Netflixオリジナル映画
自分の作品のプレミア上映を終えて帰宅した映画監督のマルコムは有頂天だったが、恋人のマリーは何故か不機嫌で…………
主演2人の演技が凄い
美しいモノクロ映像も見どころ
キャストはゼンデイヤとジョン・デヴィッド・ワシントンの2人だけ
モノクロ映画で、舞台はずっと家の中
絶対に退屈すると思ったが、いつの間にか惹き込まれていた
会話がテンポよく、笑えるシーンも多かった
様々な映画ネタも楽しかった
男と女
少しずつ明らかになる本音
二転三転する展開
地味で人を選ぶが、なかなかの良作
予告編
作品情報
作品名「マルコム&マリー」(原題Malcolm & Marie)
監督:サム・レヴィンソン
キャスト:ゼンデイヤ、ジョン・デヴィッド・ワシントン
上映時間:106分
製作国:アメリカ(2021年)
ざっくりあらすじ
自分の作品のプレミア上映を終えて帰宅した映画監督のマルコムと恋人のマリー。映画の成功に有頂天のマルコムだったが、マリーは何故か不機嫌で…………
感想(ここからネタバレ)
ジョン・デヴィッド・ワシントンが好きなので見たのだが、なかなか見ごたえがあった
プレミア上映の夜
その日は映画監督マルコムの新作「イ・マーニ」のプレミア上映があった
結果は大成功
批評家たちも作品を称賛した
マルコムは恋人のマリーを連れて、有頂天で帰宅した
人生最高の日だった
思わず鼻歌を口ずさむマルコム
それに対して、マリーは機嫌が悪そうだった
どうかしたのかと、マルコムは訊ねた
マリーはスピーチのことで怒っていた
マルコムは母親や様々な人に感謝を述べたのに、自分には一言もなかったのだ
うっかりしていたと謝るマルコム
しかし、マリーの気は収まらなかった
いつまでもグチグチ言うマリーに、マルコムも腹が立ってきて…………
作品解説
監督のサム・レヴィンソンは「レインマン」や「ナチュラル」の監督バリー・レヴィンソンの息子
本作は2020年6月17日から2020年7月2日まで撮影された
新型コロナウイルスが蔓延する中、安全には厳格な注意が払われた
ジョン・デヴィッド・ワシントン
映画監督のマルコムを演じる
心血を注いで作った新作
そのお披露目が大成功
家に帰っても興奮が冷めずにいたが…………
「ブラック・クランズマン」、「TENET テネット」
話題作に立て続けに出演
ジョン・デヴィッド・ワシントンにはどこか人を惹きつける華がある
今回は映画監督というこれまでにない役柄
改めて演技力を証明してみせた
ゼンデイヤ
マルコムの恋人マリーを演じる
気が強く皮肉屋
かつて薬物依存で苦しんでいた
プレミア上映の夜、マルコムに不満をぶちまけるが…………
「スパイダーマン」シリーズのMJ役で有名なゼンデイヤ
本作では体を張った熱演を披露
ここまで演技力のある女優だとは思わなかった
ちなみに彼女は23歳で、35歳のジョン・デヴィッド・ワシントンとは12歳差
モノクロ映画
本作は全編モノクロで撮影されている
モノクロ映画というと、最近でもNetflixでデヴィッド・フィンチャー監督の「Mank/マンク」があった
昔と違って、カラーが当たり前の現代
わざわざモノクロで撮るのには、相応の理由が必要だ
例えば「Mank/マンク」や「ROMA/ローマ」、「シンドラーのリスト」などは過去が舞台
モノクロで撮ることによって、リアリティを出すことに成功している
それに比べて、この「マルコム&マリー」は現代が舞台
モノクロで撮る必要性は薄いように感じる
単にオシャレさを狙ったのか?
本作は登場人物は2人だけで、舞台もずっと家の中
どちらかというとキャラクターの心の機微を描いた作品だ
そういう作品ではモノクロ撮影は有効
観客はキャラクターの心情だけに集中しやすい
またモノクロ35mmフィルムで撮影された映像は、とても美しかった
恋愛映画に風情も加わり、まるで昔のヨーロッパ映画を見ているようだった
会話劇
本作は会話劇である
小気味いいセリフがテンポよく飛び交う
どこかユーモアも感じさせ、コメディとしても面白かった
またマルコムが映画監督という設定なので、映画ネタが多かったのも嬉しかった
特にLAタイムズの批評家を、マルコムがこき下ろすシーンは爆笑
「黒人が監督というだけで、奴らは政治的な映画と決めつける!」
「次のスパイク・リーやジョン・シングルトンって、どっちも黒人監督じゃねえか!」
サム・レヴィンソン監督はLAタイムズに、何か恨みでもあるのかと思ったほどだ
核心
マルコムがスピーチで、恋人のマリーへの感謝の言葉を忘れた
それはマルコムのうっかりだと最初は思われた
しかし、そこからの二転三転が凄い
マルコムの新作映画「イ・マーニ」
薬物依存の女性が立ち直るまでの物語
それはかつてのマリーを題材にした作品だった
なぜマルコムはスピーチで、マリーへの感謝を言わなかったのか?
激しい本音のぶつかり合いの後、思いもよらない核心へと辿り着く
「ありがとうの言葉が欲しかった。それだけなの」
最後にマリーがマルコムに訴えるシーンが、非常に胸に迫る名場面だった
まとめ
小粒だがなかなかの良作
主演2人の演技が本当に見ごたえあり
美しいモノクロ映像も素晴らしい
人を選ぶが、見て損はない一作
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/malcolm_and_marie
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/375599
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