Netflix「ザ・ホワイトタイガー」ネタバレ感想 奴隷から這い上がれ!!

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Netflixオリジナル映画
どうやって主人公は貧困から脱し、起業家にまで成り上がったのか?

強烈な傑作!!
見ていて気が滅入るが、凄まじいパワーに満ちている

ベストセラー小説の映画化
金持ちの運転手になったのはいいが、奴隷のように扱われるバルラム
厳しい現実が生々しく描かれる
貧困から抜け出すために、バルラムが取った恐ろしい手段
そこに至る過程が非常に説得力があった
キャストは皆が好演
脚本、撮影、編集
ほぼ完ぺきな出来栄え
楽しい作品ではないが、見る価値のある一作!!


予告編

『ザ・ホワイトタイガー』予告編 – Netflix

作品情報
作品名「ザ・ホワイトタイガー」(原題The White Tiger)
監督:ラミン・バーラニ
キャスト:アダーシュ・ゴーラヴ、ラージクマール・ラーオ、プリヤンカー・チョープラ、マヘーシュ・マーンジュレーカル
上映時間:132分
製作国:インド、アメリカ(2021年)

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ざっくりあらすじ

インドの貧しい家庭に生まれ、起業家にまで成りあがったバルラム。成功の秘訣は何だったのか?

感想(ここからネタバレ)

バットで殴られたような衝撃

運転手

バルラムはインドの貧しい村に生まれた
大家族で父親が死んだ後は、学校にも行けなくなった
仕事に追われる奴隷のような毎日
いつかこの貧困から抜け出したかった

村を支配する地主
その次男のアショクがアメリカから帰ってきた
この人が自分の主人だ
バルラムはそう直感した

バルラムはアショクとその妻ピンキーの運転手として雇われた
地主の屋敷では様々な雑用をやらされ、奴隷のように扱われた
だが、アメリカ帰りのアショク夫婦だけは、バルラムに優しかった

アショク夫妻がインドの首都デリーへ引っ越すことになった
何とかしてついていきたい
バルラムはずる賢く立ち回り、運転手としてお供することに成功した

田舎育ちのバルラムにとって、デリーは大都会で刺激的な街だった
そこは故郷と違い、束縛がなかった
アショク夫妻もバルラムに、友人のように親しくしてくれた
バルラムは主人への忠誠を誓った

だが、ある日ピンキーが車で子供を撥ねてしまう
青ざめる夫妻
そして、一族はその罪をバルラムに着せようとして…………

作品解説

原作はブッカー賞を受賞したアディガ・アラヴィンドのベストセラー小説「グローバリズム出づる処の殺人者より」


グローバリズム出づる処の殺人者より

脚本、監督は「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」などのラミン・バーラニ

ラミン・バーラニは原作者のアディガ・アラヴィンドの親友であり、本作の映画化を熱望していた

バルラム

貧困な村の青年で、裕福なアショク夫妻の運転手となる
頭の回転が速く、要領がいい
家族のしがらみを時に鬱陶しく感じている
演じるのはアダーシュ・ゴーラヴ

アショク夫妻

アショクとその妻ピンキー
アメリカ帰りで先進的な考えの持ち主
奴隷などという古い考えを否定し、バルラムのことも人間として接する
バルラムも2人のことを慕っていたが…………



格差社会

アカデミー賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」

強烈な一撃である ほとんどの映画は見終わって1時間もすれば、頭の中から消える だが、この「パラサイト 半地下の家族」は、見てから一晩経っ...

他にも「ジョーカー」「万引き家族」など、現代の格差社会を描いた映画が注目を集めている
この「ザ・ホワイトタイガー」も同じテーマの作品といえるだろう

特にインドは身分制度が厳しいことで有名だ
カースト制度により、生まれた時から身分が決まっている
逆転することはほとんど不可能といわれている

本作は格差社会の実態をまざまざと見せつける
使用人は一生使用人
もし主人の金を盗もうものなら、家族が殺される
そのため絶対に逆らえない
そういうシステムが出来上がっているのだ

愛憎

バルラムは主人たちの前では、つねに愛想笑いを浮かべている
その姿を見ていると息苦しくなった
まるで普段の自分たちを見ているようだったからだ

バルラムが仕えるアショク
アメリカ帰りで先進的な考えの持ち主
バルラムのことも友人のように接してくれる

ところが時折、冷たく突き放してくることがある
その描写が妙にリアル
誰もが実生活で思い当たることがあるのではないだろうか
しょせんは雇用者と使用人なのだ
その一線を越えることはない

それでもバルラムは主人に忠誠を尽くす
同じ身分のライバルを蹴落としたりはするが、主人に逆らおうなどとは夢にも思わない
むしろ仕えていることに幸せを感じている
使用人根性が染みついているのだ

反逆

インドを舞台としたサクセスストーリーを描いた作品というと、ダニー・ボイル監督の「スラムドッグ$ミリオネア」がある
鋭い着眼点でラストが爽快な作品だった

この「ザ・ホワイトタイガー」も同じくサクセスストーリーである
だが、方向性は「スラムドッグ$ミリオネア」とは真逆
人間の負の感情を描いた作品だ

アショクの妻ピンキーが、車で子供を撥ねた
一族はその罪をバルラムに着せようとする
絶望するバルラム

使用人は一生使用人
奴らは自分のことを人間だとは思っていない
結局、優しいアショク夫妻もそうだったのだ

誰もが「ニワトリの檻」からは抜け出せない
主人を裏切れば、家族が殺されるからだ
それを成し遂げるには狂気が必要だ

バルラムはアショクを殺し、大金を奪い逃亡する
そして遠い地で起業家として成功

最後にバルラムは語る

「もっとも恐ろしい悪夢は主人を殺したことじゃない。怖気づいて何もしないこと。それが最悪の悪夢だ」

恐ろしい結末だが、凄まじい説得力がある
思わず同調してしまいそうになる自分がいて、怖くなった

まとめ

非常にパンチのある一作
本作を見ると、世の中が少し違って見えるだろう
誰もがニワトリの檻から抜け出せない
歯ごたえのある作品を探している人におススメ!!


The White Tiger (2021) on IMDb


allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/375165
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_white_tiger_2020

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