2020年2月に「チャーリーズ・エンジェル」が日本で公開される
かつての人気TVシリーズの3度目の映画化
知名度は抜群である
だが、11月15日に公開された北米では、悲惨な結果となったようだ
いったい何が原因だったのか?
作品解説
「チャーリーズ・エンジェル」は1976年から1981年にかけて、アメリカで放送されたテレビドラマ
2000年にキャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューの3人が主演で、映画化もされた
2003年には続編「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」が公開された
2019年の映画「チャーリーズ・エンジェル」はキャストは全て入れ替わっているが、オリジナルテレビドラマと映画2作の続編という位置づけである
莫大なエネルギーを生み出すことが可能な革命的な新技術
しかし、そのシステムには重大な欠陥があった
謎の男チャーリーが率いる探偵エージェンシーのエンジェルたち
彼女たちの今回の任務は、その装置を回収することだったが………………
新しいエンジェルの3人
ワイルドなサビナ・ウィルソンを演じるのは、「トワイライト」シリーズのクリステン・スチュワート
科学者でのちにエンジェルとなるエレナ・ハフリンを演じるのは「アラジン」のナオミ・スコット
元MI-6エージェントのジェーン・カノを演じるのは、新星エラ・バリンズカ
共演はNetflixの「パーフェクト・デート」のノア・センティネオ、「X-メン」シリーズのパトリック・スチュワート
監督は出演もしている「ピッチ・パーフェクト2」のエリザベス・バンクス
オープニング成績
「チャーリーズ・エンジェル」のオープニング成績は、事前の予想では1,000万〜1200万ドルだった
実際にはそれを下回り、わずか860万ドル
初登場3位だった
2000年の「チャーリーズ・エンジェル」のオープニング成績は4000万ドル
2003年の「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」は3760万ドル
前2作の記録を大きく下回った
世界的には2,790万ドル
頼みの綱の中国も780万ドルと冴えない数字で終わった
新しい「チャーリーズ・エンジェル」が爆死した原因は何なのか?
誰も「チャーリーズ・エンジェル」の新作を望んでいなかった
「チャーリーズ・エンジェル」(2019)は厳密には続編だが、実質的には再起動のようなものである
「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」から16年が過ぎた
前作を見た人間には確かに懐かしいタイトルだ
だが25歳以下の観客からすれば、全く馴染みのない作品である
誰が新しい「チャーリーズ・エンジェル」を望んだのか?
確かに「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」のように、誰も期待していなかった新作なのに、驚異的なヒットを飛ばした作品はある
しかし、これは特殊な例と考えるべきだろう
悲惨なオープニングの結果からして、「チャーリーズ・エンジェル」の新作を望む人はほとんどいなかったようだ
スターの不在
キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー
2000年の「チャーリーズ・エンジェル」のメンバーは、当時大人気のスターたちだった
さらにはビル・マーレイ、ティム・カリー、サム・ロックウェルと脇も豪華だった
それに比べてリブート版はどうだろう?
確かにクリステン・スチュワートは人気も実力も確かだ
しかし、「トワイライト」シリーズの後は、どちらかというとインディーズ映画で活躍してきた
ナオミ・スコットも「アラジン」が大ヒットしたとはいえ、まだ名前を売り出したばかりという印象
3人目のエラ・バリンズカに至っては、ほとんど新人である
才能のある若い俳優を発掘し、スターに育てる
それはとても意義のあることだ
けれど、高額の製作費の作品にとっては、スターの不在は大きなリスクが伴う
ジェニファー・ローレンス、エマ・ストーン、マーゴット・ロビー
実は新しいエンジェル役には、最初はこの3人の名前があがっていた
堂々たるメンバーだ
だが彼女たちのようなトップスターは、「チャーリーズ・エンジェル」というタイトルにほとんど関心を示さなかったようである
平凡なレビュー
「チャーリーズ・エンジェル」(2019)のシネマスコアは「B」
ロッテントマトの批評家支持率は60%、観客支持率は81%
IMDbのスコアに至っては、現在4.1である
突出して悪いわけではないが、良いとも言い難い
いわゆる平凡な評価となっている
作品が高評価なら、興味がなかった人たちを惹きつけることはできただろう
しかし、この評価ではあえて観客が映画館まで行く理由にはならない
「フォードvsフェラーリ」
同じ週に公開された「フォードvsフェラーリ」
マット・デイモンとクリスチャン・ベイル共演の話題作だ
興収3100万ドルで初登場1位
シリーズものではない作品としては、文句なしの成績だ
批評家からも観客からも高い評価
賞レースに絡むのは間違いないだろう
さらにはこの作品にはスターがいる
「チャーリーズ・エンジェル」は「ターミネーター ニュー・フェイト」とぶつかるのを避けて、公開時期をずらしたといわれている
だが、それは最悪の結果を招いたようだ
女性が主人公
「キャプテン・マーベル」「ワンダーウーマン」「マッドマックス 怒りのデスロード」
女性がメインのアクション映画の成功作
「チャーリーズ・エンジェル」もそれらに続きたかったところだろう
なぜ失敗したのか?
上記の作品はどれも映画そのものが高評価だった
やはり重要なのは作品の魅力だろう
女性が主役
それ以外の魅力を提示できなければ駄目なのだ
「チャーリーズ・エンジェル」の爆死で、今後の女性メインのアクション映画に打撃を与えるのではないかと心配されている
早く次の成功作が出てきて欲しいところだ
再起動の罠
「ターミネーター ニュー・フェイト」
「ドクター・スリープ」
最近、話題作が立て続けに爆死した
これらだけではなく2019年は「ヘルボーイ」「メン・イン・ブラック インターナショナル」「X-MEN:ダーク・フェニックス」「ランボー ラストブラッド」「シャフト」など、名作のリブート、続篇がことごとく失敗している
「チャーリーズ・エンジェル」も新しくその列に加わった
大作には金がかかる
何か売れるという保障が欲しい
かつての人気作
それは製作者にとって魅力的に映るのかも知れない
かつての栄光を頼りに、新しく再起動
そのやり方では、もはや若い観客を取り込めないようだ
リブートが悪いというわけではない
大ヒットしている「ジョーカー」もある意味、リブート作品だ
ただ安全を求めて安易に作られたものは、観客からそっぽを向かれる
再起動する意義
それが今後は大きく求められるようになっていくだろう
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