Netflix「オペレーション・フィナーレ」感想 その男は邪悪なのか!?衝撃の実話

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オスカー・アイザックベン・キングズレー主演
全米では8月29日に公開されたばかりの作品である
まさかのNetflixでの配信
これは嬉しい
悪名高きナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンと、それを捕獲しようとするイスラエル諜報特務庁(モサド)の諜報員たち
手に汗握る見ごたえのあるドラマとなっている


予告編

『オペレーション・フィナーレ』予告編 – Netflix [HD]

作品情報
作品名「オペレーション・フィナーレ」(原題Operation Finale)
監督:クリス・ワイツ
キャスト:オスカー・アイザック、ベン・キングズレー、メラニー・ロラン、リオル・ラズ、ニック・クロール
上映時間:122分
製作費:$24,000,000 (IMDb推定)
製作国:アメリカ(2018年)

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ざっくりあらすじ

1960年、イスラエル諜報特務庁(モサド)に重要な情報が入った。悪名高いナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンがアルゼンチンで発見されたというのだ。ピーター・マルキンたち諜報員に下った指令は、彼を生け捕りにしてイスラエルまで連れてくることだった。

感想(ここからネタバレ)

8月29日に全米で公開されたばかりの本作
初登場4位を記録している

「クレイジー・リッチ!」勢いは止まらずV3!!全米興行成績

日本で公開されたら見に行こうと思っていたが、まさかのNetflix配信
これは有難い
Netflixに加入している人は見なければ損である!!(貧乏性)

史上最悪の戦犯

1960年、イスラエル諜報特務庁(モサド)に思わぬ情報が飛び込んでくる
あの“ホロコーストの実行人”といわれた元ナチス親衛隊将校アドルフ・アイヒマンの居場所が分かったというのだ
逃亡しているナチスの戦犯の中でもトップの存在
そのアイヒマンがアルゼンチンのブエノスアイレスにいる
イスラエル政府はアドルフ・アイヒマンを生け捕りにして、イスラエルに連れて来いとモサドに命令する
裁判でナチスの罪を全世界に知らしめるのだ

オペレーション・フィナーレと名付けられたミッション
諜報員のピーター・マルキンたちは身分を偽り、アルゼンチンに潜入する
チームのメンバーは皆がユダヤ人で、ナチスにより家族や友人を失った者ばかり
そのユダヤ人虐殺を指揮した最高責任者がアドルフ・アイヒマンなのだ
生け捕りの命令に不満を抱く者もいる
複雑な思いに駆られながらチームのメンバーは着々と計画の準備を進めた

そして、計画実行の当日
仕事から帰って来るアイヒマンがバスを降りてから捕獲する計画だ
決して痕跡を残してはならない
秘密裏に行わなくてはならないのだ
予期せぬトラブルもありながらも、ピーターたちはアイヒマンを拉致することに成功した
あとは彼を飛行機でイスラエルに連れて帰るだけだ
だが、そこで思わぬ事態が待ち構えていた………………

拉致計画

身分を偽ってアルゼンチンに潜入
隠れ家の確保
アイヒマンの監視
当日のリハーサル

アイヒマンを確保するまでの、緻密な準備シーンが面白い
これぞスパイ映画の醍醐味
そして、計画当日
ここは緊迫感あふれ、手に汗握る場面となっている

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キャスト

オスカー・アイザック
モサドの諜報員ピーター・マルキンを演じる
ピーターは腕利きだが協調性に欠け、スタンドプレーが目立ち仲間からはいまいち信用されていない
敬愛していた姉をナチスに殺され、憎しみを抱いている
監禁したアイヒマンと次第に交流を深めていく

代表作

「スター・ウォーズ フォースの覚醒」
腕利きのパイロット、ポー・ダメロン役で一躍有名になった

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (字幕版)


「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」
カンヌ国際映画祭グランプリのコーエン兄弟の傑作
オスカー・アイザックは売れないフォークシンガーを演じ、見事に米映画批評家協会賞の主演男優賞を受賞
あと主人公の猫が可愛い

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(字幕版)

ベン・キングスレー
元ナチス親衛隊将校アドルフ・アイヒマンを演じる
最悪の戦犯アイヒマンを人間味を持って演じている
さすがの名演

代表作

「ガンジー」
アカデミー賞作品賞の映画史に残る名作
本人もアカデミー主演男優賞をはじめ数多くの賞を受賞

ガンジー (字幕版)

メラニー・ロラン
チームのメンバーで医療のエキスパート、ハンナを演じる
ハンナはピーターとは恋人だったが別れたばかり
しぶしぶミッションに参加する

代表作

「イングロリアス・バスターズ」
クエンティン・タランティーノの傑作
メラニーはナチスに家族を皆殺しにされ、復讐に燃える映画館主を演じる

イングロリアス・バスターズ(字幕版)

監督

クリス・ワイツ
監督作に「アバウト・ア・ボーイ」「ライラの冒険 黄金の羅針盤」などがある

代表作

「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」
スピンオフ作品だが世界中で大ヒット
クリス・ワイツは脚本を担当

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (字幕版)

アドルフ・アイヒマンという男

アドルフ・オットー・アイヒマン(1906年3月19日 – 1962年6月1日)
ゲシュタポのユダヤ人移送局長官で、アウシュヴィッツ強制収容所への移送で指揮を執り、約600万人のユダヤ人を虐殺に追い込んだ
最終階級は親衛隊中佐
第2次世界大戦後はアルゼンチンで逃亡生活を送った

約600万人のユダヤ人を死に追いやった責任者
さぞ冷酷非情で残虐な男だろう
誰もがそう考える
だが、この作品では子供たちを愛し、争いを好まない普通の男として描かれる
かつてナチスに家族を殺されたピーターはそのギャップに戸惑う
こんな男が何故あんな残虐なことが出来たのか?

アイヒマンは言う
「自分は命令に従っただけだ」
「自分は無実だ」

本作で恐ろしいのは、時折このアイヒマンという男が悪人であることを、見ていて忘れそうになることだ
時には同情すら抱いてしまいそうになる
何百万人も殺した大量殺人者なのに

印象的な場面がある
生け捕りなど生ぬるいとアイヒマンに殺意を向けるチームのメンバーの一人が、彼の軽口につい噴き出してハッと我に返るシーンだ
自分の家族を殺したナチスの最高責任者
なのに普通の男にしか見えなくて、一瞬そのことを忘れてしまった
絶対に許されないことだ
実に秀逸な描写だった

アドルフ・アイヒマンに信念はなかった
ただ、たまたま仕事がユダヤ人を処分するというものだっただけだ
アイヒマンは仕事に励んだだけなのである
彼の実際の言葉にこんなものがある

「一人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない」

そう、誰だってアイヒマンになり得る可能性がある
それが恐ろしい

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署名

アルゼンチンから脱出するにはアドルフ・アイヒマン自身のイスラエル行きの同意の署名が必要になる
チームのメンバーはアイヒマンを精神的に追い込んで署名をさせようとする
だが、アイヒマンの心は折れない
すでにアイヒマンを奪回しようとする追手が近くまで迫っている
ピーターは仲間とは逆に彼の信頼を得ることで、署名をさせようとする
喜んで殺したい相手
しかし、交流する内にピーターの心に迷いが生じてくる
相手も自分と同じ人間だったからだ

つい気を許しそうになったピーターに、アイヒマンが投げかける言葉は強烈である
普通の男に見えるが、やはりどこか狂っている
この男の闇の深淵を覗いた気がした

脱出

何とか署名をさせるのに成功したピーター
だが、そこに追手たちが乗り込んでくる
チームのメンバーはアイヒマンを連れ、車で空港へ向かう

このクライマックスはベン・アフレックの「アルゴ」を彷彿とさせる

緊迫感は「アルゴ」の方が上だったが、本作もなかなか盛り上がった

アルゴ (字幕版)

裁判

イスラエルに連れてこられたアイヒマンは裁判にかけられる
それは全世界に公開された
アイヒマンは無罪を訴えたが1961年12月15日、有罪が認められ死刑の判決が下された
その翌年6月1日未明にラムラ刑務所で絞首刑が行われた
遺体は焼却され遺灰は地中海に撒かれた

実際の写真

ピーター・マルキンは1976年に引退し、アイヒマン捕獲に関する本を執筆
2005年3月1日にニューヨークで死亡した

まとめ

人間の闇を炙り出す見ごたえのあるドラマである
知られざる歴史としても興味深い
アドルフ・アイヒマンとはいったい何者だったのか?
とんでもない極悪人だったのか
命令に従っただけの小役人だったのか
それは自分の目で確かめて欲しい

それにしても全米で公開中の作品を家庭で見れてしまうとは
Netflix、恐るべし!!

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Operation Finale (2018) on IMDb


rotten tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/operation_finale

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