映画「ボヘミアン・ラプソディ」がついた嘘まとめ(ネタバレあり)

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映画「ボヘミアン・ラプソディ」の日本興行収入成績が「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を越えた
興行収入は116億6,000万円を突破
2018年の日本の興行収入ランキング1位である
ここまでの盛り上がりを見せるとは、誰が予想しただろうか?

実際、映画の内容は素晴らしかった
魅力的な名曲の数々
クイーンのサクセス・ストーリー
仲間との絆
フレディ・マーキュリーの苦悩
そして、“ライヴ・エイド”での奇跡の復活
昨年の作品でクライマックスがもっとも盛り上がった映画かも知れない

ラスト21分の伝説のライブに圧倒された クイーンのファンや音楽映画が好きな人は、そのためだけでも見る価値あり これは大画面でぜひ体験して...

さて、海外のサイトでこんな記事を見つけた
映画「ボヘミアン・ラプソディー」には事実と違うところが、いくつもあるというのだ
実話を基にした映画にはついて回る問題である
正直、僕はそういうことを全く気にしない
重要なのは映画が面白いかどうかだと思っている
ある程度の脚色は必要だろう

ただ映画の価値が損なわれるとは思わないが、事実はどうだったのかは普通に気になる
特に洋楽に疎くて、クイーンについてほとんど知らないから猶更だ
今回は映画「ボヘミアン・ラプソディー」のどこが事実と違ったかをまとめてみた
おそらくファンの人からすれば、常識的なことばかりかも知れないがご容赦願いたい
また人によっては映画の感動に水を差されたと感じるかも知れない
この先を読む場合はご注意

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バンド結成

映画ではフレディ・マーキュリーはファンだったバンド「スマイル」のメンバーでギタリストのブライアン・メイ、ドラマーのロジャー・テイラーに声をかける
奇しくもスマイルはヴォーカリストが辞めたばかりだった
途方に暮れているブライアンとロジャーに「俺がヴォーカルをやるよ」とフレディは言い放つ
苦笑する二人の前で、見事な歌声を披露するフレディ
これが「クイーン」誕生のきっかけだった

とても印象的なシーンである
これのどこがだったのか?

確かにスマイルのヴォーカル、ティム・スタッフェルがバンドを辞めた代わりに、フレディが入ったのは事実だ
しかし、実はすでにフレディはブライアン・メイやロジャー・テイラーとは知り合いだった
ティム・スタッフェルとフレディは友達で、彼を介して二人とも知り合ったのだ
その後、親しくなったフレディとテイラーは、同じアパートでルームメイトにまでなっている
全てティムがバンドを辞める前のことだ
どうやら実際のバンド結成は、そこまで劇的ではなかったようだ

レイ・フォスター

この映画のもっとも面白い場面の一つは「ボヘミアン・ラプソディー」をめぐるクイーンとEMIの重役レイ・フォスターのやりとりだろう
曲が長すぎて気に入らないレイ・フォスター
シングルはテイラーの曲「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」の方にしようと言う
それに猛反対するクイーンのメンバー
最後には窓ガラスに石を投げつけ、去っていく
自分たちの信念を曲げないクイーンのメンバーが格好良かった

この場面のどこが嘘だったのか?
ほとんど全てである
そもそもこのレイ・フォスターという人物は実在しない
架空の人物だ
どうやら「ボヘミアン・ラプソディ」を長すぎると評したEMIのチーフであるRoy Featherstoneが基になっているらしい
レイ・フォスターを演じるのはマイク・マイヤーズ
映画「ウェインズ・ワールド」で車の中で「ボヘミアン・ラプソディ」を熱唱するシーンは有名
それをテイラーの曲に引っ掛けて茶化したのだろう

ジョン・リード

クイーンのマネージャーだったジョン・リード
彼はリムジンの中でフレディに、ソロで活動すべきだとそそのかす
それに激怒したフレディは、ジョンを車から叩き出す
強烈なインパクトを残すシーンである
仲間の絆を壊そうとするジョン・リードに怒りを覚えた人も多いだろう

実際はそんなことは全く起きなかった
ジョン・リードがマネージャーを辞めたのは事実
その理由は彼の気まぐれによるものらしい

「辞めたいんだけど」
「うん。いいよ」

映画のような深刻なものではなかったようだ
ロジャー・テイラーは2011年のインタビューで「ジョン・リードとの関係はとても良好でした」と語っている

クイーンとの決別

仲間たちに無断で「今後はソロでいく」と宣言するフレディ
メンバーは激怒し、フレディを責めた

「お前はクイーンを殺したんだ!!」

クイーンは実質上の解散となった

固い絆で結ばれていたバンドの崩壊
辛い場面である
実際にもさぞ修羅場が繰り広げられたのだろう

ところが全くそんなことはなかった
1982年アルバム「ホット・スペース」をリリースした後、確かにバンドは活動をやめた
しかし、それは単なる「休憩」でメンバー皆がそれに同意していた
そもそもソロ活動に取り組んでいたのはフレディだけではなかった
先にブライアン・メイがソロでレコードを作り、ロジャー・テイラーもソロアルバムの準備をしていた
フレディもソロアルバムの作成を、クイーンのレコーディングのために何度も中断している
メンバーの関係が途絶えることなどなかったのである

ポール・プレンター

この映画の最大の悪役といえば、フレディのマネージャーで恋人のポール・プレンターだろう
フレディの名声を利用し、彼を独占し、メンバーから引き離し孤立させた存在
メアリー・オースティンの忠告によって、自分にとって一番大切なのはクイーンだと気づいたフレディ
彼はポールを解雇する
するとポールはマスコミにフレディの秘密を全て暴露した
最低すぎる男だ

このエピソードは事実である
ポール・プレンターはフレディの個人的な生活とエイズの診断を、イギリスの主要タブロイド紙、The Sunに32,000ポンドで売り渡した
クイーンの他のメンバーがポールを憎んだのも本当のようだ
映画と違うのは時系列である
ポールがマスコミに暴露したのは1986年
1985年の“ライブ・エイド”では、ポールは普通にクイーンのスタッフとして働いていた

ジム・ハットン

フレディの最後で最高の恋人といわれるジム・ハットン
ハットンはフレディが死を迎える最期まで付き添った
映画の中で二人の出会いはフレディの屋敷だった
ハットンはフレディに雇われる給仕係だった
フレディは毅然としたハットンに惹かれた
ライヴ・エイドの直前、フレディはハットンを探し出し再会する

実際はそんなにロマンチックではなかったようだ
二人は1980年代半ばにゲイのナイトクラブで出会った
その時はフレディの誘いをハットンは断った
それから1年半後、二人は再会する
映画のように電話帳は使われなかった
別のナイトクラブで偶然に会ったのだ
今度はハットンはフレディを拒まなかった
現実のラブロマンスとは、えてして安っぽいものである

クイーン、再結成

クイーンのメンバーと別れ、ソロアルバム作成に没頭するフレディ
だが、作業は難航する
周りはポールや心ない取り巻きだけになり、酒やドラッグに溺れる日々
しかし、心配したメアリーの言葉で、フレディはようやく気付く
自分の本当の居場所はクイーンだ
クイーンのメンバーこそ家族なのだと

フレディはバンドのメンバーを集める
数年ぶりに再会する仲間たち
フレディは今までのことを全て謝罪した
最初は難色を示したメンバーたちだが、彼の熱意に折れる
フレディは間近に迫った“ライブ・エイド”の出演を強く訴える
クイーンの数年ぶりの復帰ライブ
そんな大舞台で成功することが出来るだろうか
メンバーたちはフレディの情熱に心を動かされ、ライブ・エイドの出演を決意するのだった

それまで陰鬱な場面が長く続いていたが、クイーンの再結成によって明るい兆しが見えてくる
再び集う仲間たち
燃える展開である

さて、事実はどうだったか?
そもそもクイーンは一度も解散してないので、再結成しようがない
数年ぶりにメンバーが揃ったというのも嘘
何しろ“ライブ・エイド”の2ヵ月前にワールド・ツアーから帰ってきたばかりである
またクイーンのメンバーは日中の演奏が好きではなく、最初はライブ・エイドの出演には乗り気ではなかったようだ

エイズの告白

ライブ・エイドに向けて練習に励むクイーンのメンバー
しかし、フレディは見るからに体調が悪く、声が全く出なかった
フレディはメンバーに告白する
自分はエイズで、もう先が長くないと
それでも本番では絶対に万全の状態に戻してみせる
フレディの告白に衝撃を受けるメンバーたち
けれどメンバーは改めて誓った
絶対にライブ・エイドの舞台を成功させてみせると

さて、この「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されて、ファンの間でもっとも物議をかもした場面である
ライブ・エイドの前にフレディが、自分がエイズだと知っているっておかしくないか?
そう、おかしい
実際にフレディがエイズと診断されたのは、ライブ・エイドの2年後の1987年といわれている
だが、この改変のおかげで、クライマックスのライブ・エイドの演奏シーンは大いに盛り上がった

まとめ

僕は実在の人物や事件を題材にした映画が、事実と多少異なろうが気にしないタイプだ
映画が面白くなるなら、それでいい
個人的にはそう思っている
今回「ボヘミアン・ラプソディ」のことを調べて、予想以上に大胆な改変がされていたことを知り驚いた
でも、やはり映画の価値が損なわれるとは思えない
むしろ映画を盛り上げるために、ここまでした作り手たちに感服した
つまらない事実より、面白くて夢のある虚構
映画「ボヘミアン・ラプソディ」はこれで正しかったのだと思う

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コメント

  1. LEACH より:

    自分は「クイーンは日本の人気がキッカケでイギリスでもブレイク出来た」
    だから、彼らは親日で「日本に感謝している。」

    とずっと思って居ました。
    なので、きっとそういう部分も映画の中で出て来ると思って観て居ましたが。

    全く、出て来ませんでした。汗だく

    「そう言ってる、思って居る」のは日本人だけって事なんでしょうか?

    それとも映画を制作した側にとって「日本がキッカケ」は気に食わないエピソードだったのでしょうか?

    その部分だけでも十分にがっかりした映画でした。

    • しまと より:

      コメント、ありがとうございます
      日本について触れなかったのは、確かに残念でしたね
      けっこう有名な話だと思うので
      映画としては面白く出来てましたけど、クイーンに詳しい人には色々と物足りない作品かも知れませんね