Netflix「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」ネタバレ感想 ディズニー版とは対極の一作!!

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Netflixのアニメ映画
アカデミー賞受賞監督ギレルモ・デル・トロが、名作「ピノキオ」をストップモーションアニメで蘇らせる

ストップモーションアニメが芸術的美しさ
ダークで残酷で心暖まるピノッキオの冒険

完成までに15年をかけたというギレルモ・デル・トロ入魂の一作
いかにも木の人形といったピノッキオの造形が斬新
自由奔放でわがままで無垢なピノッキオ
ゼペットをパパと慕う姿はいじらしかった
時代を1930年代のファシズム時代のイタリアに設定しており、戦争が物語に大きく関わっていく
ダークな世界観で、後半の展開は衝撃的だった
2時間はちょっと長い気がしたが、クライマックスは本当に感動的
ユアン・マクレガー、クリストフ・ヴァルツ、ケイト・ブランシェット、ジョン・タトゥーロ、ロン・パールマン、ティルダ・スウィントン
声優が異様に豪華
またピノッキオを演じた新人のグレゴリー・マンも好演だった
そしてストップモーションアニメが非常に素晴らしい
職人の技の極致を見たという印象
ディズニー版「ピノキオ」とは対極にある作品
ギレルモ・デル・トロのファンなら絶対に見るべき!!

予告編

『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』予告編 – Netflix

作品情報
作品名「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」(原題Guillermo del Toro’s Pinocchio)
監督:ギレルモ・デル・トロ、マーク・グスタフソン
キャスト:ユアン・マクレガー、デヴィッド・ブラッドリー、グレゴリー・マン、バーン・ゴーマン、ジョン・タトゥーロ、ロン・パールマン、フィン・ウルフハード、ケイト・ブランシェット、ティム・ブレイク・ネルソン、クリストフ・ヴァルツ、ティルダ・スウィントン
上映時間:116分
製作国:アメリカ、メキシコ、フランス(2022年)

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ざっくりあらすじ

ゼペットは息子のカルロを戦争で亡くした。悲しみのあまり泥酔したゼペットは、松の木で息子の代わりの人形を作った。ところが、その人形に生命が宿って…………

感想(ここからネタバレ)

作品に注ぎ込まれた労力が凄い…………

ピノッキオ誕生

第一次世界大戦時のイタリア
木彫りのゼペットは息子のカルロと、仲良く暮らしていた
カルロは素直ないい子だった
ゼペットは息子を心から愛していた

ある日、ゼペットはカルロと教会へ、十字架の修理に訪れていた
夜になって、上空を飛行機が飛ぶ音がした
嫌な予感がしたゼペットは、カルロと一緒に急いで教会を出た
するとカルロがお気に入りの松ぼっくりを忘れたことに気付き、取りに戻った
その時、教会に爆弾が落ちた
生き残ったのはゼペットだけだった

20年が経った
ゼペットはいまだにカルロの死から立ち直れなかった
カルロの墓の側に植えた松ぼっくりは、立派な松の木になっていた
コオロギのセバスチャン・J・クリケットは、その木が気に入って住処にしていた

ある夜、泥酔したゼペットは、松の木を切り倒した
急に住処が揺れだして、驚くクリケット
ゼペットは倒した木を家に持ち帰り、人形を彫った
完成したところでゼペットは酔いが回り、寝てしまった

深夜、ゼペットの家に木の精霊が訪れた
驚くクリケット
精霊は木の人形にピノッキオと名前を付け、命を吹き込んだ
そしてクリケットに、ピノッキオをいい子に育ててくれたら、何でも願いを一つ叶えると約束した

翌日、ゼペットが目を覚ますと、2階を誰かが走り回っていた
驚いて2階へ行くと、そこには昨日彫った木の人形がいた
人形は自分のことをピノッキオと名乗り、ゼペットの息子だと言うのだが…………

作品解説

原作はイタリアの作家・カルロ・コッローディの児童文学作品「ピノッキオの冒険」

ギレルモ・デル・トロと「ファンタスティックMr.Fox」でアニメーション監督などを務めたストップモーションアニメの名匠マーク・グスタフソンが共同で監督を務めた
マーク・グスタフソンにとっては、これが初監督作品となる

上映時間116分はストップモーションアニメ映画としては最長

ピノッキオ

松の木から作られた人形
自由奔放で、じっとしていられない
楽しいことが大好きで無垢な性格
嘘をつくと鼻が伸びる

本作のピノッキオのデザインは斬新
どう見ても木の人形
見ようによっては不気味だった
だが、次第に愛らしい少年に見えてくる

演じるのは新人のグレゴリー・マン
演技がとても自然で、歌声が綺麗で素晴らしかった

ゼペット

木彫りのおじいさん
息子のカルロを戦争で亡くした悲しみから立ち直れない
松の木でピノッキオを作る
最初は言うことを聞かないピノッキオに、怒りをぶつけるが…………

息子の死により酒に溺れる姿が衝撃的
弱さを持った人物として描かれている
演じるのは「ハリー・ポッター」シリーズ、「ゲーム・オブ・スローンズ」のデビッド・ブラッドリー

セバスチャン・J・クリケット

コオロギであり、本作の語り手
小説家
回顧録「我が青春の囁き」を執筆中
木の精霊に、ピノッキオをいい子に育てると約束するが…………

演じるのは「トレインスポッティング」「プーと大人になった僕」のユアン・マクレガー
何の役だろうと思っていたら、まさかのコオロギ役とは!!(笑)
本作では素晴らしい歌声も披露
「ムーラン・ルージュ」好きにはたまらなかった

「くまのプーさん」の実写化である 元々「くまのプーさん」についてほとんど知識がなかったので、話についていけるか心配だった でも、そんな心...

スパッツァトゥーラ

カーニバルの猿
ヴォルペ伯爵に飼われている
知能が高く、人形を操る
最初はピノッキオを嫌っていたが…………

本作のキャスティングでもっとも驚いたのがこのキャラ
まさかケイト・ブランシェットが演じているとは
ケイトはデル・トロに「あなたの作品なら鉛筆役でもいいから出させて!」と懇願したら、猿役しか残っていなかった(笑)

ギレルモ・デル・トロ

アカデミー賞を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」や「パンズ・ラビリンス」「パシフィック・リム」などで知られるギレルモ・デル・トロ

俺たちのデルトロ兄貴がオスカーを獲った!! この作品はもうそれだけで満足!! 予告編 作品情報 作品名「シェイプ・オ...

「ピノッキオ」はまさにデル・トロの念願の企画である
2008年にギレルモ・デル・トロは、次回作は「ピノッキオの冒険」だと発表
当初は2013年または2014年公開を目指していた
ところが資金の調達が難しく、開発は進まなかった

「3500万ドル持っていてメキシコ人を幸せにしたいと思っている人。私はここにいますよ」

デル・トロはヴェネツィア国際映画祭でそう発言
そして2017年11月10日、プロジェクトの中止を発表した
しかし2018年、Netflixが権利を取得したことで企画が再始動
まさに渾身の一作といっていいだろう

ストップモーションアニメ

静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影
本作はストップモーションアニメである
画面に映っているものは、背景もキャラクターも実在している
そのため恐ろしく手間がかかっている
いかに大変だったかは、メイキング「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ:手彫りの映画、その舞台裏」で見ることが出来る

CGで簡単にできる時代
製作費も馬鹿にならない
それをストップモーションアニメにこだわるのは、並大抵のことではない
CGにはない存在感と暖かみ
細部にまで至る職人のこだわり
まさに芸術作品と言っていいだろう
ギレルモ・デル・トロはストップモーションアニメについて「アニメーターと人形との絆を感じる」と語っている

ちなみにNetflixのストップモーションアニメには「リラックマとカオルさん」があり、こちらも良作

Netflixオリジナルのストップモーションアニメ 2003年からシリーズを展開しているサンエックスを代表する人気キャラクター、リラックマ...

原作やディズニー版との違い

2022年9月8日、ディズニーは実写版「ピノキオ」をDisney+で配信
同じ年にピノキオ作品が重なるとは、恐ろしい偶然である
名匠ロバート・ゼメキスが監督した「ピノキオ」は、残念ながらイマイチな出来だった

あの「ピノキオ」が実写化され、Disney+で配信 おもちゃ職人のゼペットが作った木彫りの人形に、ブルー・フェアリーが魔法をかけたことで生...

そしてディズニー版と比べて、「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」はまさに別物だった

ゼペットじいさんが戦争で、息子のカルロを亡くすシーンを追加
ピノキオがいい子ではなく、自由奔放でリアルな子供
1930年代のファシズム時代のイタリアが舞台で、ダークで残酷
原作やディズニー版にもあった遊びの島「プレジャー・アイランド」のエピソードは、少年兵訓練軍事施設に変更

毒にも薬にもならないファミリー向けだったディズニー版に比べて、デル・トロ版は子供に見せていいのかためらうようなキレッキレの作品に仕上がっていた

親子

亡くなった息子カルロの代わりに、ピノッキオを作ったゼペット
ところがピノッキオは自由奔放で我がまま
いい子だったカルロとは似ても似つかなかった
ゼペットは思わず「お前はとんでもない重荷だ」と口走ってしまう
ショックを受けるピノッキオ

ゼペットじいさんというと、ピノキオを溺愛しているイメージがあったので、かなりショッキングなシーンだった
本作ではキャラクターを弱さを持ったリアルな人間として描いている

終盤、ようやくピノッキオと再会を果たしたゼペット

「お前はカルロじゃない。ありのままのお前を愛している」

原作では最後に人間になったピノキオ
しかし、本作では父親に愛されることで、ピノッキオは本当の生を持つ

生と死

人形であるがために、永遠の命を持つピノッキオ

ゼペット
クリケット
スパッツァトゥーラ

大好きな家族や仲間は、ピノッキオを残して死んでいく
非常に寂しいラストである

死を描かなければ、生は描けない

まさに「パンズ・ラビリンス」に通じるテーマ

深い余韻を残して、映画は幕を閉じる

まとめ

ダークさ、残酷さ、生命の煌めき
ギレルモ・デル・トロの集大成のような作品
ストップモーションアニメも見事だった
きわめて芸術的価値のある一作だ

Guillermo del Toro's Pinocchio (2022) on IMDb

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/guillermo_del_toros_pinocchio
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/381177

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