映画「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」感想と解説(ネタバレあり) 前作には及ばない完成度

神経を逆なでるような不穏なBGM
あの「ボーダーライン」が帰ってきた!!
………………と手放しで喜びたいところだが、ぶっちゃけ前作より劣る出来
観客はモヤモヤした気分で劇場を後にするだろう


予告編

作品情報
作品名「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」(原題SICARIO: DAY OF THE SOLDADO)
監督:ステファノ・ソッリマ
キャスト:ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、イザベラ・モナー、マシュー・モディーン、キャサリン・キーナー
上映時間:122分
製作費:$35,000,000(IMDb推定)
製作国:アメリカ(2018年)



ざっくりあらすじ

メキシコの麻薬カルテルを潰すために、アメリカ政府はルール無用の策略を仕掛ける。だが、それが思わぬ事態に………………

感想(ここからネタバレ)

あのアレハンドロが帰ってきた
素直に嬉しい
ベニチオ・デル・トロとジョシュ・ブローリン
オッサン祭りの幕開けだっ!!

迫力の冒頭

夜のメキシコ国境
不法入国者が国境を越えようとしている
取り囲む警備隊
振り返った不法入国者の一人は、手にスイッチを持っていた
その男は自爆した

一方カンザスシティのスーパーで自爆テロが発生する
子供2人を含む15人が犠牲になった

冒頭から衝撃的な展開である
アメリカ政府はテロリストへの報復を宣言する

新たなミッション

CIAのマットはアメリカ政府に召集される
今回の事件はテロリストがアメリカに不法入国していることが原因だと政府は考えた
彼らはどうやって入国しているのか?
それはメキシコの麻薬カルテルによるものだ
カルテルは現在麻薬よりも、人間を不法入国させるビジネスに取り組んでいるのだ

政府は麻薬カルテルを敵とみなし、壊滅させるようにマットに命令する
そのためなら、どんな汚い手段を使っても構わない
政府とマットはカルテル同士に潰し合いをさせようと考える
そのためにボスの子供を、敵対する組織の仕業に見せかけ誘拐する
決してアメリカ政府の策略だと発覚してはならない

マットはミッションのために、暗殺者アレハンドロに協力を要請する
アレハンドロとマットは麻薬王の娘イザベルを誘拐し、テキサスに連行する
イザベルに敵対組織に誘拐されたと信じ込ませ、警官を装って救出
しばらく匿った後で、メキシコに連れて帰った
だが、護衛のメキシコ警察がマットたちの乗る車両を攻撃してきた
彼らは麻薬カルテルに買収されていたのだ
やむを得ず反撃するマットたち

その場にいたメキシコ警察数十人を全滅させた
車の中にいたイザベルがいなくなっていた
アレハンドロは一人で後を追った

一方、アレハンドロを残し帰国したマットたち
彼らに対してアメリカ政府は冷酷だった
メキシコの警官数十人が殺されたことが、大きなニュースとなっていたのだ
これがアメリカ政府の仕業だと発覚したら国際問題になる
さらに驚きのニュースがあった
自爆テロの実行犯の身元が発覚
彼らは米国市民だった
麻薬カルテルの不法入国とは何の関係もなかったのだ

事実の発覚を恐れた政府は、マットにこう命令する
工作員アレハンドロと目撃者イザベルを抹殺し、事件を隠ぺいしろと………………

キャラクター

アレハンドロ
妻と娘を麻薬カルテルに惨殺されたコロンビア人の元検事
復讐を誓い暗殺者となった
イザベルを殺すことを拒み、マットたちも敵に回すこととなる
演じるのはベニチオ・デル・トロ

代表作

「トラフィック」
スティーブン・ソダーバーグ監督作品
ベニチオ・デル・トロはこの作品でアカデミー助演男優賞を獲得

マット・グレイヴァー
CIAの特別捜査官
アレハンドロとは旧知の仲
政府の命令でメキシコ麻薬カクテルに戦争を起こさせようとする
演じるのはジョシュ・ブローリン

代表作

「オンリー・ザ・ブレイブ」
山火事に命懸けで挑む森林消防隊の活躍を描く
男泣き間違いなしの熱い作品
ジョシュ・ブローリンは消防隊の隊長を力演

「オンリー・ザ・ブレイブ」の感想はこちら

イサベル・レイエス
麻薬王カルロス・レイエスの末娘
気丈な性格の16歳
演じるのはイザベラ・モナー

ジェームズ・ライリー
国防長官
マットに麻薬カルテル壊滅を命令する
演じるのはマシュー・モディーン

代表作

「フルメタル・ジャケット」
ベトナム戦争を描いたスタンリー・キューブリック監督の名作
マシュー・モディーンは主役のジョーカーを演じた
前半の海兵隊の訓練シーンはもはや伝説

前作「ボーダーライン」


ドゥニ・ビルヌーブ監督作品
アメリカとメキシコの国境の麻薬戦争の現実を鮮烈に描いた傑作
メキシコをまるで別の惑星のように捉えた撮影が素晴らしい
主役のエミリー・ブラントも熱演
ベニチオ・デル・トロの存在感が圧倒的
やはりドゥニ・ビルヌーブ監督の感性は際立っている

ボーダーライン(字幕版)

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凄まじい緊迫感

自爆テロという衝撃的な幕開けをする「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」
その緊張感は最後まで持続する
観客に気の休まる暇はない
いつ何が爆発し、いつ銃撃戦が始まるか分からないからだ
不穏なBGMと共に観客は不安に煽られる
まさに「ボーダーライン」シリーズならではである

アメリカ政府の陰謀

麻薬王の娘を誘拐し、麻薬カルテル同士で戦争を起こさせる
こんな犯罪まがいのことをアメリカ政府が計画し、実行するのだから恐ろしい
フィクションの中だけの話ならいいが
自爆テロの原因が麻薬カルテルにあるというのも、全てが誤りだったという展開も皮肉だ
彼らは責任を取ろうとせず、証拠を隠ぺいしようとする
そうしてアレハンドロとイザベルに危機が訪れる
なかなか見ごたえのあるシナリオだった

本作の問題点

全編にみなぎる緊迫感
魅力的なキャラクター
迫力ある銃撃戦
質の高いシナリオ

前作に続いて本作も魅力的な部分はたくさんある
最後まで退屈することは無かった
だが、気になる問題点がいくつかあったことも事実だ

アレハンドロの立ち位置

前作ではエミリー・ブラント扮するFBI捜査官のケイトが主人公だった
全てはケイトの目を通じて物語が語られていた
ケイトの目に映るアレハンドロは謎めいていて危険な男だった
その存在感は異質で際立っていた

本作ではケイトの出番はなく、アレハンドロが主役となっている
今回もアレハンドロはやはり格好いい
しかし、異質感や謎めいた部分が前作より薄れているのも事実
普通のアクション映画の主人公のようになっているのだ
それはCIA捜査官のマットも同様である
二人とも前作ではかなりキナ臭かった

思うにアレハンドロというキャラクターは主役よりも、2番手や3番手というポジションの方が輝くタイプなのではないか
その方が彼の魅力が際立つ気がするのだ
前面に出て人間性が増したことで、謎めいた存在感も消えてしまった
それが個人的に残念な部分

アレハンドロとイザベルの関係

イザベルの抹殺の命令を拒否し、マットたちを敵に回すアレハンドロ
この部分もちょっと腑に落ちなかった
家族の仇の娘をなぜそこまでして守ろうとするのか?
自分の殺された娘と重ねて見ているというのは分かる
でも、アレハンドロとイザベルが親密になる描写が圧倒的に足りないのだ
そもそも前作でアレハンドロは麻薬王の妻と息子も容赦なく殺している
とても同一人物とは思えない


殺し屋が少女を守るというのは「レオン」「アジョシ」などよくあるパターン
最近のNetflixオリジナルの「シャドー・オブ・ナイト」もそうである

「シャドー・オブ・ナイト」の感想はこちら

「ボーダーライン」でまでそのパターンは、見たくなかったというのが正直なところ

物足りないクライマックス

本作はクライマックスも物足りない
アレハンドロは捕まって撃たれ、主役なのにほとんど見せ場なし
マットがヘリでギャングを襲撃する場面も、主人公不在なのでいまいち盛り上がらない
シリーズもこれで最後かも知れないんだから、前作のようにアレハンドロが組織のボスを倒すぐらいの見せ場が欲しかった
中盤までの盛り上がりは良かったので、失速感は否めない
ラストに自分を撃った少年を暗殺者としてスカウトするというのも意味不明
さすがに唐突すぎる
色々と描写不足なのだ

まとめ

前作のファンだったので、正直本作には物足りない部分が多かった
やはり監督が変わったのが最大の要因か
とはいえ、つまらなかったわけではない
迫力ある映像と緊張感
最後まで退屈はしない
そして、何だかんだ言ってもアレハンドロは格好いい
前作には及ばないが、見る価値はあるだろう

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Sicario: Day of the Soldado (2018) on IMDb


rotten tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/sicario_day_of_the_soldado
allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=364952



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