メリル・ストリープ、ゲイリー・オールドマン、アントニオ・バンデラス
劇場公開作品でもなかなか揃わないような豪華キャストである
監督はあのスティーヴン・ソダーバーグ
Netflixオリジナル映画もここまできたかという感じだ
さて、この作品、基本的には退屈である(爆
難しい用語が飛び交って、ついていくのに精いっぱいだった
場所やキャラクターもあちこちに飛び、見づらいことこの上ない
だが、スティーヴン・ソダーバーグ作品に慣れている人なら、またこのパターンかと安心できるだろう(?)
メリル・ストリープはさすがの貫禄
誰もが彼女に感情移入できる
そしてゲイリー・オールドマンとアントニオ・バンデラスの悪役っぷり
本人たちに全く悪気がないのが余計に憎らしい
お金という得体の知れないものについては、よく表現されていた
豪華キャストの演技が目当ての人
ソダバーグ監督のファン
パナマ文書に興味がある人
そういう人なら興味深く見られるだろう
予告編
作品情報
作品名「ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-」(原題The Laundromat)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
キャスト:メリル・ストリープ、ゲイリー・オールドマン、アントニオ・バンデラス、シャロン・ストーン
上映時間:96分
製作国:アメリカ(2019年)
ざっくりあらすじ
夫を亡くしたエレンは詐欺取引に巻き込まれてしまう。それは世界で大規模に行われている不正のほんの一部に過ぎなかった………………
感想(ここからネタバレ)
パナマ文書には詳しくなかった
とんでもない詐欺が横行していたことに驚き
詐欺
エレンは休暇を利用して夫と旅行に来ていた
湖で遊覧船に乗っている時、突然の波で船が転覆してしまう
エレンは助かったが、夫を含め20人が命を落とした
彼女の腹立ちは収まらなかった
ところがこれ程の犠牲者が出ながら、遺族への賠償金は微々たるものだった
遊覧船の会社と保険会社との契約が、詐欺だったというのだ
彼らもある意味、被害者だった
納得のいかないエレンは、その保険会社の素性を独自に調べた
そしてパナマにあるモサック・フォンセカ法律事務所に突き当たる
エレンは自分たちが巻き込まれた詐欺が、氷山の一角にすぎないことを知った………………
スティーヴン・ソダーバーグ
「エリン・ブロコビッチ」と「トラフィック」でアカデミー監督賞をダブルノミネート
後者で受賞した
名実ともに大監督である
オールスターを集めた「オーシャンズ11」など代表作多数
Netflixでも「ハイ・フライング・バード -目指せバスケの頂点-」を監督
個人的にはスティーヴン・ソダーバーグは苦手な監督である
淡々とした演出がどうも性に合わない
難解な用語とかを普通に使って、素人を置いてきぼりにするのもちょっと………………
とはいえ気になる監督の1人ではある
この「ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-」はかなり自由に楽しそうに作っている印象を受けた
パナマ文書とは?
パナマ文書とはパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」が作成した租税回避行為に関する機密文書である
世界にはカリブ海のバージン諸島、ケイマン諸島など、タックス・ヘイヴン(租税回避地)と呼ばれる課税が著しく軽い、もしくは完全に免除されている地域がある
モサック・フォンセカ法律事務所はそこにペーパー会社を作り、多くの企業や著名な政治家、富裕層に斡旋してきた
それは1970年代から総数1150万件に上るという
パナマ文書が流出したのは2015年
ドイツの地方紙「南ドイツ新聞」がジョン・ドゥと名乗る匿名の情報提供者から、2.6テラバイトものモサック・フォンセカの機密文書を入手した
分析の結果、各国首脳や政治家140人がタックス・ヘイヴンを利用して、金融取引などをしていたことが判明した
また日本を含む多くの企業や個人の名前が記載されてあった
メリル・ストリープ
エレンが巻き込まれた保険金詐欺
それが多くの企業やブルジョワが関わる巨大な不正につながっていく
その展開はスリリングで面白かった
1人の庶民にすぎないエレン
そのエレンが夫のかたきとばかりに、諦めずに信念をもって事件を追求していく姿が清々しい
メリル・ストリープはとても自然体の演技
亡き夫を想う気持ちと、不正に屈しない気概を説得力を持って演じている
モサック・フォンセカ法律事務所
モサック・フォンセカの共同設立者であるユルゲン・モサックとラモン・フォンセカ
演じるのはゲイリー・オールドマンとアントニオ・バンデラス
諸悪の根源である2人だが、映画の冒頭から全く悪びれずに観客に事の顛末を語りかけてくる
この辺りのコミカルな演出が面白かった
殺人や詐欺、資産隠し
それらは全て顧客がやったこと
自分たちの知ったことではない
彼らは自分たちが悪いとは、全く思っていないのだ
とぼけた感じて随所で語りかけてくるゲイリー・オールドマンとアントニオ・バンデラスが、次第に腹立たしく思えてくる
最後に二人は刑務所に入れられる
ようやく溜飲が下がった
そう思ったのもつかの間、なんと彼らはたった3ヶ月で出所しているのだ
あれだけ世界的な騒ぎを起こしていながら
何とも後味の悪い幕切れである
映画の出来
メリル・ストリープ演じるエレン
彼女の物語は興味深かった
孤立無援で悪に立ち向かうエレンに、誰もが感情移入するだろう
そんなわけでエレンの物語は面白いのだが、そこから映画は中国など様々な場所やキャラクターへと飛ぶ
それぞれのエピソードは悪くない
パナマ文書に関連する出来事が、世界中で起きているのだということも分かる
だが、焦点が頻繁に移り変わるので、映画としては非常に見づらい
ぶつ切りで1本の線につながってない感じなのだ
ソダバーグ作品にはよくある演出だが、ちょっとまとまりのない印象だった
まとめ
メリル・ストリープら役者は好演
コミカルな演出も悪くない
パナマ文書にまつわるエピソードも面白かった
しかし、映画としてはいまいち
ちょっと、とっ散らかった印象だ
見て損したとは思わないが、好みが分かれるだろう
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_laundromat
allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=370085
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