劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」ネタバレ感想 全てのFateファンへの祝祭!!

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Fateシリーズの原典「Fate/stay night」
その[Heaven’s Feel](通称「桜ルート」)を3部作で描いた劇場版第3章
2020年3月28日に公開の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期
その最終章がようやく公開された
衛宮士郎の前にセイバーオルタ、そして愛する間桐桜が敵として立ちはだかる…………
感想としては圧巻のひと言
その膨大な熱量に圧倒された
闇を取り込んだ桜の禍々しさ
セイバーオルタの強大さ
見ていてゾクゾクした
物語は序盤から最高潮
バトルシーンも大迫力
大画面に大音響
ufotableならではの超絶作画
別次元にいるような感覚を味わった
また静と動の呼吸が素晴らしい
神がかった演出がいくつもあった
ライダー、大活躍
イリヤの魅力も炸裂

そしてクライマックスでは涙が抑えられなかった
2004年にPCゲームとして発売された「Fate/stay night」
見終わった時に、それがようやく真に完結したのだという感慨を覚えた
全てのFateファンが劇場に足を運ぶべき
この作品はFateを見守ってきたファンへの祝祭であり、至高のボーナスである


予告編

『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song』 30秒CM│2020年8月15日公開

作品情報
作品名劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」
監督:須藤友徳
キャスト:杉山紀彰、下屋則子、神谷浩史、川澄綾子、植田佳奈
原作:奈須きのこ、TYPE-MOON
上映時間:127分
アニメーション制作:ufotable
製作:日本(2020年)

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ufotable

アニメーション制作を手掛けるのは、もちろんufotable
須藤友徳監督の桜愛が炸裂した作品となっている
アニメ作品としては、これ以上のFateは想像もつかない
ufotableとしても会心の出来ではないだろうか

近年は「鬼滅の刃」で日本中にセンセーションを巻き起こしたufotable
10月16日公開の劇場版「鬼滅の刃」無限列車編への期待が、俄然と増してきた

「鬼滅の刃」の人気が凄まじい コミックスの累計発行部数は2019年11月時点で2500万部を突破 売り切れの書店が続出 グッズも大人気...

前作「Fate/stay night [Heaven’s Feel] II.lost butterfly」

素晴らしい完成度だった前作「lost butterfly」
ようやく結ばれた衛宮士郎と間桐桜
士郎は桜を守ると誓う
だが、桜の精神は闇に侵食されていく
街で殺戮を繰り広げる桜
その狂気の姿には慄然とした
まさに情念のこもった凄まじい作品だった

士郎の元を離れると決めた桜
しかし、桜は身を守るために、とっさに兄の間桐慎二を殺めてしまう
不安定だった桜の精神は、それをきっかけに完全に闇に落ち…………


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感想(ここからネタバレ)

兄の慎二を殺し、完全に黒化した間桐桜
彼女は聖杯の器として利用するために、イリヤを狙う
遠坂凛が立ちはだかるが、闇と融合した桜の圧倒的な力の前に敗れる
さらに桜の傍らにはセイバーオルタ
衛宮士郎は変わり果てた桜の姿を見て、ショックを受ける…………

序盤から最高潮
めちゃくちゃ高いテンションで、第3章は幕を開ける
もう圧倒されっぱなしだった
またオープニング・クレジットの影を使った演出が、芸術的なほど素晴らしかった

セイバーオルタ

影に飲まれたセイバーの変わり果てた姿
聖杯から魔力を供給されているため、圧倒的な力を持つ
もはやどうやったら倒せるのか、見当もつかないほどだ

元マスターの士郎の敵に回ったセイバー
だが、ところどころにその高潔な精神の片鱗が、見え隠れする
士郎に対しても特別な思い入れがあるようだった

Fateシリーズのヒロインとして人気の高いセイバー
それだけに [Heaven’s Feel] の最期は衝撃的
PCゲーム版で選択肢「この腕を振り下ろす」を選んだ時の生々しい感触が蘇った

ライダー

マスターとサーヴァントの関係は様々
桜のサーヴァントであるライダー
ライダーの桜への想いは、契約以上のものがあるようだ

何とかして桜を救いたいライダー
共通の目的のため、ライダーは士郎と一時的に手を結ぶ
絶望的な戦力差があるセイバーオルタに、立ち向かうライダー
ここは超絶作画もあり、この映画の白眉といえるシーン
ライダーの素顔も美しかった

言峰綺礼

[Heaven’s Feel] 編の言峰綺礼というと、麻婆豆腐を食べているシーンしか印象になかったが、めちゃくちゃ出番があった
今回の言峰綺礼の立ち位置は面白い
時に味方に、時には敵に回る
ある意味、本作のラスボスといえる存在
まさか最後は殴り合いで決着とは(笑)
真アサシンとのバトルも燃えた
本作で初めて言峰綺礼の人間的な一面を見られた気がする

遠坂凛

「Fate/stay night」のヒロインの1人である遠坂凛
本作では桜の実姉というポジションが強調されている
遠野家六代目当主として、姉として、桜を始末する
そのために秘宝である宝石剣ゼルレッチを手に、桜と対峙する

自分を救ってくれなかった姉を憎悪する桜
そんな桜に凛は「私、他人の痛みが分からないから」と平然と言い放つ
この辺りは最終決戦なのに、ただの姉妹喧嘩のようにも見えて面白かった
だが、宝石剣の力で有利に立ちながらも、とどめを刺す直前になって、凛はそれが自分には不可能だと悟る
桜は自分にとって可愛い妹だからだ
冷徹なのにお人好し
まさに遠坂凛らしいシーンだった

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

[Heaven’s Feel] 編はある意味でイリヤルートでもある
イリヤの可愛さ爆発!!
士郎たちを助けるために、自らを犠牲にして、桜に捕らわれたイリヤ
士郎は言峰と手を組んで、イリヤを助けに行く
これぞ王子の救いを待つプリンセス
前半はまさに正ヒロインという貫禄だった

イリヤは士郎にとって妹であり、姉のような存在
2人とも天涯孤独
血のつながりはないが、家族と呼べるのはお互いしかいないのだ

「わたしはお姉ちゃんだもん。なら弟を守らなくっちゃ」

ラストのこのセリフは、涙なしには見られない
ある意味、ヒロインである桜を食ってしまった感すらある
イリヤにとっては幸せだったのかも知れないが、あまりに切ない結末
こうなったら「プリズマ☆イリヤ」を見て、元気出すしか!!(

衛宮士郎

前作で左腕を失い、アーチャーの腕を移植した士郎
完全に闇に落ちた桜
それでも士郎は最後まで桜を救おうとする
世界と桜
士郎は桜を選ぶことに決めたのだ
たとえそのために、セイバーを殺してでも…………

士郎はバーサーカーと戦うために、アーチャーの腕を解放する
それは限界以上の力を引き出した
バーサーカーを撃破したが、士郎は深刻なダメージを負う
アーチャーの腕を使うのは、それだけ危険なのだ
それでも士郎はひるまない
自己犠牲
それが衛宮士郎という男だからだ

今まで正義の味方を目指していた士郎
その在り方はいびつなほどだった
ラスト、士郎は最後の力を振り絞って、この世に災厄をもたらす大聖杯を壊そうとする
しかし、それは自分の死を意味する
その時になってようやく、士郎は心からまだ生きたいと願う
初めて見せた士郎の弱さ
とても人間らしいと思った
ある意味、[Heaven’s Feel] 編は衛宮士郎という人間が、正義の味方という呪縛から解放される物語だったのかも知れない

間桐桜

兄である慎二を殺し、完全に闇に落ちてしまった桜
その禍々しさは凄まじく、まるでホラー映画を見ているかのようだった
士郎や凛と敵対し、凶行を繰り返す桜
その姿はまるで狂気
だが、決して桜は別人格になってしまったわけではない
今回の桜は引っ込みがつかなくなった感が凄い

多くの人の命を奪ってしまった自分
もう取り返しがつかない
だったら、突っ走るしかない
ある意味、桜はヤケクソ状態だったともいえる

今回の桜はとにかく情緒不安定
士郎を必ず殺すと言う一方で、私の前から逃げてと口走る
言うことが支離滅裂
まるで迷子の子供のようだった

自分を叱って欲しい
自分を殺して欲しい

そう願う桜

だが、士郎と凛は許さない
桜にもっとも過酷なことを要求する
それでも生きろ、と

3部作の総括

最初は桜ルートの映画化といっても興味が湧かなかった

何で、映画? テレビでいいじゃん

だが、終わってみれば、このシリーズは特別なものになった

この「Fate/stay night [Heaven’s Feel] はアニメ史に残る3部作になったといっていいだろう
その理由の一つは、まず単純に作品の完成度
シナリオ、映像、音楽
ufotableが今出せる全ての技術が結集している
現在の日本のアニメの頂点と言っていい
これは映画でなければ不可能だっただろう

そして一つは須藤友徳監督のほとばしる桜愛
[Heaven’s Feel] 編を映像化するために、アニメ業界に入ったと豪語する須藤監督
映像全てに情熱と執念がみなぎっている
ここまでアニメーションで作り手の情念を感じることは、滅多にない
技術を超えるものが確かにあった

さらにこのシリーズが特別だと思えるもっともな理由は、その特異な在り方である
この映画はいびつである

原作は人気ゲームの最終ルート
ファンなら知っていて当然なので、序盤は大胆にカット
セイバールート、遠坂凛ルートをプレイ、もしくは他の媒体で見ていること前提
難解な用語も、知っていて当然なので説明なし

凄まじく閉ざされた作品である
映画好きの友人にどういう作品か尋ねられたが、上手く説明できなかった
またその凄さを理解してもらえるとも思えなかった
ジブリや「天気の子」などとは、まるで異質
まるで会員制のクラブのようなものである
そんな作品がアニメ史の頂点に立ってしまったかも知れないといういびつさ
全ての人に理解されなくても構わないという孤高感
また真に最高のものを自分は知っているという、ゆがんだ優越感まである

ある意味、長く続いてきたサブカルチャーの集大成
まさか、こんな化け物が誕生してしまうとは
正直、全く予想できなかった

もちろん初心者でも超絶な映像や迫力で、十分に楽しめるだろう
だが、この作品を真の意味で楽しめるのは、ほんのひと握り
2004年にPCゲーム版をプレイし、ずっとFateを追ってきた者たちだけかも知れない
今回はそのゆがんだ優越感と共に、筆を置こうと思う

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allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/366859

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