11月16日にコーエン兄弟の監督作品「バスターのバラード」がNetflixで配信される
あのコーエン兄弟の最新作がNetflixで配信
これはもはや一つの事件である
すごい時代になったものだ
コーエン兄弟とは?
ジョエル・コーエンとイーサン・コーエン
二人は共同で映画を製作、監督している
すでに世界的に評価の高い監督である
僕が初めてコーエン兄弟の名を意識したのは「XYZマーダーズ」
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「死霊のはらわた」のサム・ライミ監督の最新作というので見に行った(ちなみに同時上映は「クリープショー」)
予測不能の展開とギャグでめちゃくちゃ面白かった
買ったパンフレットには、脚本を担当しているコーエン兄弟に注目と書かれていた
あのサム・ライミより凄いというのか?
さっそくコーエン兄弟の監督デビュー作「ブラッド・シンプル」をビデオで見た
衝撃を受けた
とにかく見たことのない作風だった
それ以来、全作品を見ている(実は「シリアスマン」だけ見てなくて、この記事のために慌てて見た)
コーエン兄弟の作品の特色
予測不能の展開
シニカルな笑い
暴力
殺人
奇人変人
スリラーからコメディ、ジャンルは様々だが、コーエン節とでもいうべき味わいがある
またジョン・グッドマン、フランシス・マクドーマンド、スティーヴ・ブシェミなど同じ俳優をよく使うことでも知られている
撮影は「バートン・フィンク」以降のほとんどの作品を、アカデミー撮影賞に13度ノミネートされ、「ブレードランナー 2049」で初受賞した名匠ロジャー・ディーキンスが手掛けている
彼に関してはこんなエピソードがある
ロジャー・ディーキンスは「007 スカイフォール」の撮影を担当した
次作の「007 スペクター」の時もサム・メンデス監督はロジャーに依頼したが断られた
理由はこうだった
「『スカイフォール』の時は、コーエン兄弟の作品を断った。『スペクター』を引き受けると、また彼らの仕事を断ることになる。コーエン兄弟の作品を2回連続で断るなんて考えられないよ」
「ヘイル、シーザー!」のインタビューでコーエン兄弟は「僕らの作品は頭の中にあるものを描いている」と語っている
コーエン兄弟はガチガチにリサーチをするタイプではない
彼らの作品は現実よりも、どこか寓話的で悪夢的だ
ほら話と言ってもいいかも知れない
アカデミー賞を獲り巨匠と呼ばれるようになっても、コーエン兄弟の作品はあくまでインデペンデント、個人的な物語なのだ
まさに唯一無二
だから彼らの語る奇妙な物語に惹きつけられるのかも知れない
コーエン兄弟監督作品TOP10
評価の基準は現時点でのIMDb(INternet movie datebase)のスコアとメタスコアの合計点である
第10位「バートン・フィンク」(1991年) 146ポイント
最初から超傑作キターーーーーーっ!!
カンヌ国際映画祭でグランプリ、監督賞、主演男優賞の3冠に輝き、コーエン兄弟の名を世界に知らしめた名作
1941年、社会派劇作家のバートン・フィンクはハリウッドに招かれるが………………
ホテルに缶詰めになってシナリオを書くバートン・フィンク
進まない作業
こもる熱気
剥がれる壁紙
まるで悪夢を見ているような気分になる
極限状態に追い込まれていくバートン・フィンクを演じたジョン・タトゥーロの演技は秀逸
ジョン・グッドマンが最高に怖い
第9位「オー・ブラザー!」(2000年)147ポイント
ジョージ・クルーニー主演作
1930年代、アメリカのミシシッピー州の脱獄囚3人組の珍道中
最初の脱獄シーンがとぼけてて面白い
カントリーやブルースやゴスペルなどアメリカンな音楽が印象的
道中で出会う人々も変人ばかり
アメリカの南部を満喫できる作品
第8位「シリアスマン」(2009年)148ポイント
コーエン兄弟作品の中でも、もっとも人に薦めにくい作品
でも、コーエン好きならたまらない
ユダヤ人コミュニティが舞台で、コーエン兄弟たちの少年時代の体験などが反映されているらしい
冒頭の寓話が面白い
けれど、それがどういう意味を持つのか分からない
この煙に巻いた感じが、いかにもコーエン兄弟
平凡で真面目な主人公に次々に降りかかる災難
しかし、それらが特に解決されるわけでもない
あるがままに受け入れろという教訓なのか
そもそも意味があるのかないのか
この摩訶不思議な感じを受け入れられたら、きっとこの作品を好きになる
第7位「バーバー」(2001年) 149ポイント
この作品は何よりビリー・ボブ・ソーントンが素晴らしい
たたずまいが雰囲気ある
モノクロの映像も美しい
田舎町を舞台にした犯罪サスペンス
平凡に生きてきた男がちょっと魔が差したばかりに、人生が収拾のつかない悲劇へと転がり始める
まさにコーエン兄弟の十八番
第6位「ビッグ・リボウスキ」(1998年) 152ポイント
コーエン兄弟が手掛けるボウリング映画(?)
この作品、大好き!!
ジェフ・ブリッジスやジョン・グッドマン、スティーヴ・ブシェーミのボウリングばかりやっているダメ中年3人組が面白い
ジョン・グッドマンの狂ったキャラが強烈
いい年した駄目な3人を見ていると妙な安心感
そして、この作品を見るとボウリングがやりたくなる
第5位「トゥルー・グリット」(2010年) 156ポイント
これもジェフ・ブリッジス主演
父を殺された少女が保安官を雇って犯人を追う
まともなジャンル映画かと思わせて、そこはやはりコーエン兄弟
どこか変
14歳の少女、ヘイリー・スタインフェルドが大人顔負けの存在感
マット・デイモンの間抜けな演技も面白かった
コーエン兄弟は脚本の段階から、ジェフ・ブリッジスを保安官役で考えていたという
第4位「ブラッド・シンプル」(1984年) 157ポイント
コーエン兄弟の記念すべきデビュー作
田舎町を舞台にした犯罪スリラー
妻の浮気を疑った男は探偵を雇うが、事態は思わぬ方向に………………
先を読ませない展開の連続に衝撃
恐ろしいパワーに満ちた作品
映画の新時代の到来を予感させた
第11位~第17位
TOP3の前に11位以下の作品を紹介
第11位「ミラーズ・クロッシング」(1990年) 144ポイント
禁酒法時代のイタリア系ギャング団とアイルランド系ギャング団の抗争
冒頭の森の中で帽子が風で飛んでいくシーンが美しい
切れ者のギャングを演じる主役のガブリエル・バーンが格好いい
銃撃戦もあるが、駆け引きや策略がメインなのもギャング映画として新しい
ジョン・タトゥーロのゲスっぷりも凄い
第12位「赤ちゃん泥棒」(1987年) 142ポイント
ニコラス・ケイジの最高傑作!!
ただの人情物かと思ったら、ダイナミックなカメラワークとアクションが凄い
子供ができない夫婦が五つ子誕生のニュースを知る
5人もいるなら、1人ぐらい貰ってもいいだろう
冒頭からスピーディーな展開で圧倒される
悪役の凄まじいインパクト
ラストも涙なしには見られない
第13位「ヘイル、シーザー!」(2016年) 135ポイント
ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、スカーレット・ヨハンソン、チャニング・テイタムら豪華スター共演
1950年代のハリウッドを舞台に、誘拐された主演俳優の行方を追う
豪華絢爛なセットやミュージカルシーンなど、映画愛にあふれた作品
ジョージ・クルーニーの大根役者っぷりも面白かった
第14位「ディボース・ショウ」(2003年) 134ポイント
コーエン兄弟にしては印象が薄い作品
最初は監督をする予定ではなかったとか
お洒落な駆け引きが繰り広げられるが、いつもより毒や奇妙さが足りない
第15位「バーン・アフター・リーディング」(2008年) 133ポイント
筋肉バカを演じるブラッド・ピットの怪演が凄い
それだけでも見る価値あり
キャストも豪華
傑作というわけでもないが、何故か嫌いになれない作品
第16位「未来は今」(1994年) 126ポイント
コーエン兄弟が初めてメジャー作品に挑戦
そのせいか、いまいち持ち味を出し切れなかった
主役のティム・ロビンスもコーエンワールドとはミスマッチ
とはいえ出来は悪くない
ちょっと過小評価されすぎな気はする
第17位「レディ・キラーズ」(2004年) 118ポイント
これはちょっと擁護できない
最下位なのも納得
コーエン兄弟も流して撮ってる印象
そもそも最初は監督をする予定ではなかったらしい
トム・ハンクスもコーエン作品とは相性が良くなかったか
TOP3
上位3作品を発表
第3位「ファーゴ」(1996年) 166ポイント
これは文句なしの傑作
アカデミー主演女優賞と脚本賞を受賞
妊婦の女署長を演じたフランシス・マクドーマンドが素晴らしい
平和な田舎町で起きた殺人
事件が雪だるま式に連鎖していく
妻の狂言誘拐を企むウィリアム・H・メイシーのいかにも小者な演技も見事
実話を基に映画化と言いながら、実は全くのフィクションというのもコーエン兄弟らしい
第2位「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(2013年) 168ポイント
カンヌ国際映画祭グランプリ受賞
名もなきフォークシンガーの日々を情感豊かに描く
メジャーにはなれず、世間から相手にされない哀しみ
気が滅入るような暗い歌詞
特に大きな事件が起こるわけではないが、心に染みる作品
主役のオスカー・アイザックは演技も歌声も素晴らしかった
通好みの作品である
あと猫が可愛い
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(字幕版)
第1位「ノーカントリー」(2007年) 172ポイント
アカデミー作品賞、監督賞のこの作品が栄光の1位に
不気味な殺し屋を演じたハビエル・バルデムの怪演っぷりが凄い
夢に出てきそうなほどである
淡々と死体の山を築いていくハビエル
そこに理屈はない
心がうすら寒くなってくる
理解不能な事件を追跡する老保安官のトミー・リー・ジョーンズの心情もいい
ユーモアもほとんどなく、コーエン兄弟作品としてはむしろ異色作である
まとめ
上位がシリアス寄りの作品ばかりになっているのがちょっと残念
そちらの方が批評家受けするということか
改めてコーエン兄弟のフィルモグラフィを見ると、ハードな作品とオフビートなコメディ、交互に織り交ぜるバランス感覚が素晴らしい
決して巨匠などという座に収まりたくないという強い意志が感じられる
またコンスタントに作品を撮り続ける創作意欲も見事だ
ファンとしてはコーエン兄弟には、今後も独自の世界を貫いてほしい
個人的なコーエン兄弟作品のTOP10
第1位「ファーゴ」
第2位「赤ちゃん泥棒」
第3位「バートン・フィンク」
第4位「ブラッド・シンプル」
第5位「ビッグ・リボウスキ」
第6位「ノーカントリー」
第7位「ミラーズ・クロッシング」
第8位「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」
第9位「オー・ブラザー!」
第10位「シリアスマン」
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