「君たちはどう生きるか」ネタバレ感想 宮崎駿の集大成!!

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宮崎駿監督の10年ぶりの最新作「君たちはどう生きるか」が公開された

宣伝を一切行わないという前代未聞の方針がとられた本作
予告編もなく、声優も映画のジャンルも分からない
全てが秘密のベールに包まれたまま、公開当日を迎えた
スタジオジブリや宮崎駿の実績がなければ、こんなこと不可能だっただろう

そして、ついに明らかになった映画の内容は、戦時中の日本に生きる少年を主人公にした冒険活劇ファンタジーだった
結論から言えば、かなりの良作だった
個人的には「ハウルの動く城」以降の宮崎作品(「ハウルの動く城」、「崖の上のポニョ」、「風立ちぬ」)の中では、一番面白かった

物語は太平洋戦争中の1944年に幕を開ける
牧眞人(まき・まひと)は病院の火災で母親が亡くなり、父親と共に母親の実家のある田舎に移り住む
そこには母親の妹のナツコという女性がいて、彼女は父親の再婚相手で、すでに子供を身ごもっていた

母親の実家である古い屋敷に案内された眞人
亡くなった母親のことが忘れられず、眞人は新しい母親に心を開けなかった
その屋敷の外れには古い建物があった
そこは眞人の大叔父にあたる人物が建てたようだが、その大叔父はある日忽然と姿を消してしまったという

屋敷にも学校にも馴染めず、孤立する眞人
ある日、ナツコが姿を消して屋敷は大騒ぎになる
眞人は不思議なアオサギにいざなわれるように、大叔父が建てたという建物に足を踏み入れるが…………

この映画の序盤は正直、地味である
母親を亡くし、田舎に移ってきた眞人の日常が淡々と描かれる
しかし、そこを丹念に描くからこそ、その後に出現する異世界がリアルに感じられる

日常から異世界へ
本作は宮崎作品では「千と千尋の神隠し」をかなり彷彿とさせる

ある意味、本作は「千と千尋の神隠し」のB面的存在という見方もできるだろう
また戦争中に疎開した先で異世界の扉を開けるという展開は、「ナルニア国物語」やギレルモ・デル・トロ監督の「パンズ・ラビリンス」を思い出させる

過酷な現実から空想世界への逃避
本作のファンタジーには、そういった意味合いも込められているように感じた

眞人は礼儀正しいが無口で、感情をあまり表に出さない少年だ
やはり「もののけ姫」のアシタカをどこか彷彿とさせる

亡くなった母親への思慕
新しい母親への困惑
すぐに再婚した父親への複雑な感情

決して表立っては描かれないが、眞人の中で黒い感情が渦巻いているのが伝わってくる
その描写が秀逸

新しい母親ナツコは気丈で明るいが、過剰なほど眞人に気を遣っている様子が窺える
そこには姉に対する罪悪感のようなものが感じられた
一方、眞人の父親は戦争で儲ける俗物で、無神経な人物として描かれている

この映画でもっとも印象的なキャラクターは、やはりアオサギ男だろう
ポスターにも描かれ、眞人を異世界へいざなう重要な役割だが、その性格は狡猾でねじくれている
どちらかというと悪役といった印象だった
そのアオサギ男が眞人と行動を共にするうちに、ある種の信頼関係が芽生えるのが面白い
善とも悪とも取れないその性格は、宮崎作品でいうと「もののけ姫」のジコ坊や「未来少年コナン」のダイスを思い出させた

そして、この作品のヒロイン的存在である「ヒミ」
眞人が異世界で出会った火を自在に操る快活な少女だ
まさに宮崎作品のヒロインといった印象で魅力的だった

アニメーションのクォリティは当然のように最上級
さすが神アニメーターの本田雄(「エヴァンゲリオン」シリーズ、「千年女優」)が作画監督なだけある
キャラクターの細かなしぐさなど丁寧で見事だった
背景も美しい
すっかり世界に引き込まれてしまった

本作の異世界で眞人の前に立ちはだかるのは、ペリカンやインコなど鳥たち
人間である眞人を狙い食べようとするなど、結構ダークで恐ろしい存在
そのシビアな世界観が宮崎駿らしかった

基本的にはシリアスな作風だが、ユーモラスなシーンも多い
屋敷のおばあちゃんズの存在は和んだ
また異世界でジャムをたっぷり盛ったトーストを眞人が食べるシーンは印象的
本当に宮崎作品は食べ物が美味しそう

最後に大叔父から世界の運命を託される眞人
そこで眞人がとった選択とは?

「君たちはどう生きるか」

改めて考えさせられる作品だった

高齢で引退宣言までしながら、これだけの作品を作った宮崎監督のパワフルさには脱帽
見苦しい作品になるかもと覚悟していたが、見事な傑作だった
宮崎駿のまさに集大成
これが最後の作品になるかも知れないと思うと、寂しくてたまらない
可能ならば、是非とも更なる新作を見てみたい


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