映画「天気の子」感想と解説(ネタバレあり) 作家性全開の問題作!!

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あの「君の名は」で250億円という日本映画歴代2位の大ヒットを飛ばした新海誠監督の新作
万人向けだった「君の名は」と違い、かなり攻めた内容だった
カレーライスを注文したらハヤシライスが出てきたような印象
「君の名は」しか新海作品を知らない人は戸惑うだろう
正直、人を選ぶ作品である
娯楽性はあまり高くない
しかし、最後まで見ると謎の爽快感が待っている
相変わらずの美しい作画
RADWIMPSが奏でる音楽と映像のシンクロが素晴らしい
作家性を前面に出した最新作
新海誠ファンは必見
そうじゃない人は覚悟して見る必要があるだろう


予告編

作品情報
作品名「天気の子」
監督:新海誠
キャスト:醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
上映時間:114分
製作国:日本(2019年)

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ざっくりあらすじ

離島から家出し、東京にやって来た帆高。しかし、働き口もなく、すぐに生活は困窮した。そんな時、帆高は一人の少女と出会う………………

感想(ここからネタバレ)

チケット売り場で「太陽の子」1枚と言ってしまった
それは灰谷健次郎だ!!
お姉さんのキョトンとした顔が忘れられない………………

100%の晴れ女

16歳の少年、森嶋帆高は離島から東京へ家出してきた
東京は謎の天候不順が続き、ずっと雨が降り続いていた
ネットカフェで夜を明かし、働き口もなく、生活はすぐに困窮していった
困り果てた帆高はフェリーで知り合った須賀という男を訪ねていく
須賀は怪しげなオカルト雑誌のライターをやっていた
帆高は彼の助手として雇われ、住み込みで働いた
そして色々な都市伝説を調べている内に、「100%の晴れ女」の噂を耳にする

そんなある日、帆高はチンピラに絡まれていた女の子を助ける
その子は以前にファーストフードの店でバイトしていて、売れ残りのハンバーガーを分けてくれた子だった

「助けてなんて頼んでない!!」

そう言われて意気消沈する帆高
その姿を見かねたのか、彼女は帆高をビルの屋上に連れていく
相変わらず雨が絶え間なく降り注いでいた
その子は空に向かって、手を合わせて祈った
すると重く厚い雲にみるみる晴れ間が差した
いつの間にか雨は降りやんでいた
驚く帆高
その少女の名前は陽菜といった………………

新海誠

新海誠の名を意識したのは2002年の「ほしのこえ」
25分の短編だったが、それを個人で製作したというのが驚きだった
その後も長編作品やPCゲームのOP映像など、着々と作品を積み上げていった

目を見張る美しい風景
少年と少女
主人公のモノローグ
映像と音楽のシンクロ

新海作品には新海ワールドともいうべき特徴があった
個人的には新海誠の作品は実は苦手だった
何やら見ていて気恥ずかしいのだ
その感傷的な作風が好みではなかった

新海誠の新作「君の名は」が前代未聞の大ヒット!!
そのニュースを聞いて普通に驚いた

新海誠が万人に受ける作品を作れるわけがない
一体どういうことだ!?

半信半疑で見に行った「君の名は」は面白かった
ミステリーあり、ファンタジーあり、笑いあり、純愛あり
見事なエンターテイメントになっていた
新海誠監督がこんな直球の娯楽作品を作れるとは!!
目を見張る思いだった

「天気の子」

そして「天気の子」である
社会現象といえるほどのヒットを飛ばした「君の名は」の次に、どんな作品を持ってきたのか!?

序盤、家出して東京に来た少年、帆高
ネットカフェで寝泊まり
バイト先も見つからない
チンピラにからまれる
食費すらままならない

く、暗い………………
振り続ける雨がさらに暗さに拍車をかける
見ていてかなり気が滅入った
劇場に詰めかけている中高生たち、ちゃんとついて来れてるの!?
そう心配になったほどだ

「君の名は」では都会と田舎を交互に描くことによりメリハリがあった
「天気の子」では舞台はずっと雨が降り続く東京
そのせいで画面も暗い
気が滅入るのも無理はない

新作「天気の子」はかなり作家性が前面に出て、尖った作品となっていた
新海作品を「君の名は」しか知らない人は面食らっただろう
エンターテイメントを見に来たら、純文学を見せられたようなものだ
その開き直った感じは、ある意味すがすがしかった

森嶋帆高

離島から家出して東京に来た16歳の少年
「君の名は」の主人公は誰でも感情移入しやすい共感できる主人公だった
それに比べると帆高はとっつきにくい
バックボーンが全く描かれていないからだ

なぜ帆高は家出してきたのか?
「天気の子」を見ていると、誰もがそのことが引っかかるだろう
よほどの事情があったのか?
そして中盤でついに帆高の口から明かされる

「向こうにいると息がつまりそうだった………………」

えっ、説明それだけ!?
そんなふわふわした理由じゃ共感できないよ!!

それなら家出も仕方ない
そう思える事情が提示されていたら、かなり違っていただろう
帆高は青さばかりが目立ち、いい大人が感情移入するにはキツいキャラクターになってしまった
もちろん監督が意図したものだろうが、薄っぺらい印象になってしまったのは否めない

天野陽菜

祈ることによって天気を回復することが出来る不思議な力を持った18歳(実は15歳)の少女
明るい性格で小学生の弟のと、二人だけで暮している

感情移入しにくい帆高に比べて、陽菜はとても魅力的に描かれている
きちんと地に足がついているからだ
弟と離されないために、自分が生活費を稼ぐ
そんな陽菜はとても健気で応援したくなるヒロインだった

空とつながり、天気を左右できる陽菜
彼女が祈りを捧げることで、湿った空がみるみる晴れていくシーンは、音楽も相まってなかなかのカタルシス
天気の巫女
だが、その能力が次第に彼女を苦しめていく………………

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疑似家族

この「天気の子」では様々な映画の記憶が喚起される

序盤の慣れない東京で苦労する帆高の姿は「千と千尋の神隠し」
陽菜が空に浮かぶシーンでは「天空の城ラピュタ」「うる星やつら ビューティフルドリーマー」
そして、後半は是枝裕和監督の「万引き家族」を彷彿とさせた

この作品では社会から見放されたような登場人物が多い
ヒロインの陽菜も未成年なのに、1人で小学生の弟と生きていこうとしている
帆高はいつしか2人と疑似家族のようになっていく

帆高と陽菜のクライマックスの敵は、警察であり社会である
そういう意味ではかなり反社会的な内容である
帆高が警察に拳銃を向けるシーンはインパクトがあった
ここまで攻めた内容で来るとは驚きだ

世界の形

終盤、この物語は衝撃の展開を見せる
陽菜は空に飲み込まれ、東京に青い空が戻ってくる
長い雨は止んだ
陽菜が人柱になったことで

帆高は空に彼女を連れ戻しにいく
陽菜は抵抗する
自分が戻れば、また地上に終わらない雨が降り注ぐ
しかし、帆高は選んだのだ
世界より少女

この展開は「Fate/stay night Heaven’s Feel」を彷彿とさせる

大人気ヴィジュアルノベルゲーム「Fate/stay night」の最終ルート(通称「桜ルート」)の劇場版第2弾 ド迫力のサーヴァント同士の...

世界よりも、たった1人の少女を選ぶ
究極の愛の形だろう

「天気の子」は正直、途中まであまり面白くないと思っていたのだが、ここまで突き抜けられると爽快
陽菜は生還したが、雨が降り続き東京は水没する
賛否両論の結末だろう
だが音楽の相乗効果もあって、最後は清々しい気分になった

まとめ

かなりの問題作である

感情移入しにくい主人公
後半のトンデモ展開
賛否が分かれそうな結末

色々と難点はある
けれどかなり濃い新海エキスが味わえるのも確か
社会現象にまでなった「君の名は」の次に、これを持ってくるのは素直に凄い
やはり新海誠は一筋縄ではいかない


Tenki no ko (2019) on IMDb


allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=366483

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