Netflixオリジナルのルーマニア映画
元情報局員の父親は、雪山で遭難した息子を救うため、あらゆる手段を尽くすが…………
雪山で遭難した息子を捜索する父親の執念
美しい自然と人間の無力さが描かれる
凄い映画を見たという印象
決して諦めず息子を探す父親の姿が凄まじい
はかどらない捜索
厳しい自然
絶望的な状況で、主人公だけは諦めない
そして、ついには手段を選ばなくなる
その執念に圧倒された
こんな雪山映画、見たことがない
ルーマニア映画の質の高さを思い知らされた
見ごたえのある作品を探している人にはおススメ
予告編
作品情報
作品名「雪の峰」(原題Tata muta muntii)
監督:ダニエル・サンドゥ
キャスト:アドリアン・ティティエニ、エレナ・プレア、ユディット・スターテ、ヴァレリウ・アンドリウツァ
上映時間:109分
製作国:ルーマニア、スウェーデン(2021年)
ざっくりあらすじ
雪山で息子が遭難した。元情報局員の父親は我が子を救うために、あらゆる手段を尽くすが…………
感想(ここからネタバレ)
見たことないような雪山遭難映画
遭難
ジャヌはルーマニアの情報機関を引退した男
今は妊娠中の新妻のアリーナと、穏やかな冬を過ごしていた
その平穏は一本の電話で破られた
前妻であるパウラとの間の息子である大学生のコスミンが、雪山で遭難したというのだ
ジャヌは部下のローを連れて、現場に駆けつけた
山岳救助隊のリーダーであるクリスティアンの話では、コスミンはガールフレンドのダニエラと、ブチェジ山で4日前から行方不明になっているらしい
ジャヌは自分も捜索に加わると言い張ったが、素人には無理だと拒否された
仕方なくふもとで待っていると、別れた妻のパウラが到着した
パウラはコスミンが生きていると信じて、神に祈った
その日も何の成果も得られなかった
時間が経てば経つほど、生存の可能性は絶望的になる
ジャヌはただ待っていることに耐えられず、強引に救助隊に同行した
だが、雪山は想像を絶するほど険しかった
ジャヌは救助隊の足を引っ張り、ついには体力が尽きてふもとへ引き返した
日に日に捜索に出発する人数は減っていった
雪崩が起こる可能性があり、危険だというのだ
ジャヌはとうとう我慢ができなくなった
救助隊に任せておけない
ジャヌは情報局時代のつてを使い、諜報員のフィリップとその部下を呼び寄せ、独自に捜索を開始したが…………
ジャヌ
ルーマニアの元情報局員
今では引退して、新妻のアリーナと新居で暮らしている
かつて家庭をかえりみず、前妻のパウラと別れた
パウラが引き取った息子コスミンとは疎遠だったが、雪山で遭難したとの報せを受けて…………
演じるのは「エリザのために」のアドリアン・ティティエニ
雪山遭難映画
大自然の厳しさと人間の無力さ
雪山の遭難を描いた作品は多い
日本映画だと名作「八甲田山」
近年では「エベレスト 3D」などがあった
この「雪の峰」の特徴は、遭難した息子の父親が主人公であること
進まない捜索活動
時間が経つにつれ失われていく希望
ただ無事を祈るしかない無力感
遭難者の家族の心情がリアルに描かれている
暴走
序盤は普通の雪山遭難映画という趣だった
ところが、ついにジャヌは我慢ができなくなる
救助隊に任せてられない
ジャヌは自分の権力を駆使して、軍隊を呼び寄せてベースキャンプを設置
最新の機械やコンピューターを使って、コスミンの居所を捜索した
クリスティアンが率いる山岳救助隊は、誠実で有能なチームとして描かれていた
そんな彼らをジャヌは信頼しなかった
ジャヌはクリスティアンと対立する
手段を選ばないジャヌの姿は、心情は理解できるが度を越したものだった
過酷な現実
軍隊による大掛かりな捜索
違法な技術を駆使してまで、コスミンの居所を調査
さすがにこれならコスミンを見つけ出し、助けられるのではと思われた
だが、現実は非情だった
コスミンとダニエラの携帯は、10メートル近く積もった雪の下に探知された
2人は雪崩に襲われたのだ
どれだけジャヌに権力があろうとも、大自然の前では無力だった
ところがジャヌの暴走は止まらない
すぐに息子を雪の下から掘り起こす
春まで待てという周囲の声は、耳に入らない
父親
父親は我が子のために、どこまでできるのか?
同じようなテーマでは、この作品がある
「息子のしたこと」
Netflixオリジナルのスペイン映画
最愛の息子がクラブの外で暴行を受け、瀕死の重傷を負った
父親は犯人たちへの復讐を誓うが………………
衝撃の問題作
父親の息子への深い愛情と愚かさが描かれた
誰もが諦めても、ジャヌだけは止まらない
何がジャヌを衝き動かしているのか?
妻のパウラと息子のコスミンを、かつてジャヌは捨てた
ずっと心の底にあった罪悪感
もう二度と見捨てたりはしない
それは今まで向き合ってこなかった息子への贖罪だった
父親のほとんど狂気にも近い愛情
一人、雪を掘り続けるジャヌの姿が印象的だった
まとめ
ルーマニア映画のクォリティの高さに驚き
一人の父親の魂の慟哭が、美しい雪山をバックに描かれた
見ごたえのある一作だ
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_father_who_moves_mountains
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/378632
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