Netflixオリジナルのドラマ
小さな島に謎めいた若い神父が現れて以来、次々と不可解な出来事が起こり…………
島に住む人々の日常が崩壊していくホラー
展開がゆっくりで取っつきにくいが、見ごたえはある
「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」のマイク・フラナガン監督の新作
今回は小さな島で起きる恐怖が描かれる
正直、そこまで怖くはない
また宗教が深く関わるため、いまいち物語に入り込めなかった
会話シーンが多いのも、ちょっと退屈だった
だが、4話と5話は衝撃的
クライマックスも壮絶だった
かなり文学的なホラー
見事な出来ではあるが、人を選ぶだろう
予告編
作品情報
作品名「真夜中のミサ」（原題Midnight Mass）
監督：マイク・フラナガン
キャスト：ケイト・シーゲル、ザック・ギルフォード、クリスティン・レーマン、サマンサ・スローヤン、アナベス・ギッシュ、ヘンリー・トーマス、ハミッシュ・リンクレイター
全7話
製作国：アメリカ（2021年）
ざっくりあらすじ
人口127人の小さな島、クロケット島。そこに謎めいた若い神父が来た時から、島で次々と不可解な出来事が起こり…………
感想（ここからネタバレ）
マイク・フラナガン、待望の最新作！！
新しい神父
ライリー・フリンは飲酒運転で事故を起こし、少女を殺した
彼は有罪になり、刑務所に入った
今でも横になると、血まみれで顔にガラスの破片が刺さった少女の姿が見える
4年後、出所したライリーは故郷であるクロケット島に戻ってきた
漁業が主な産業で、人口127人の小さな島だ
信心深い母親はライリーを歓迎したが、父親と弟のウォーレンはよそよそしかった
熱心な信者であるベヴ・キーンはプルーイット神父の帰りを、港で待っていた
プルーイット神父は高齢だが、巡礼の旅に出かけており、今日ようやく帰ってくるのだ
しかし、神父はフェリーに乗っていなかった
あの事故以来、ライリーは神を信じなくなった
そのため日曜日のミサに行くつもりはなかったが、父親に強制的に連れ出された
教会でライリーはエリン・グリーンを見かけた
エリンはライリーの元恋人で、今では島の学校の教師をしていた
その日は、プルーイット神父が巡礼から帰ってくるはずだった
しかし、入ってきた神父に誰もが驚いた
それは見知らぬ若い男だった
その神父はポールという名前で、プルーイット神父は巡礼中に体調を悪くし、本土で療養中のため代わりに派遣されたというのだが…………
マイク・フラナガン
これまでに様々なホラー映画を手がけているマイク・フラナガン
Netflix映画「ジェラルドのゲーム」は原作者のスティーヴン・キングに絶賛された
それもあってか「シャイニング」の続編「ドクター・スリープ」の監督にも抜擢された
またNetflixのホラードラマ「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」と「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー」も、高い評価を得た
この「真夜中のミサ」はマイク・フラナガンがずっと温めていた企画で、7話全ての監督を務めている
ライリー・フリン
かつては島を出て、ベンチャーキャピタリストとして働いていた
だが、4年前に飲酒運転で交通事故を起こし、少女を殺した
それ以来、神を信じなくなった
全てを失って島に帰ってきたライリー
しかし、島で次々と起こる異変に、不審なものを感じ…………
演じるのは「パージ：アナーキー」のザック・ギルフォード
エリン・グリーン
ライリーの元恋人
島の学校の教師をしている
妊娠中で我が子が生まれてくるのを楽しみにしている
久しぶりに再会したライリーと、心を通わせていくが…………
演じるのはケイト・シーゲル
マイク・フラナガン監督の奥さんである
「サイレンス」では耳の聞こえない主人公を熱演
ポール神父
病気のプルーイット神父の代わりに、島へやってきた
島の住民のことを熟知している
若くて情熱的で、次第に人々から慕われるようになる
そして、島民たちの前で奇跡を見せるようになり…………
演じるのは「レギオン」のハミッシュ・リンクレイター
奇跡
下半身が不自由な少女の足が動くようになる
認知症だった老女が正気になり若返る
島に来てから次々と奇跡を起こすポール神父
人々は彼を妄信するようになる
だが、同時に島では不可解な事件も起こっていた
浜辺に打ち上げられる大量の猫の死体
増える行方不明者
妊娠中の赤ん坊がお腹の中から消えてしまう
ポール神父とは何者なのか？
その意外な正体には、かなり驚かされた
天使
ポール神父がクロケット島に連れてきたもの
羽が生え、日光を恐れる
人の生き血をすすり、永遠の命を与える”それ”
本作は吸血鬼ものである
もっとも劇中では天使と呼ばれている
この「真夜中のミサ」を見て、スティーヴン・キングの傑作ホラー「呪われた町」を思い出した
「呪われた町」
メイン州の田舎町セイラムズ・ロット
その町が「吸血鬼」の見えない恐怖によって崩壊していく
スティーヴン・キングの初期の傑作
「死霊伝説」というタイトルで映像化もされた
本作と似ている部分が多い
マイク・フラナガンも影響を受けていることを認めている
衝撃の展開
登場人物が多すぎ
展開がゆっくり
宗教にまつわるセリフが多く、おまけに長いので頭に入ってこない
引き込まれるシーンもあったが、前半はちょっと退屈だった
しかし、中盤の急展開が凄い
特に第5話はドラマ史に残るほどの衝撃の展開
伏線も綺麗に回収し、涙なしには見られない名場面となっている
このシーンを見るためだけでも、本作を見る価値があるだろう
狂信
人々に起こった奇跡
それはポール神父が聖体拝領のワインに、天使の血を混ぜたことが原因だった
島の人々に永遠の命を授ける
ポール神父はそれが正しいことだと信じていた
クライマックスは凄まじい
島の人々が次々と吸血鬼になっていく姿はおぞましかった
本作でもっとも恐ろしいのはポール神父より、熱心な信者であるベヴ・キーン
天使を神の使いと崇め、信者たちを使い、町に火を放つ
やがてポール神父も彼女を抑えられなくなっていく
その狂信っぷりには圧倒された
人間の罪と贖罪
ラストで島に注がれる朝日が、美しくも切なかった
まとめ
かなりの力作
だが、とっつきにくい作品なのも確か
ホラー文学という印象だった
マイク・フラナガンのファンならば、問答無用で必見
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/tv/midnight_mass/s01
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/379061
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