「ボヘミアン・ラプソディー」との最大の違いだ

音楽シーンは見事
さすがデクスター・フレッチャー監督
冴え渡った演出だった

「ボヘミアン」と違い「ロケットマン」はエルトン・ジョンの少年時代の比重が大きい
親に愛されなかった内向的な少年
地味なエピソードである
だがミュージカルシーンを挿入することにより、観客の心を掴んで離さない
グイグイと映画にのめり込ませていく

心の旅路

依存症のリハビリ施設
物語は奇抜な格好のエルトン・ジョンが、同じく依存症の患者たちに自分のことを語るところからスタートする
意表をついたオープニングだ

親に愛されなかった少年時代
なかなかチャンスに恵まれなかった下積み時代
そして突然の成功

地味で内向的だったレジー・ドワイト少年
誰もそんな人物を望んでいない
別の自分、エルトン・ジョンになるのだ

エルトンは派手な衣装とパフォーマンスで世界を熱狂させる
しかし、その大きな奔流に巻き込まれたような毎日は、自分を見失わせる
誰も本当のレジー・ドワイトなど求めていないのだ
愛されなかったという心の傷が、ずっとエルトン・ジョンの人生にまとわりつく

この「ロケットマン」はラブストーリーでもある
駆け出しの頃に出会ったバーニー・トーピン
バーニーは誠実で穏やかな青年だった
作詞の才能に恵まれた彼とエルトンはパートナーになり、固い絆で結ばれる
バーニーはエルトンを心から愛していた
けれどそれはエルトンとは違う愛だった
そのことがエルトンの孤独を深める

有名になり、誰もが自分に近づいてくる
愛を交わしたこともあった
だが本当の愛は誰もくれなかった
狂乱の毎日
変わらないのはバーニーとの友情だけだった

この作品はクライマックスに伝説のライブなどは用意されていない
「ボヘミアン・ラプソディー」のような盛り上がりを期待すると、拍子抜けするかも知れない
描かれるのはあくまでエルトン・ジョンの心の軌跡なのだ
そのため静かな感動を呼び起こすものとなっている

まとめ

見終わってしばらくはエルトン・ジョンの曲が、頭の中で鳴り響いていた
やはり音楽映画はいい
その中でもこの作品は上質な部類である
楽しい音楽シーンにパフォーマンス
そして1人の男の孤独が胸に残る
「ボヘミアン・ラプソディー」とは違ったベクトルの傑作である

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Rocketman (2019) on IMDb


Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/rocketman_2019
allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=367684

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